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産業用ドローンの革命機3Dロボティクス「solo」の”今”

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●Photo By ドロネク!(DroneNext)
●Written By 青山祐介(Yusuke Aoyama)

クリス・アンダーソンの予言を象徴した「Solo」

3Dロボディクスは米国を代表するドローンメーカーだ。元『Wired』編集長のクリス・アンダーソンがCEOを務め、2015年にリリースした「Solo」が、中国のDJIに対抗するドローンとして注目を浴びた。Soloは同等のクラスのクアッドコプターで、DJIのPhantomと対照的に、真っ黒なボディデザインが大きな特徴。本体下面にはGoProのスポーツカム「HERO」シリーズのマウントや専用の3軸ジンバルが取り付けられるようになっている。その後、DJIがコンシュマー市場を席巻したことで3DRBtoB市場にフォーカスし、Soloの拡張性を活かした販売戦略にシフトした。

そこで3DロボティクスはSoloをコンシューマー向けの空撮機ではなく、測量用カメラや赤外線カメラ、センサーなどを搭載し、測量や点検、精密農業といった分野のツールとして位置づけ、さらに企業としての姿もドローンのハード開発から、ドローンを中心にしたソフトウエア、ソリューションを開発する企業へと転身。2016年3月にはCADソフトメーカー大手の米オートデスクに加えソニーと提携し、Soloにソニーが開発した専用ジンバルカメラを搭載し、空中から撮影した写真を元にオルソや3Dモデルを生成するソリューションとして「SiteScan Solo」をリリースした。また、このほかにも赤外線カメラメーカーFLIRシステムズ製のカメラ「Vue Pro」や、Parrotの農業用マルチスペクトルカメラ「Sequoia(セコイヤ)」を搭載したモデルもラインナップしている。

そのひとつ「SiteScan Solo」は、Soloの機体下面に3軸ジンバルを介してSiteScan専用のソニー製「R10C」カメラを搭載。このカメラは2000万画素のAPS-Cサイズのセンサーを持ち、「サーベイモード」であれば専用20mmレンズを、「インスペクトモード」であれば16-50mmズームレンズを取り付けて使う。操縦はiPadを接続した専用のコントローラーを使用。iPadには専用アプリ「SiteScanフィールド」をインストールすることで、Soloが撮影している映像をモニターできるだけでなく、自動航行のプログラムから実行まで行うことができる。

3DロボティクスのSiteScan版Solo。3軸ジンバルを介してソニー製のAPS-Cカメラ「R10C」を装備。今回の取材では「サーベイ」モード用に20mmF2.8のレンズを搭載していた。

機体とはWi-Fiで接続される。コントローラーにはiPad miniなどのタブレットをホルダーに取り付けて使う。タブレットとの接続もWi-Fiだ。フライトはアプリ上のボタンかコントローラーの「FLY」ボタンを押すだけ。離陸から着陸まで2本のスティックは操作することがない。

専用アプリ「SiteScanフィールド」で、現場の航空写真を表示させ、撮影したい範囲を指定して、飛行高度やオーバーラップ率、帰還高度などを指定する。

「Soloを見た設計コンサルタントのお客様が、『ドローンって大きくなくていいんだ』とおっしゃるんです。今までですとこうした仕事で使うようなドローンは、大きな6発、8発機でないと、というイメージがあるんでしょうね。それがSiteScanを使う用途なら手持ちで運べるSoloでできることに驚かれるんですよね。以前、3DRのCEOクリス・アンダーソンが来日した時に『ドローンはどんどん小さくなる』と言っていましたが、小さくてもちゃんとしたデータが取れて、ソフトがちゃんとしていれば、十分効率よく仕事ができるのがSoloなんです」と話すのは、3Dロボティクス製品の輸入元である、芝本産業の小林正幸事業開発部次長(写真右)。

自動認識する対空標識によって精度は“ミリ単位”に

今回は実際に野球場2面分程度の広さがあるグランドで撮影のデモを取材。まずはアプリの「サーベイ」モードを起動し、GNSSの位置情報から得られた現在地の航空写真を表示させ、その上で撮影したい範囲を写真上に指定。飛行高度やオーバーラップ率などを指定すると、自動的に飛行軌跡が生成される。あとはプリフライチェックリストの「Take Off」ボタンをスライドさせるだけで自動的に離陸。所定の高度まで上昇したら、指定したウェイポイントをたどりながら撮影を行い、決められた高度で離陸場所の上空まで戻ってくると、Soloは自動的に着陸した。この間約10分足らず。50枚の写真を撮影してミッションは完了だ。


フライトまでの端末操作は実にシンプル。専用のアプリを起動したのち、フライトさせたい範囲・カメラのアングル・飛行高度等を設定した後、「FLY」ボタンをポチっとするだけで離陸から着陸まで全て自動で行ってくれる。

撮影データはSiteScanで処理を行う。SiteScanはPCにインストールするのではなく、すべてデータの処理をクラウド上で行うのが最大の特徴だ。「サイトスキャンマネージャー」というクラウドサービスをPC側はブラウザを通して利用するため、PCなら高いスペックが求められるデータ処理も短時間で可能。撮影データは、iPadから直接クラウドにアップロードすることもできる。例えば1100枚程度の写真から点群データを生成するのに、夕方アップロードしたら翌朝には出来上がっているという具合だ。

撮影データをクラウドのSiteScanマネージャーにアップロードすると、自動的に三次元データが生成される。対空標識を写し込んでおけば、自動的にその位置がハイライトされる(写真の×の場所)。対空標識をタップしてその中心にタグを打っていくことで、データの精度をさらに高めることができる。

得られた三次元ファイルからは、撮影エリアの距離、面積、体積の簡易計測ができるほか、等高線を作成して表示することも可能だ。また、撮影時に対空標識(基準点)を写し込んでおけば、自動的に認識する「ライトニング」という機能も搭載。膨大な撮影データの中から対空標識を画像認識で見つけ出しハイライトするので、その中から4~5カ所を選択すれば、ミリ単位の精度が出るという。

三次元データから等高線を生成。さらに高さを色で表現したり、影だけのモデルで表現したりするといったことも可能だ。

データ内の距離・寸法や面積、さらに体積の算出も簡単に行うことができる。

「これまで、土砂を移動させる必要がある土木工事では、ダンプトラックの手配をする際にその台数を概算で出すしかなったのですが、SiteScanを使えばかなり正確に土量を計算できるので、設計単価の見積もりがしやすくなります。また、ドローンの飛行がとても簡単なので、例えば現場で週に1回、毎日といったように飛行させれば、工事の進捗が一目でわかります。前のデータと比較して、建機が動いていないといったこともわかるわけです」(小林氏)。

離れた場所で同時にデータを共有できる

また、アプリの「ペリメータースキャン」モードを利用して建物や橋梁のような立体物を、立体的な点群データとして記録することも可能だ。「より精密な点群データを得るには、写真の枚数が必要ですが、SiteScanは容量制限がないのでいくらでもアップロードできます。PCだと写真の枚数が多くなると、スペックによっては処理できなくなることもありますが、クラウドのSiteScanならそんな心配もありません。点群データは構造物の点検などに多く利用されていますが、評定点、検証点を写し込んでおくことでミリ単位の精度が出せますから、例えば鋼鉄製の橋脚などを撮影して、途中で図面通りの寸法精度が出ているか、といった使い方もできます。これも、クラウドでオートデスクとPix4Dが動いているから精度が出るんです」(小林氏)

クラウドサービスとなっているSiteScanのメリットは、処理性能や速度だけではない。ブラウザベースで利用できるため、PCやタブレット、スマートフォンなど、さまざまなデバイスで利用することが可能。作成した三次元データのリンクを送信することで、複数のスタッフ間でデータを共有するのも簡単だ。また、複数の現場で撮影したデータを処理する場合でも、クラウドに上げさえすれば同時並行的に処理して三次元データを得ることができる。

SiteScanバージョンのSoloは、R10Cカメラを装備した機体にコントローラー、20mmと16~50mmズームレンズ、バッテリー3本などを収めたハードケースとSiteScanフィールド(アプリ)、SiteScanマネージャー(クラウドサービス)の1年間無制限ライセンスを合わせて180万円。2年目以降は1年間の無制限ライセンスが70万円となっている。また、2017年夏からはSiteScanがDJIのPhantom4 Proにも対応。こちらは100万円となっている。

SiteScan版Soloのコンプリートセット。機体のほか、コントローラー、バッテリー3本、レンズ2本などが堅牢なハードケースに収められている。

このDJIドローンへの対応が象徴しているように、3Dロボティクスが提供するものは、SoloとういハードからSiteScanというソフトへと変わってきた。「3Dロボティクスを訪ねると、さすがシリコンバレーに本拠を置く企業だけあって、若いスタッフが多く、発想力、考え方がフレキシブルだと感じます。日本の顧客からの要望をリクエストすると、数週間後には実装されていたりして、彼らのスピード感、そして対応能力に驚かされるんです」(小林氏)。


■問い合わせ/取材協力
芝本産業
3DR

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