ドローンの未来を発掘するエンターテインメントマガジン DRONE NEXT

ドローンは豪雨でも問題ナシ!?産業機の飛行性能を徹底検証!

Google+

ドローンのラインナップを眺めると、DJIのMatriceシリーズやSwellproのスプラッシュドローンなど、防水仕様の産業用ドローンはいくつか存在している。しかし、産業用として活用するからには生易しい雨だけでなく、豪雨での出番も無いとは限らない。むしろ人命救助や異常気象の観測などを考えれば、酷い悪天候の時こそドローンを運用したい企業は少なくない。そこで日本気象協会を筆頭とした4社は、大雨時におけるドローン飛行の可否判断を行う「大雨アラート」の開発に乗り出し、日本初となる豪雨でのドローン飛行実験を実施した。

●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)


”空の産業革命”はそれほど遠い話ではない!

2013年に身近なドローンが登場してから早くも5年が経ち、コンシューマー向けのドローンが一定の層に行き届いたことで、いよいよ次はエンタープライズ向けのドローンが発展していくと踏んでいる人も多く、海外のドローン市場でもドローンを活用した業務に注目が置かれている。

2018年は「ドローン物流元年」とも呼ばれ、無人地帯や山間部でのドローンによる荷物配送が実施されるなど、政府が提案する「未来投資戦略2017」や「空の産業革命に向けたロードマップ」をもとに実現化が進められている。そして、2020年代には有人地帯において目視外飛行によるドローン運用を実現するべく、国をはじめ、様々な企業と団体が取り組んでいる。

そこで、日本気象協会はドローンが様々な分野で活躍する以上、自然現象と遭遇することは避けては通れないと考えた。ドローンが遭遇する自然災害には第一に強風があり、突風や強風によって墜落する可能性も少なくない。それに加えて産業で活用するには、大雨の場面で飛行することも可能性はゼロではなく、今後増えていくといえる。

この未来背景を汲み取り、日本気象協会は第一弾の実験として”大雨でのドローン運用”に重点を置き、イームズロボティクス、イームズラボ、防災科学技術研究所と協力することで、今回実験を実施することに至ったのだ。

 

豪雨!!最大300㎜/hによる飛行実験は何に活かせるか?

前述したとおり、今後のドローン市場を見据えて日本気象協会は大雨での実証実験を実施。

この実験の目的は、ドローンが大雨に遭遇した時のデータを取得することで、大雨時にドローンが飛行できるかどうかを判断する指標「大雨気象アラート」の開発に役立てる。この大雨アラートを作ることができれば、大雨による災害時などにドローンを飛ばすという活用方法が広がっていく可能性があるとしている。

また、日本気象協会とともに実験を行い、防滴対応のドローンを提供するイームズロボティクス/イームズラボは、人が近づけない場所や、過酷な環境下で飛ぶドローンを作って欲しいというニーズが高まっており、火災現場で消化剤を巻くドローンなどがリクエストされていると発表した。

乱気流や風の中を飛ぶ実験は環境を作りやすいが、雨については定量的に雨を降らせる必要があるため、貴重な実験であり、様々なデータが取得できる。雨はジャイロセンサーにノイズを発生させることもあるので、そういったデータを取得するのも今回行う実験の狙いだ。実際に飛行中のセンサー類がどういう動きをしたのか?というログを取ることができるので、これを元にソフトウエアの開発に活かせるとしている。

イームズラボのドローン開発担当者は、ドローン開発に対して現在注目している部分として、流体解析による乱気流や強風のなかで飛ぶためのプロペラ開発や、人工知能の搭載などを挙げた。人工知能の部分では、自律制御をするだけでなく、万が一の墜落時に着陸場所を選定するプログラムや、森と建物をしっかり判別する機能、人命救助の際には人の人数を数えて報告するといったパイロットの頭脳に近いものを実現していきたい旨を明かした。

 

約20分に渡る豪雨の中でドローンの飛行テストを実施

大雨による飛行テストは防災科学研究所の協力のもと実施された。
防災科学研究所が提供する大型施設は、世界最大の散水面積(3000平方メートル)、散水能力を誇り、自然降雨に類似した環境を作り出すことができる。今回は最大300㎜/hの豪雨を再現し、雨の量だけでなく雨滴のサイズも約6㎜とし、自然の雨により近いものを作り出した環境下での実験となった。

今回設定した雨の条件は3段階。まずはじめに、ゲリラ豪雨に匹敵する100㎜/hの猛烈な雨の中を飛行テストし、次に日本における1時間雨量の最大観測量である180㎜/hにレベル上げる。最後に日本の10分間で観測された雨量の最大記録300mm/h。この3段階の実験を通して大雨気象アラートを開発していく。

使用される機体はイームズロボティクス/イームズラボが開発した防滴ドローン。4枚羽と6枚羽の2種類のドローンが用意され、今回の実験では4枚羽のドローンが使用されたが、今後実験を重ねるうえで両方のドローンのデータを取得していくとしている。

実際に飛行テストを実施するとドローンは安定した飛行を見せ、大きな問題はおきずにフライトを終えた。大雨に加えて業務用扇風機による横風を当てたが、かすかな挙動の乱れはあるものの、直ちに姿勢を立て直し、フライトを続行する。テストパイロットは今回の操縦について、ほとんど操作することはなく、ドローンを進めたい方向に軽く舵を当てているだけで安定した飛行をしてくれると解説した。

以前に同様のテストを行った際には、ドローンのわずかな隙間から雨の侵入が見受けられたが飛行には問題がなかった。しかし、プロのパイロットやスタッフが異常を来たす前に発見したから防げたもので、気付かずに飛行を持続していれば故障していた可能性も否めない。こういった事態も想定されるため、運用にはしっかり知識を蓄えた者が付き添う必要があるとされる。


今回の実験により、300mm/hの豪雨でも問題無く飛べることが分かっただけでなく、バッテリー消費量やエネルギー効率に変化を及ぼすということも分析できた。また、センサー類の動きについてもこれから細かい解析を行い、次の実験やドローンの開発に活かしていくとしている。

「いいね!」を押して
ドローンの最新情報をGET

Twitter で

この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。