ドローンの未来を発掘するエンターテインメントマガジン DRONE NEXT

3Dロボティクスの未来が推察できる新たなる重大発表

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2015年12月に国土交通省がi-Construction(アイ・コンストラクション)の導入を発表したことで、産業分野におけるドローンの期待は年々と膨らみ続けている。ドローンに関する情報収集を始めると、物流・農業・測量・点検等の分野におけるトピックスが頻繁に発表されているのが現状だ。

そして、2月22日にはクリス・アンダーソン氏がCEOを務める米国のドローンメーカー「3Dロボティクス」に新たな動きがあり、正規輸入代理店である芝本産業が重大発表と題したローンチイベントを開催した。

●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)


測量・点検を効率化するソフトウェア「Site Scan」

開催されたローンチイベントの内容をお伝えする前に、まずは3Dロボティクスの背景を簡単に説明しよう。

3Dロボティクスは2015年にクアッドコプターのSoloをリリース。
DJI Phantomと同様に、soloはGoProを搭載することで空撮を楽しめるドローンとしてDJIと肩を並べたが、DJIがコンシューマー市場を席巻したことで3DRはBtoC市場からは手を引くこととなる。

クラウドにアップしたデータを元に
解析を行うSite Scan

その後、クリスアンダーソン氏は“ドローンを産業におけるひとつのツール”として考え、ドローンをさらに効率的に活用するために、BtoB市場向けのソフトウェアの開発に注力した。そして、自律制御でドローンを飛ばし、オルソ画像や3Dマップを生成できる「Site Scan」をリリースしたのだ。
※Site Scanについてはこちら

ソニーのR10Cを搭載したSite Scan solo

従来のSoloはSite Scanに対応するべく、ソニーが開発した2000万画素のAPS-Cサイズのセンサーを内臓した専用ジンバルカメラ「R10C」を搭載。「SiteScan Solo」としてラインナップを増やし、測量・点検分野で現在も活躍している。

クリス・アンダーソン氏は「ソフトウェアの開発・進化が重要だ」と念頭に置き、ドローンはデータを収集するためのセンサー及びカメラであり、ハードウェアは小型なものが相応しく、専用の大型産業用ドローンなどは必要としないと見なしている。

なお、近年では自社開発のSoloだけでなく、DJI Phantom4 PROやDJI Mavic PROもSite Scanに対応した。

Site Scanの対応ラインナップに新たな機種を追加!

3Dロボティクス本社から来日した
戦略最高責任者 ジェレマイア・ジョンソン氏

本題である芝本産業が開催するローンチイベントでは、米国の3Dロボティクス本社からジェレマイア・ジョンソン氏が来日し、3DロボティクスはDJIとパートーナーとなり、産業用ドローンであるMatrice200シリーズを新たにSite Scanに対応させたことを発表したのだ。

これはSite Scanを様々な場面で活用するために、“現場環境に合わせた機体の選択肢”の拡大を図った動きだ。例えば、持ち運びが困難な場合や飛行場所が狭い所ではMavic PROを活用する一方、広大な土地で効率的に運用する場合はMatrice200シリーズを活用。といった現場環境に合わせて使い分けることができる魅力を打ち出した。

Matrice200(左)及びMatrice210(右)

Matrice200シリーズを対応させるメリットは数多くあり、防水規格IP43を取得していることや寒冷地での運用に強い点などが挙げられる。そのほかにも、衝突防止センサーが搭載されており、上部の障害物も検知することができることから、安全を第一に考えたドローンの運用を提供できるのだ。

Matrice200シリーズに搭載されるカメラは交換式

さらに、Matrice200シリーズをラインナップに加える魅力は交換式のカメラレンズにもある。4種類の交換レンズを用いることで、測量・点検における精度の向上や運用範囲の拡大が見込めるのだ。

なお、Matrice200シリーズに搭載できるカメラは、ZENMUSE XT、ZENMUSE Z30、ZENMUSE Z4S、ZENMUSE X5Sの4種類。とくにZ30はズームレンズとなっており、近づくことのできない被写体を30倍ズームで撮影することや、点検における細かな破損箇所などを見つけることが容易となる。また、赤外線サーモカメラのXTを搭載すれば、ソーラーパネル点検等にも活用することが可能となった。

2018年におけるSite Scanの開発方針とは?

ジェレマイア・ジョンソン氏はDJIとパートーナーを組むことを発表し、加えてSite Scanの2018年度における開発課題を明らかにした。

Site Scanにおける2018年の課題テーマ

Site Scanはまだまだ開発段階であり、これからMatrice200シリーズの対応に合わせたSite Scan側のアップデートも順次行っていく予定としている。そして、2018年の開発課題として以下の3点を挙げた。

▼アクセスと拡大
・様々なハードウェア(ドローン)に対応していくこと。
・組織の仲間同士の同時データアクセスを可能とし、データ共有を容易にする。
・撮影したデータを事務所で解析し、さらに解析データを現場に戻すことを可能とする。
▼自動化と発展
自動で測量したデータを発注者や現場の関係者に共有しやすいシステムの構築。
キャドソフトで行なっていた解析を自動化し、サイトスキャンで完結するようにする。
▼Site Scanの進化
ドローンを地上のレーダーとして活用し、BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)データなどの様々なデータに対応させていく。


ジェレマイア・ジョンソン氏が発表するとおり、3Dロボティクスは米国を代表するドローンメーカーから産業分野におけるソリューションサービス企業へとシフトする動きを見せている。

ドローン市場がDJI一強となっている現状から、ドローンを自社で開発するよりも、DJIの機種を起用して新たなサービスを展開するといった流れは3Dロボティクス以外のメーカーでも増える可能性は大きい。3Dロボティクスは、soloのモデルチェンジや後継機種については言及することなく、発売する雰囲気は漂わせていない。また、クリス・アンダーソン氏が考えるとおり、ドローンが携わる様々な産業において、ドローンの立ち位置は”ひとつの空飛ぶツール(道具)”であるという見方をするとなれば、今後のドローンビジネスの見方も大きく変わってくるのかもしれない。

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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。