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下水管にドローンを投入!AIの力で点検効率と業務課題を解決!

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ドローンを活用した点検業務はソーラーパネルや橋梁を中心に年々増加傾向にある。ところが、水道点検事業は様々な問題を抱え、NJS株式会社は最新のテクノロジーを駆使してこれを払拭するために、下水道施設と下水道管の点検に特化したドローンを開発した。

●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)


多くの問題を抱える下水道事情

近年インフラ設備の老朽化が話題となり、ロボットやドローンを活用していち早く解決を図る動きが活発化している。これと同様に、水道事業においても下水管の老朽化が深刻化しており、点検需要が高まっているのが現状だ。

現状の下水管の環境は、国が目標に掲げた下水管普及率の9割の施工を完了しており、インフラは不備なく稼働している。一方で、下水管を設置してから年月が経過した箇所が多く、老朽化が進んでいるのも事実だ。修理を必要とする異常箇所の報告が増加し、2010年過ぎからは保守点検のフェイズに移り変わってきている。以前は下水管の点検頻度に取り決めは無く、市区町村の判断で定期的に実施されていたが、2015年に新しく改正下水道法が施行され、5年に1度の点検が義務付けられることになった。

この法案が検討される際には水道事業における以下の問題点が浮かび上がった。
・水道事業に携わる人口の減少
・管路等の老朽化の進行・更新の遅れ
・自然災害による水道被害の多発
・水道事業に携わる職員数の減少・高齢化

なお、従来の下水管の点検方法を続けていれば、すべての管路を点検・更新するには130年以上がかかると想定が発表された。現在の点検にはカメラ車と呼ばれる車輪にカメラを搭載したものを活用しているが、1秒あたり10cm前後しか進まなかったり、下水管の内部にカメラ車を設置するのに時間がかかるなど多くの課題が残る。また、点検中はマンホール周辺の通行を封鎖する必要があり、そのための人員を確保しなければならない。

そこでNJS株式会社は、管路の点検・更新の問題と人手不足の問題を解決するために、作業効率の良いドローンを新たに開発するに至った。

実証実験を重ねてついに製品化が目前に

第一世代 Air Slider(AS400)

株式会社NJSが開発するAir Slider(AS400)と名付けられた直径400〜1350mmの管内に特化した点検ドローンは、ACSL(自立制御システム研究所)の技術を基に開発され、第一世代の機体を改良し、第二世代へと進化した。そしていよいよ製品化が検討される完成形に近づいている。

AS400の特徴は上記でも述べたように作業効率を向上した点。カメラ車が1秒間に10cm前後しか進まないことを問題視し、AS400は1秒間に1m〜3m進む設計にした。

さらに、カメラ車の困難な部分を考えると、狭い管内の中で車輪のついたものを運用するには、地表の段差の影響を受けることなどもあり、とても効率が悪い。そこで、空を飛ぶことが一番効率的であることからAS400はドローンとして開発された。

しかし、実際に点検を行うことを考えると1秒間に3mも進んでしまっては高精度なカメラを持ってしても細かい部分までしっかり確認ができるのか?という疑問が残る。

従来のカメラ車ではカメラで撮影した映像を見返し、人が目視で異常が無いかを点検していた。しかし、AS400の運用は解析ソフトと連携することで、さらなる効率化を図ることができるようになった。

撮影した映像は1次調査としてAIを用いて異常を発見する。これは、管内専用の点検機材にすることで可能になった。点検する形状は決まって筒状のものとなり、このパターンをAIが記憶し、過去のデータと照合することで異常な相違点を見つけ出してくれるシステムとなっている。もちろん1次調査を行なった上で人間が最終確認を目視で行う必要はある。

1次調査は解析ソフトにデータを取り込めば自動で行なってくれる仕組みで、時間短縮に貢献する。また、解析ソフトには異常な部分を見つけ出すだけでなく、菅を展開図にして表示する機能も備わっている。

では、実際に運用できる時間はどのくらいなのか?と訪ねてみると飛行時間は約3分〜5分と通常のドローンに比べると極端に稼働時間は短い。管の最長の長さは決められており、最長でも50mと指定されている。なので、AS400を使うと3スパンの点検を行うことができ、それでも十分に作業効率は向上すると言う。

第二世代 Air Slider(AS400)

プロペラは5個搭載され、機体の重量は1.5kg。平たい形状は少ないエネルギーで効率的に浮上できる構造を採用している。1次世代からは、搭載する2Kの撮影が可能な小型カメラに防塵防水ケースを備え、LEDライト位置の変更を行なった。管の中では亀裂破損を起こしている場所から水漏れが発生していることも珍しく無い。衝撃から守ることも考慮し、カメラケースを設けている。AS400の操縦にはWi-Fiによる無線を利用し、遠隔で操作する。

販売は2018年度中を予定しており、販売予定価格は350万円前後となる見込みだ。

 

非GPS環境下で下水道施設&設備を自律飛行で点検

株式会社NJSは管内の点検を行うAS400のほかに、ACSL独自の画像処理技術を搭載した自律飛行型点検ソリューションを開発。

PF1-Mini(AS800)

管が通る狭い施設を点検することに特化し、Visual SLAMと呼ばれる自己位置推定技術を利用して運用する。AS400が管内の点検を行うのに対し、PF1-Mini(AS800)は管の外観や施設内の点検を行うために開発された。

前方には衝突回避用のステレオカメラを備え、障害物を認識する。

非GPS環境下で自律飛行ができる仕組み(Visual SLAM)は、後方に搭載された単眼カメラで可能となり、このカメラで常にスタート位置の景色を記憶していき、そのスタート地点の映像の違いを比較しながら自分の位置を演算していく。映像は移動するにつれ、次々に地点を記憶する。

AS400では、管のパターンから異常部分との相違を見つけ出す解析が可能だったが、施設になるとパターンが多いため、AI解析は難しくなる。よって、機体の上部に取り付けられたSONY製の4KカメラであるRX0で撮影を行い、映像を目視で点検する必要がある。

PF1-Miniは直径1500mm以上の管点検に適しており、独特な形状で狭い場所にも入り込むことができる。すでに横須賀市の協力のもと実証実験を行っており、一度のフライトで15分ほど飛ばすことができると言う。

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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。