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KDDIが”スマートドローン”を発表!新たな3件の事業が進行

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KDDIはドローンと4G LTEを組み合わせてB2B向けの事業を展開していく「スマートドローン」を発表した。KDDIは既に2017年4月からドローンをビジネスに活用する検証実験を行なっており、3月には4G LTEによる安全運航管理システムの開発(完了済み)、4月には4G LTEによる完全自律飛行実験、5月にはNEDOによる「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」にドローン警備を提案・採択、そして10月にはドローンの導入と運用をパッケージにしたサービスを開始した。これまで行なってきた検証実験を活かし、KDDIスマートドローンと称した3件のドローン事業案を進める方針だ。


KDDIはスマートドローンプラットフォームを開発するにあたり、4社と業務提携をして進めて行く。提携を交わす企業と案件は以下の通り。

・KDDI株式会社 執行役員常務 山本泰英氏

・株式会社ゼンリン
上席執行役員 藤沢秀幸氏

・株式会社プロドローン
取締役副社長 菅木紀代一氏

・テラドローン株式会社 代表取締役社長 徳重徹氏

・株式会社ウェザーニューズ
執行役員 石橋知博氏

4G LTEと3次元地図を活用した自律飛行に成功


KDDIは新潟県長岡市の協力のもと、4G LTEによる6.3kmに及ぶ長距離自律飛行の実験を成功させた。飛行ルートは離陸地点から充電ポイントとなる「ドローンポート」を経由した後、錦鯉を養殖する棚池での薬剤散布を行なったうえで着陸地点に帰還するというもの。

この実験は「3次元地図」及び「ドローンポート」に関する実験であり、これらを活用することでドローンの長距離自律飛行が可能であることを確認した。

・3次元地図
安全な自律飛行を実現するにあたり、KDDIが業務提携するゼンリン、テラドローンと共同で開発した3次元地図は、飛行ルートを作成すると安全な飛行高度を自動で設定し、山や丘などの地形と高度差を把握することでビルなどの障害物を検知するシステムである。今回の実験では100m以上の高低差のある場所や、段が続く棚池のような場所での自動判別に成功した。

・ドローンポート
ドローンポートはプロドローンが開発したドローンを充電するシステムだ。ドローンポートの表面を画像認識により、自動で検知し着陸。その後、自動で充電を開始する。ドローンポートを中継地点とすることで長距離飛行が可能になった。なお、検証用ドローンの提供もプロドローンのものである。

 

 

 

 

充電ポイントは正方形でできた金属製のマットのようなもの。
正確に着陸したドローンに搭載されている専用の端子が、充電ポイントの金属面に設置することで充電を開始するようになっている。

ドローン向け気象情報を活用

KDDIはウェザーニューズと提携し、4G LTEドローンと気象予測情報の活用を検討することで「スマートドローン構想」の実現を進める。これにより様々な分野でのドローンの活用が期待できることから、両社は気象観測システム「ソラテナ」の活用を前向きに進めている。
ドローンは天候に左右されやすく、長距離を自律飛行させる点において気象予測を基に飛行の可否を判断したり、さらには飛行中に起きる突発的な風や雨、濃霧などの情報をリアルタイムにドローンに届ける必要があるとされている。

今後、ウェザーニューズが所有する全国約3000の基地局を持つソラテナを有効活用し、安全な長距離自律飛行を確立していく方針だ。ソラテナの情報を気象予測サーバーにまとめることで運行管理者がサーバーの天気情報をもとにドローンに飛行指示を出すプランを進めている。

鉄道災害時の情報収集を実証実験

KDDIは上記企業以外に、近畿日本鉄道株式会社及びキヤノンマーケティングジャパン株式会社とも合同に実証実験を2018年2月より開始する。

現在の鉄道災害における車両の点検は、徒歩巡回による目視点検などが主流となっており、迅速な被害状況の把握や効率的な復旧作業が求められている。その業務に4G LTEのネットワークを用い繋がることで、広範囲かつ長距離の移動が可能になったドローンにキヤノン製カメラを搭載し状況の把握をする検証を実施予定だ。検証実験は近畿日本鉄道の車庫で行われ、様々な環境や状況を想定しての飛行、動作を検証することで、ドローンによる遠隔での効率的かつ安全な設備点検を目指す検証実験とする。

ドローンに搭載するキヤノン製のカメラは遠隔から制御する仕組みや、正確かつ広範囲にわたる映像取得が求められる。鉄道点検以外の業務でも貢献していく可能性が大きい。

またKDDIはこれらの業務提携や培ってきた検証実験の成果を活かし、様々な分野におけるドローン事業(スマートドローン)計画を実行し、拡大していく旨を発表した。


業務提携企業者によるディスカッションを開催

今回のスマートドローン発表会では、第二部のメニューとしてKDDIが業務提携を果たした上記のゼンリン、プロドローン、テラドローン、ウェザーニューズの代表達によるディスカッションを開催した。KDDI 執行役員常務 山本泰英氏が司会を務めるなか今後のドローンによる展望やスマートドローン構想における期待や意見を繰り広げた。

・スマートドローン構想への期待

KDDI山本氏
「藤沢さん、自動車の自動運転が1歩も2歩も先を行っていますが、車もドローンも自動が主流となり普及されていく時代は来るのでしょうか?」
ゼンリン藤沢氏
「ドローンと車の自動運転・飛行はやや違う所がありますが、手動で動かすということはどんな事業にも人的コストがかかってしまうので、事業化が難しいです。事業として取り組むためにはコストの低減を図ったうえで目的を達成することが必要になります。その際に自動運転は必要な技術といえるでしょう。」
KDDI山本氏
「では、自律して動くにはどんな情報が必要になってくるのでしょうか?」
ゼンリン藤沢氏
「気象や電波の状況の情報が必要になってきますが、まず始めにドローンとクラウドを繋ぐ通信が必要になってくると思います。これらをいかに管理・監督して安全に運行管理していくかが大事になってきます。私の想像としては、今回発表したドローンポートも全国のあちらこちらに設置され、ドローンが飛び交っているというイメージではなく、目的に応じたルートのなかで種別のドローンが動くことで初めて事業に繋がるのではないか?と思っております。」

KDDI山本氏
「菅生さん、プロドローンでは100種類もの機体が存在すると伺いましたが、機体の方向性は今後どのようになって行くのでしょうか?」
プロドローン菅木氏
「具体的に言うと人と同じでより賢いドローンですね。例えば視力が高いドローンや、些細な風を感じ取れるドローン。またはちょっとぐらい蹴っ飛ばされても大丈夫な足や手。これらがメンテナンスフリーを実現していくと考えています。そしてもう1つが充電のシステムです。飛行しながら充電できようなシステムが必要となってくるでしょう。バッテリーの問題はトータル的にどのシーンにも必要となってきますね。」
KDDI山本氏
「では、機体の安全性についてはどうお考えでしょうか?」
プロドローン菅木氏
「当初はモーターのラインが焼けてしまったことや、プロペラの破損などの物理的な墜落や事故が多かったのです。しかし、今は磁場や鉄鉱石の多い所などの電磁波でセンサーがやられてしまい暴走するといったことが出てきました。実は3年前から墜落による実験をプロドローンでは行なっていまして、こういう時にこういうことをすると墜落してしまう。ということを検証しているんです。また、安全を確保するという意味ではドローンの調子が悪くなった時に緊急着陸場所を想定して設置しておくということが大事になってきます。」

KDDI山本氏
「徳重さん、日本ではなくグローバルでドローン業界を見た時どのようなスピードで発展していくのでしょうか?」
テラドローン徳重氏
「ドローンは測量や点検においてはかなり有効であります。とくに海外においてはパイプラインや土木の広さが日本より10倍以上違うので、いかに目視外飛行で効率的に活用するかが大事になります。国によってはその点がかなり進んでいるし、日本の自律飛行や目視外飛行についての技術はかなり優れています。とにかく、ドローンを使用する価値というのは間違い無くあるので活用の幅は拡大してきています。そしてドローンのテクノロジーの進化が極めて早いので、3年後には地方では人があまりいないところでは目視外飛行はあたりまえになるのではないかと思います。」

KDDI山本氏
「石橋さん、ドローンで気象の情報を知りたい。でも実はドローンは気象の情報を知っている。といった双方向の情報供給が盛んになって来ることについてどう思われますか?」
ウェザーニューズ石橋氏
「おっしゃる通りで、我々とドローンはお互いに欲しい情報を持っているので、流通の仕組みを構築していけばこれまで以上に新しい世界が見えて来ると思っています。ウェザーニュースはユーザーの写真や情報をもとに精度をあげる点には優れているので、ドローンから情報を取得した後にドローンに情報を返して行くことができれば好循環が生まれるのでは?と思っています。」

・意見交換と業務提携の期待

KDDI山本氏
「それではこんなにすごい主要メンバーの方々に集まってもらったので、意見を交わしてみたいと思います。まずは機体の供給を行う菅木さんから、なにを周りの4社に伝えたいでしょうか?」
プロドローン菅木氏
「私たちが思い悩む部分で、GPSだけに頼って自律飛行して良いのだろうか?と思う点があります。GPSの周波数帯として航空機とドローンは近いものを使っていますが、航空機はGPSと位置的に近いですよね。ですが、ドローンはせいぜい飛ばしても50メートルから数百メートル。さらには雨天や障害物でGPSが拾い難くなってきます。そういった点は悩ましいので、今回検証した3次元マップような物でマップだけを頼りに自律飛行できるようなシステムを作っていただきたいですね。また気象に関してもドローンの風量・風速情報を頼りに迂回ルートを作成し、暖気流などを避けれるようなものが出て来ると安全性も向上してきて良いと思います。」

KDDI山本氏
「藤沢さん、気象に関する近未来の情報も地図情報と相互関係にできるものでしょうか?」
ゼンリン藤沢氏
「ゼンリンでは3Dモデリングデータを起こす際にはビルなどのデータを作っていますが。そういったデータは気流の変化などのシミュレーターにも使用されています。なので、ドローンの情報をドローンが快適に飛ぶための新しい仕組み作りに活用するというのは、今までの空におけるマップとはちょっと違う点もありますが、情報を統合することで新たな使い方が見えて来るかもしれません。私たちとしては機体を作るメーカーではないので、より発達した機体を生み出すことに期待していきたいですね。」

KDDI山本氏
「徳重さん、GPSやマップだけを頼りに飛ぶのはグローバル的には有りえることなのでしょうか?」
テラドローン徳重氏
「私たちの専門分野ではないのですが、有りえると思います。スピード感と世界的視点というのが大事だと思っています。日本だけで考えるのでなく、世界で考えなければいけないんですね。管制システムなどは規制がネックになりますが、新興国のアジアは規制がとても緩いのです。それに伴い、実証実験も回数がこなせるのでどんどん改善されていきます。そして質の高いものが出来上がった頃に日本の規制が緩和してミートして行くということができると良いのではないかと考えています。」

KDDI山本氏
「では石橋さん、気象の大きな流れを把握したり運用する技術というのは進んで行くものなのでしょうか?」
ウェザーニューズ石橋氏
「気象には国境がないので気象予測を出すには世界から見ていきます、そして最終的にはローカルな山や地形におとしていきます。なのでどこまでスケールできるのかが問題になってきます。また、世界各地でドローンが飛び交うことで気象情報をドローンがそこら中から集めてくれれば天気予報の質は格段に上がっていきます。正直、私からしたらドローンは観測機にしか見えません(笑)。ぜひプロドローンには台風の目にドローンを入れて頂いて観測して頂きたいですね」
プロドローン菅木氏
「実は石橋さんのような面白い案件を持って来る方もいまして、上空2、3万メートルまであげられる物はないか?とかいう話もあったりします。また、台風の案件は以前にありまして、一度考えたことがあります。台風や竜巻のなかに入って観測した後、風の流れに任せながらも徐々に風をきりながら脱出するドローンというのも考えてみたことがあります。ただ静電気が多いのでドローンに異常がでてしまうのが心配ですね。また、そのほかには鳥レーダーというのがありまして、マグロ漁船の人たちはイワシの群れを探します。イワシの群れにはイワシを餌とするサバがいます。さらにサバを餌にするマグロがいるというわけです。イワシの群れを探すためには鳥が群がっている所を探すのですが、いざ近寄るとイワシしかいない。ということもあるので、船から小型のヘリを飛ばして偵察に行くのです。そのヘリのリース代は年間1億円もするといいます。またヘリから映像を送るのは2.4GHzの電波を使うのでドローンも同じ電波を使ってて良いのかな?とも考えます。そのへんをKDDIさんに提案したいですね。」

KDDI山本氏
「皆さん本日は有難うございました!」


■問い合わせ
KDDI
ゼンリン
プロドローン
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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。