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今後の測量現場はGPS不要!?ジツタのドローン誘導システム

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ドロネクでは2017年の11月頃から、ドローンを出展する様々なイベントを紹介してきた。その中でも最も盛り上がりを見せるのは、やはり建設現場での測量や人工構造物の点検等にドローンを活用する動きだ。点検・測量においての2017年は機器の開発時期とされ、今年はついに導入時期に入る年となり、業界は切磋琢磨している状態だ。

ドローンの活用にはGPS環境下による運用が一番望ましい。しかし、橋の下やトンネルでの運用時はGPSの手が届かず、ドローンパイロットがマニュアル操作で神経をすり減らしながら飛ばしているのが実情なのだ。そこで、株式会社ジツタ(本社:愛媛県、代表取締役社長:山内延恭)は非GPS環境下でもドローンを自律飛行させるシステムを開発。今回、ジツタがドローンのデモフライトを実施したので詳しく紹介しよう。


屋内でも離陸から着陸まで全自動!

株式会社ジツタは測量機器やソフトウェアの販売を手掛け、事業環境の改善を提案する企業だ。近年では点検・測量業界で注目を集めているドローンを取り入れ、ドローン誘導システム(トータルステーション)を開発する運びとなった。
冒頭で述べたように測量や点検における活用は非GPS環境下が多く、最終的にはドローン飛行の熟練者が必要不可欠となってしまう。ジツタはこのような現状を改善するために以下のような開発目標を明確にし、トータルステーションを開発した。
・運用に熟練者を必要としない
・導入が簡単ですぐに使える
・メンテナンスが容易
・コストパフォーマンスに優れる

ドローン誘導システムは、座標からドローンの位置を計測するトータルステーション、そして実際に飛行して撮影をするドローン、運用するためのソフトウェア。この3点で構成されている。

組み合わせるドローンは、市販されているファントムシリーズやインスパイアシリーズを使用可能。一般的には自律飛行システムや近接センサーを搭載するドローンが必要となり、産業用のドローンを購入するとなると決定的コスト高へと繋がるのだ。ジツタは一般的にハードで補っている部分をソフトウェアで補う方針でシステムを開発している。

なお、トータルステーションに対応しているハード(フライトコントローラー)は現在ではDJIの一部の機体だが、産業用として注目を集めている3D Robotics社のSoloにも対応するべく開発を行っている最中のようだ。

では何もセンサーを搭載していないドローンをどうやって自由自在に自律飛行させるのか?と思った方も多いだろう。実はドローンには「反射プリズム」と呼ばれる特殊形状のパーツを搭載する。この反射プリズムがトータルステーションから出るレーザーを反射することでドローンの位置を正確に捉えているのだ。また、トータルステーションでは距離と水平角度を望遠鏡の上下角度で算出することで3次元計算を行っている。そして、計算されたXYZの座標をブルートゥースで繋いだアンドロイド端末で受信することにより、その差をケーブルで繋いだプロポに送っているわけだ。なので、自律飛行させるには事前に計測したい飛行ルートと、計測範囲の座標データが必要となる。

この反射プリズムの取り付けは、ファントム4のジンバル固定パーツに穴を空けてボルトで固定している。反射角は上下左右90度程で、天井の点検をしたい時などは逆さまに装着するなどの工夫をすればしっかりレーザーを反射する構造となっている。ただし、装着して飛行するには改造申請が必要となってしまうが、申請許可が下りるのは確認済みだ。

次にソフトウェアを操作するアンドロイド端末が必要となる。現在の点検の進行具合やドローンの状況、そしてドローンに指示及び設定をするためのものだ。端末上ではドローンのバッテリー残量も表示。バッテリーが10〜20%になるとアラームで注意を促し、10%以下に低下すると自動で着陸するようになっている。端末は業務向けに開発されたタフパッドを推奨しているが、アンドロイドOSであれば動作に問題はない。ただし、スペックの低いものだと遅延が発生する可能性などもある。

システムを利用するユーザーは、ドローン(ハード)とアンドロイド端末を用意すれば簡単に始めることができるのがドローン誘導システムの魅力だ。また、トータルステーションは購入すると2000万円近い金額となってしまうため、ジツタではレンタルという形で提供する。ソフトウェアに関しても、使用した分だけ料金が発生する仕組みを予定しているという。なので、利用者の費用はトータルステーションのレンタル料とソフトウェアの使用料金だけとなる。

精密な誘導性により誤差は約1cm!

非GPS環境下において、熟練の操縦者とはいえ被写体から数十センチの場所で安定した飛行を長時間行うのは至難の技だ。しかし、ドローン誘導システムであれば被写体にかなり接近することが可能となる。接近できるメリットとして人員の負担を低減できるだけでなく、高解像度の高精度カメラを搭載しなくてもある程度の測量・点検がこなせるところにある。

今回は実際に屋内のフットサルコートを使用してデモフライトを実施。事前にフットサルコート内の座標データは取り込み済みなので、飛行ルートをバイナリデータでアプリケーションにダウンロードし、トータルステーションとドローンを設置したら準備は完了だ。準備が完了したら測量をスタートさせるだけで、離陸から着陸まで全て自動で行ってくれる。パイロットは万が一の事態に備えてプロポを持ち、ドローンを監視する。また、ルートポイントをあらかじめ飛行ルートに設定し、その場所で何秒ホバリングを行うか?なども設定可能。端末上では、遂行されたポイントにチェックが付き、途中で中断した場合には中断ポイントから再開できる仕組みだ。

デモフライトはフットサルコートのそれほど広くない空間で行われたが、実際に運用する場合は広い範囲で飛ばすことも考えられる。移動の多い場所での飛行は、より効率性を高めるために飛行速度の設定も可能としている。ポイント間で5m以上の移動距離がある場所では速度を上げる、被写体や障害物に近い場所ではゆっくり。といったことが調整可能だ。

ドローンの角度に関しては、移動しながらのピルエットはできない。そのため、ポイント地点で静止したうえでピルエットを開始する。移動中に方向を変えて撮影したい場合は、カメラの操作が可能なインスパイアを使用することをお勧めしている。

撮影したデータを活用するソフトウェア

ドローン誘導システムで撮影したデータは、ソフトウェア開発会社のビィーシステムが提供するScanSurveyを使用する。このソフトを使用することで点群データに写真を貼り付けて3次元データにしたり、オルソ画像に解析するなどのデータ活用が可能だ。
また、画像解析ソフトのScanSurveyとは別に、測量・点検場所の飛行ルートをシュミレーションするソフトも用意している。事前に飛行ルートを確認しておくことで、障害物の有無や、飛行高さの確認などに役立てることができる。

ジツタは3月からサービスを開始する予定とし、これからも利用者や測量関係者などの意見、要望を反映させていく旨を発表した。


■問い合わせ
ジツタ
ビィーシステム

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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。