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センシングを中心にドローンを効率運用!ヤマハの次世代農業プラットフォーム「YSAP」

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ヤマハ発動機株式会社は農業用マルチローター「YMR-08」や産業用無人ヘリによる農薬散布において、データ管理や運行管理をスマートフォンやPCで管理するためのプラットフォーム「YSAP」の展開を発表。システムの構築に向けて、観測・解析を専門とする企業3社と協業しました。

●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)


農業市場は人口減少や高齢化が深刻な問題となっており、1990年に50代だった日本の農業就業者の平均年齢は現在66才を超え、農業就業人口は同期間で480万人から200万人前後まで減少。日本の農業は作業の省力化・効率化が強く求められ、ICTを活用したスマート農業の取り組みがスタートしています。同社が開発したYMR-08もスマート農業の一環として、省力化・効率化・精密農業化を通じた農業価値の向上に貢献していく構えを見せています。今後のスマート農業はセンシング技術や最先端の農機具をいち早く現場活用することに拍車が掛かります。

今後の国内ドローンの市場規模予測は圧倒的に農業分野と点検分野が伸び、農業市場では2024年に760億円に及ぶとされています。

次世代農業はICTを推奨することで、農作業の効率化や課題解決を図るだけではありません。農家が抱えている悩みは、農作業のほかに経営部分にあります。農家の収益効率を改善するためにも、センシング情報を経営に生かしていく必要があり、同社は今回発表したYSAPを通じて、農家の収益構造を今一度見直す環境作りを目的としています。

 

農薬散布とセンシングをパッケージにした「YSAP」

同社はセンシング技術を所有する国際航業株式会社、株式会社トプコン、ウォーターセル株式会社の3社と協業し、新たな農業向けのプラットフォーム「Yamaha Motor Smart Agriculture Platform(YSAP)」を発表しました。

同プラットフォームは「新しい農業スタイルを空から創る。もう一歩先の散布サービス展開」をコンセプトに企画されたサービスです。最新の観測技術を用いることで、圃場の育成状況をアプリケーション上で可視化することに成功しました。人工衛星やドローンを使った情報収拾が可能になったことで、一括でデータ管理を行い、農薬散布が必要とされる場所をピンポイントで見つけ出せます。さらには収穫量の予測も可能になります。

従来は作業者の経験を頼りに、散布時期や散布回数を決め、圃場全体に均一に散布していましたが、農薬散布が必要な場所を特定することで、適正な散布量を必要な場所だけに、最適なタイミングで散布できるようになります。また、YSAPには農業経営管理ツール「アグリノート」も連携しており、追肥の可否情報を含めた散布計画をスケジュール帳のようにアプリケーションで管理しています。スマホやタブレットから所有する広大な複数の圃場を管理し、農作業の記録を付けられるのです。さらには、圃場のマップ上に必要な写真をタグ付けし、生産者と作業員同士でリアルタイムに情報を共有することができます。

4社はYSAPを開発することで、農薬のコスト削減、作業時間の短縮、的確な作物育成、収穫量向上、経営改善に役立てることを目標に、農業分野の課題解決を目指し、同社が掲げる2030年に向けた長期ビジョンのひとつとして、ロボットやドローンの無人システムの開発を加速し、より効率的な農業経営や省人化に努めていくと発表しました。

同プラットフォームは今年から試験的な提供をスタートさせ、価格を設定したサービス提供は来年度中を予定しています。

■協業各社の役割と提携サービス

・ヤマハ発動機株式会社
ヤマハ発動機は2019年3月よりYMR-08の一般販売を開始。1回のフライトで8リットルの薬剤を使用し、1haを15分で散布します。これまで無人ヘリで培ってきた農薬散布のノウハウを反映させ、信頼の”JAPAN品質”に拘って開発されました。そして価格はリーズナブルな275万円(税込)で販売を開始します。加えて、ドローンの取り扱いサポートとして「ヤマハマルチローターアカデミー」と題したヤマハ発動機独自の教習カリキュラムも展開。YASPではセンシングデータに合わせて自動での農薬散布を提供。

・国際航業株式会社
2017年10月よりスタートしたクラウド型営農支援サービス「天晴れ」を提供。国内外の複数の人工衛星や航空機、ドローンを使用し、圃場の情報を収拾することで、解析処理を行います。解析されたデータは圃場の状態を可視化し、生育状況の診断レポートを作成することが可能になりました。天晴れによる解析情報をもとにドローンを活用。

・株式会社トプコン
トプコンは精密農業ソリューションのプロバイダとして、トラクター等の農機具の自動化を進めています。YSAPでは、レーザー式生育センサー「CropSepc」を提供しており、ドローンにセンサーを搭載して情報収拾することで、ピンポイントでの肥料散布の可否を生育マップに落とし込みます。育成状況を測量するセンサーは、太陽光の反射率を測定する方式が一般的ですが、CropSpecは自ら照射するレーザー光の反射量で計測するので、定量的な測定が可能なうえ、夜間での活用も可能にしました。

・ウォーターセル株式会社
農業経営管理ツール「アグリノート」を提供。気軽に扱える管理システムとして、航空写真をベースに視覚的に圃場を管理できるシステムです。一通りの農作業のスケジュールを計画し、作業記録を付けることが可能。さらにはクラウドシステムにより、関係者間で情報のシェアが可能です。


@ヤマハ発動機株式会社ー無人システム
@国際航業株式会社
@株式会社トプコン
@ウォーターセル株式会社

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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。