ドローンの未来を発掘するエンターテインメントマガジン DRONE NEXT

複数のドローンが広域警備!数年後には実現なるか!?

Google+

ドローンのニュースを耳にすることで、SF映画のようにドローンが空を飛び交う未来を何度か想像したことがある。しかし、ふと我に返って現状と未来を思いくらべると、「そんな未来はまだまだ先の話だ。」と自分の年齢と未来を計算して虚しさを感じることもしばしば…。

ところが、今回公開された実験内容は、そんな肩を落とす私に希望を与えてくれるトピックスだった。

2018年から2022年の間に、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、かねてからドローンを活用したサービスの開発を進めているKDDIやテラドローン、セコムと共に「4G/LTEを活用した複数のドローンによる広域警備」を実現化させていくと発表したのだった。

●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)


ドローンをサービスに活用するNEDOの取り組み

NEDOロボットAI部 部長
弓取 修二氏

2022年といえばたった5年後の話だ。
NEDOは、それまでにドローンが空を飛び、業務を遂行するサービスを実現化していくと発表。それに付け加え、オリンピックイヤーである2020年にはDID地区(人口集中地区)でのドローンによる物流を開始する予定を立てていることを明らかにした。

国がドローンの活用に対して熱心に取り組んでいるとはいえ、2年後のオリンピックイヤーに、ドローンを活用した物流をDID地区で開始している光景が現状から想像できるだろうか?正直、私には想像ができず、国が背中を押しているとはいえ、どうにも信じがたい気持ちだった。

しかし、ドローンによるサービスの開発は我々の知らないところで活発に行われており、NEDOやKDDIが今回発表する内容は、技術面における現実的な未来のドローンサービスが見え、期待の膨らむ発表会となっていたのだ。

では、ドローンサービスを実現化するための5年間。具体的にはどんなことを進めていくのか?

予算33億円を使用し、運航管理システムに関わる3つの課題をクリアしていく。
1.情報提供機能
ドローンの運航に必要な気象情報やマップ情報等を、ドローン自らが情報収拾を行うことで、ドローンそのものが自分で情報を得て、自分で運航する。
2.衝突回避技術の開発
色々な業務のために運航する個々のドローンが、ドローン同士で衝突したり、建造物などに衝突しないように運航させる技術を開発していく。
3.ロボット・ドローンに関する国際標準化の推進
開発したサービス技術を国際化し、海外に展開していく。法制度などにも協調し、日本のサービス技術を拡大する。

NEDOは以上の3点に重点を置きながら、5年間の課題クリアに取り組む方針を明らかにした。また、今後のドローンサービスに必要不可欠となる技術は、運行管理システム、遠隔操作、通信技術、セキュリティーのデザイン技術の4つである考えを発表し、産業界や各学会と手を結び、開発を公開していくという。

まさにその第一弾となるのが、今回の「4G/LTEを活用した複数のドローンによる広域警備」の公開実験だったのだ。

4G/LTEを活用した複数のドローンによる広域警備とは?

NEDO、KDDI、テラドローン、セコムの4社は、世界初となる4G/LTEの通信ネットワークを利用した自律飛行で、複数のドローンによる警備実証実験を実施。広域範囲における遠隔巡回警備に成功している。

現在のセキュリティーは、警備員が巡回していたり、監視カメラが至るところに設置されているのはご存知だろう。さらに、人工衛星やヘリコプターを利用し、災害時に役立つ情報を集めていたりもする。現状は地上におけるセキュリティーと、上空500m以上のセキュリティーは前述のものにより担われているが、3~100m上空におけるセキュリティーが存在していないのだ。そこで新たにドローンを警備にあてるというわけだ。ただし、「複数のドローン」といっても無闇にドローンが飛び交うわけではない。

まず、ドローンは親機と子機の2つに分かれており、親機は子機よりも高度の高い地点で広域な地上を監視している。一方、子機は親機の監視で発見した異常、不審者の情報を基に、現場へ駆けつける仕組みとなっている。違う高度で動きのスピード感が違うドローンを運航することで、衝突リスクを回避しているのだ。なお、親機と子機にはカメラが搭載されており、映像監視アプリを介してオペレーターに映像を常に送っている。

子機は常に決められたルートで巡回警備を行なっているが、親機が異常を確認するとオペレーターの指示により、ルートを変更することができる。

では、ドローンが現場へ急行して何を行うか?

プロドローン製の警備用ドローンはカスタマイズに対応し、ズームカメラはもちろん、夜間警備を行うための超高感度カメラ、不審火を発見する赤外線カメラ、不審者を威嚇するLEDライト、異常をアナウンスしたり不審者に呼びかけるためのスピーカー。これらの装備をドローンに搭載し、現場で柔軟に対応することを可能にした。

そして、ドローンとオペレーターが常駐する警備室は、LTEを介して運行管理システムでつながっており、ドローンの運航、ドローンのパラメーター、周辺の状態を常に監視できる状態にある。

各社の役割は以下となる。
・KDDI
KDDIは、プロドローン製の機体に4G/LTE通信装置を取り付け、モバイル通信ネットワークによる遠隔制御を実現。スマートドローン(4G/5Gを搭載したドローン)の提供方針として、2022年には有人地帯での目視外飛行を予定している。

・テラドローン
テラドローンは、3次元地図対応の運航管理システム(UTM)を開発し、複数のドローンが同時に自律飛行する運航管理を行う3次元空域管理を実現。さらに、テラドローンは警備だけでなく、物流や農業、点検、測量などにおける産業別のアプリケーションを開発・提供していく。

・セコム
セコムはドローンをどういった動きで警備にあてるか?セキュリティサービスのプラン・知識を提供。

リゾート型遊園地で不審者を発見!

発表会当日は、実際にドローンを運航して不審者を見つけ出す公開実験が実施された。

公開実験を実施したのは、相模原市に位置する「さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト」。45万坪の広大な敷地面積の施設内から、ドローンで不審者を見つけ出すというもの。

親機(俯瞰ドローン)

子機(巡回ドローン)

使用されるドローンは親機(俯瞰ドローン)2機、子機(巡回ドローン)2機の計4機。プロドローン製のドローンで、上記で紹介したズームカメラやスピーカー等を搭載している。

重量は約20Kgあり、現状での飛行時間は10分〜15分程度。今後は飛行しながら充電できるシステムや、30分以上飛行できるものを開発していくという。

一方、室内では警備室を想定した実験用の設備が設けられた。
情報を表示するモニターが多数設置され、ドローンの機体の状態、ドローンが取得する情報、敷地のマップ情報などを管理する。

オペレーターはこれらの情報を見て、ドローンの飛行ルートの切り替えや、ドローンが撮影した映像を基に異常を見つける。

今回の公開実験ではあらかじめシナリオが設定されており、デモンストレーションに近い形で実施された。敷地内にはスタッフが扮する不審者を用意。実際にドローンを飛ばし、不審者を見つけ出すというもの。

飛び立った4機のドローンは親機と子機の分担に分かれ、高度を変えて飛行する。

飛行しているドローンからの監視映像は、ひとつのモニターにまとめて表示。カメラのズームやチルトもオペレーターが遠隔操作で行う。

数分飛行したところで、親機が不審者を発見。赤い丸で囲んだ部分に不審者がいる。ただちにオペレーターが不審者を追跡する指示を子機に伝える。

すぐさま近辺を飛行していた子機が現場に駆けつけ、不審者を追跡。不審者のそばに近寄り「あなたの行動はすべて画像に記録されています。すぐに犯行をやめなさい」という警告をスピーカーから呼びかけた。


■問い合わせ
KDDI スマートドローン

「いいね!」を押して
ドローンの最新情報をGET

Twitter で

この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。