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Air Works China 2018にセンシンロボティクスが出展!全自動運用システムで海外市場に挑む

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株式会社センシンロボティクスは8月30・31日に中国上海にて開催されたDJI主催カンファレンス「Air Works China 2018」に出展。当イベントのグローバルセッションに登壇したセンシンロボティクス代表を務める出村氏にイベントの様子や、事業展開について話を伺った。

●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Info 株式会社センシンロボティクス


ドローン事業のプレイヤーが集結するAir Works China 2018

今年7月に12億円の資金調達を実施した株式会社センシンロボティクス(旧社名:株式会社ブイキューブロボティクス)は、ドローンに関するソリューションサービスを提供する企業であり、7月に開催された社名変更に関わる発表会ではロボット産業への参入も表意するなど、今後の動向に期待が高まる企業だ。

今回インタビューに応じてくれた代表取締役社長 出村太晋氏は、株式会社リクルートホールディングスやグリー株式会社の新規事業の立ち上げを担って来た経歴を持つ。その後、2015年頃にはドローンをツールとして活用すれば、ビジネスプロセスを変えることができると考え、ドローンに興味を寄せた。そして、ブイキューブの代表取締役社長であり、当時ブイキューブロボティクスの社長も兼任していた間下氏と話を進め、出村氏は2016年に代表取締役に就任した。

センシンロボティクスは以前からDJI社と交流を深めており、ソリューション開発やサービスにはDJIの機体も使用していることからAir Works China 2018の出展に案内がかかり、出村氏は「海外向けにソリューション開発を届けたい」という思いで出展を決めたと言う。

DJIが主催するAir Works China 2018は、全世界のDJIディーラー関係者が集まるドローンのためのクローズドイベント。30日には中国政府がドローンの取り組みを発表したことに加え、グローバル事例の共有としてMicroSoftやPix4D、 Skycatchなどが最新の事業トピックスを披露した。そしてセンシンロボティクスもこの中の1社として、出村氏が「日本市場における業務自動化の先進的な取り組み」をテーマに登壇。2日目となる31日には中国の国内事例の発表や、DJI深圳のコアエンジニアによる質疑応答の時間を設けるなど、来場者は約700名に及ぶイベントとなった。

Air Works China 2018に登壇する出村氏

センシンロボティクスの出展ブースでは、7月に国内で発表したソーラーパネルの点検業務自動化ソリューション「ソーラーチェック」と、全自動運用ドローンシステム「ドローンボックス」を展示。また、出村氏が登壇した「日本市場における業務自動化の先進的な取り組み」では、”自動化”をキーワードにソーラーチェックの活用事例やドローンボックスの運用方法などを熱く語り、最新トピックスとして電力業界向けの鉄塔点検ソリューションパッケージ「タワーチェック」のサービス発表を行った。センシンロボティクスの登壇時には400〜500名の来場者が集まり、なかでもソーラーチェックは自動化かつ一連の作業がオールインワンにパッケージ化されている点で興味を引き、多大なる反響を得ることができたと言う。とくに今回のイベントはクローズドイベントのため、ドローンの主要なプレイヤーが集まっていることや、すでに市場や事情を知っていることを前提に話が始まるので、今までの日本のイベントとは一際違った空気感が漂っていたと出村氏は語る。

ドローンを使えば全ての作業が自動に変わる

続いて出村氏に今後リリース予定のタワーチェックについて尋ねると、複数の技術コンポーネントを組み合わせた用途別ソリューションフォーマットの第一弾として開発したのがソーラーチェックで、この第二弾として組み合わせを通信事業者・電力事業者向けに最適化したものがタワーチェックだと話す。

ソーラーチェックは点検範囲を指定すると最適化されたパラメーターに基づいて航路が自動設定され、自動でフライトを始める。そしてクラウドにデータをアップロードすることで自動的にデータ解析まで行う。さらには結果報告としてレポートを自動生成するなど、いわば点検からレポートまでを一気貫通で自動運用できる全自動点検ツールと言ったところだ。まず最初にセンシンロボティクスがこのプラットフォームを作り上げたのは、認識機エンジンやレポートのフォームを別の点検対象物用に入れ替えれば、様々な分野の業務に流用できる点にある。

タワーチェックの場合は電力通信鉄塔を点検するために、ソーラーチェックでは平面だった航路設定を立体化したものに変え、3Dモデルの上に点検結果を重ね合わせることができるようにした。根本的なプラットフォームはソーラーチェックと同様なので、流用して開発が行える。今後はコンクリート構造物を点検するソリューションの開発を進めているが、基本構造はソーラーチェックやタワーチェックと違いは無い。プラットフォームが用意できれば、続々と色々な分野のソリューションを提供することができると出村氏は教えてくれた。

高精度な日本のソリューションは世界も受け入れる

出村氏はAir Works China 2018に出展するに至った「海外向けにソリューション開発を届けたい」という思いから、中国のドローンマーケットにも注目している。

7月にリリースしたソーラーチェックは海外展開を視野に入れて開発された。そのため多言語化に対応しており、主要な海外でも問題なく使用できる環境を整えた。もちろん今後リリースを控えるソリューションも多言語化を施して発表される。現時点で日本から海外に展開して成功をおさめているドローンのソリューションサービスは存在していないので、日本発のサービスを届けたいという気持ちは強い。また、日本はクオリティーに拘りがあり、他国と比べても品質の高い物が求められることから、日本の水準をクリアした物を海外へ展開する場合は品質の面では問題無く展開できると言う。

唯一海外展開での課題があるとすれば、サポートの面で様々な国からの質問やクレームに対応する環境を整えることだったが、既に協業関係にあるパートナー企業と連携し、カスタマーサービスを設ける手立てを行うことで解決できる見通しとなっている。

出村氏が考える今後の事業展開のプランはやはり海外展開が第一の目標となる。ソーラーチェックの後には、タワーチェックを10月に国内リリースを控え、さらに同様のプラットフォームでチェックシリーズの充実を図っていく。これらのシリーズが出来上がった時点でいよいよ海外展開に踏み切る考えだ。これに加えてドローン以外の事業(ロボット事業)も並行して展開していくと事業プランを説明してくれた。

次に中国の事情についても伺った。

イベント会場ではインフラ点検の話が多く、MicroSoftはMR(Mixed Reality)を利用した配管の点検を提案し、Pix4Dは3Dデータの活用方法を講演するなど、ドローンが取得したデータの活かし方に注目が集まっていた。また、ハードに関してもDJI Mavic2に使用できるオンボードSDKやペイロードSDKの活用など、サードパーティーに趣を置いている感じが見受けられたと言う。

日本と中国での大きな違いはDJIが政府と手を取り合って動いている点にあり、深圳市では警備監視用にドローンが試験的に飛ばされるなど、整備が進められている。ところが、深圳市以外を見れば日本と同様にドローンが飛ばせない地区と飛ばせる地区はしっかりと区分管理されている。全体的な規制に関してもそれほど日本が遅れている印象はない。ただ、ハード開発の面では中国が随分と先を歩いているのは事実のようだ。これを受け、シンセンロボティクスはソリューションやソフトウェア、制御システムを武器に戦っていくことを決断したのだ。

なお、海外の点検需要においては全般的に日本に比べると点検を必要とする土地や施設が多い。土地は広大であり、ソーラーパネルなども日本に比べて大型かつ広敷地な環境となっている。さらに、施設だけでなく人手が足りていない業務現場や作業員の危険が付きまとう場所での業務が問題視されており、リスク回避のためにもドローンの需要が増加傾向にある。これは日本が抱える問題と同様だ。

中国はインフラ点検に注目が集まっている一方で、物流会社が物資運搬に力を入れている。日本でのドローンを活用した物流は一部の区間での実証実験が行われているが、これから実用レベルで運用されるにはかなり時間がかかることが予想されると出村氏は踏んでいる。センシンロボティクスはそんな中で、注力領域である防災減災への貢献の一環として緊急時の物資搬送に注目し、医薬品を運ぶ実証実験を実施した。この延長線上で緊急時輸送での対応も考えていると明らかにした。

グローバルな課題に応えるセンシンロボティクス

では、海外展開以前に日本におけるドローン普及の感触はどうなのだろうか?第一線で事業を繰り広げる出村氏に尋ねてみると、課題先進国と呼ばれる日本への導入は時間がかかるという答えが返ってきた。

例えば、企業がソリューションサービスの導入を検討していてもスッと運用には繋がらないのだ。とくに大企業であれば、需要に対するサービスを実証実験という形で導入する。その後トライアル導入の期間を経て、限定的なエリアでの運用を開始。そして初めて全社的に普及が始まるのだ。とにかくトライアルと実験段階のフェイズが多いことに出村氏は言及した。しかし、日本が抱える課題は海外を先取りした課題が多く、日本で普及導入が成功すれば海外で起きる課題も解決に運ぶことができると話す。

最後に出村氏は、センシンロボティクスは業務の自動化にフォーカスし、ドローンを中心に最新のテクノロジーを活用して事業展開を進めていくとし、現在ドローンを操縦している人達が想像できないようなことを自動化していくことができるということを知ってもらいたい。今後は日本発のソリューションで海外の社会課題にチャレンジしていくと意気込んだ。

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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。