ドローンの未来を発掘するエンターテインメントマガジン DRONE NEXT

不審者を自動検知するKDDIのスマートドローンで警備監視を効率化

Google+

KDDI株式会社はテラドローン株式会社、セコム株式会社と「人物検知可能なスマートドローンによるスタジアム警備の実証」を実施しました。埼玉スタジアム2002の協力のもと、実証実験を行い、特定の人物を検知することに国内で初めて成功し、監視警備分野でスマートドローンが効率的に活用できることを実証しました。

●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)


モバイル回線が利用できればドローンで可能なことも拡大

KDDIはモバイル通信ネットワーク(4G LTE)をドローンの制御に利用したスマートドローン事業を2016年に開始。2017年〜2018年にかけて様々な実証実験を実施してきました。4G/LTEを活用することで複数のドローンを飛行させ、リアルタイムに4Kの映像を伝送することに成功し、11月にはスマートドローンによる山岳救助の実証実験にも取り組んで来ました。

現在、モバイルネットワーク回線を上空の遠隔操作に利用することは、混線リスクの配慮によって認可されていません。ただし、実証実験などの特別な環境に限り利用が許可されています。今後を見通すと、5Gの実現も間近に控えており、5Gを使用すれば4G以上に遅延が少なく、大容量のデータがやり取りでき、多くのデバイスと容易に接続することが可能になります。WiFiに比べてメリットが多く、ドローンとの相性が良いことからKDDIは積極的にモバイルネットワークの介入に取り組んできました。

人物を検知するAIを搭載した産業用ドローン

実証実験を行なった埼玉スタジアム2002の警備には株式会社プロドローンの機体を採用。見た目はマルチコプターと同様の形状だが、8枚のプロペラを備え、万が一不具合が起きた場合には4枚のプロペラで飛行することも可能です。

警備用のモジュールとして注意や警告を促す拡声器と監視用のズームカメラを搭載。そのほか、モジュールは目的に応じて変更することも容易にできます。また、飛行時間は15分〜20分とし、現場ではドローンポートとよばれる金属製のマットに着陸することで充電が開始され、充電時間は1時間以内に完了することが可能。

使用された機体には、人物の検知を主としたインテル製の学習記憶型AIが搭載されました。AIはプラットフォームが完成しているものを採用し、KDDIでアルゴリズムをカスタマイズして人物検知用に活用しています。しかし、学習記憶型のAIなので、今後実証実験を繰り返すことで様々な検知パターンを学習させる必要があるようです。

AIの力で不審者を発見→追跡することに成功!


今回の実証は全自動で埼玉スタジアム2002内の不審者をドローンで見つけ出し、追跡を行うことが目的です。従来の警備は監視カメラと巡回する警備員によって行われていましたが、大きなイベントでは警備員を100人以上動員することもあり、固定されたカメラや人の力だけでは限界を感じていました。そこで、ドローンを活用させれば人員の削減とコストの削減が見込めます。

スタジアムの警備には人口が多いイベント開催中の警備と、夜間等の不審者の侵入を警備する2つのパターンが挙げられ、今回KDDIは後者の実証を行い、2019年にはイベント開催中の実証を実施する予定を明らかにしました。

使用されたドローンの役割は2つ。俯瞰からスタジアム全体を監視する俯瞰ドローン(4Kカメラ搭載)と、俯瞰ドローンより低空で警備する巡回ドローン(FullHDカメラ搭載)の2台が連携することで警備を行います。俯瞰ドローンはスタジアム全体から不審者をAIで見つけ出します。すると、連携された巡回ドローンに位置情報を発信し、自動で不審者に駆け寄る信号を出します。不審者のもとに駆け付けた巡回ドローンは常に不審者をカメラで捉え、追跡を開始するのです。また、俯瞰ドローンと巡回ドローンの映像はリアルタイムでLTE運行管理システムに伝送され、遠方からモニター上で監視でき、指示を出すことも可能になりました。この運行管理システムは現場と4G/LTEで接続されているため、モバイルネットワークの電波が入る場所であれば距離が離れていても問題ありません。

一番気になるのはどうやって不審者と判断するのか?という点だと思います。前述した通りAIが学習していけば、長時間同じ場所に居座っている人やいきなり走り出す人、不審な物を置いていった等のあらゆる行動パターンに反応し、判断することも可能だと言います。今回はゼロからスタートさせたため、時間と位置情報から判断するようにプログラムされました。本来、スタジアム場に人がいない時間帯ということをドローンに認識させ、スタジアム内で動く人物を検知し、巡回ドローンが駆け付け、追跡するという一連の動作を成功させたのです。

ドローンの活用に欠かせない3つの情報を取り入れ

スマートドローンの安全な運用には電波情報、気象情報、マップ情報が必須と考え、LTE運行管理システムには3つの情報が新たに組み込まれました。これらの情報は全てタブレット上と運行管理システムで可視化されます。

タブレットの操作で高度と時間を変えて情報を表示することができます。3つの情報をもとにシステム上で飛行の可否を判断し、システムが安全では無いと判断すればドローンを飛ばせない仕組みを実現しました。

3次元マップでは飛行ルートの作成を行うことができます。従来の飛行ルート作成は俯瞰から見た平面のマップでルートを作成することが一般的でしたが、3次元にすることで高度まで可視化しながら設定することが可能になりました。

LTE運行管理システムに常駐する人は3つの情報を観測し、安全な運行を指示するとともに、不審者を発見した場合には拡声器で警告を呼びかけます。また、巡回ドローンの追跡システムはある程度の動きにはカメラのチルト機能などを駆使して追跡を行いますが、カメラのフレームから不審者が外れてしまうと追跡することができなくなってしまうので、LTE運行管理システムから指示を出し、再度見つける必要があります。

スマートドローンによる警備・監視への活用は一例に過ぎず、農業、測量、点検、災害といったあらゆるジャンルで同じように活用することが可能だと言います。KDDIは5Gの活用を目指して今後も実証実験に取り組んでいくと発表しました。


@国内初、人物検知可能なスマートドローンによるスタジアム警備の実証に成功-KDDI

「いいね!」を押して
ドローンの最新情報をGET

Twitter で

この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。