石油・ガス設備の点検測量ソリューションを北米で開始

テラドローンVentusスタッフと経営陣
今回テラドローンが出資したVentusは、2011年の設立以来、アメリカのヒューストン、カナダのカルガリー及びレスブリッジの3拠点を中心に、ExxonやTC Energyをはじめとする200を超える企業に対して、地形・空間データの提供を行ってきた実績を持つ。2017年には、テラドローンのグループ企業であるC-AstralのUAV機体を使用し、36分でおよそ22キロメートルの目視外飛行に成功。北米地域で初めて目視外飛行を成功させた企業となった。今後は、C-Astralの機体も活用し、目視外飛行を取り入れた点検・測量サービスも提供していく。
テラドローンは、石油・ガス分野のソリューションを強みとしており、タンク、フレアスタック、ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)などの点検を実施してきた。同社は、メタンの検出が可能なガス検知システムを開発し、2018年に特許を取得。このシステムを活用することで、漏出したガスの量の把握、ガスプルームの位置やガスの漏出箇所の特定をすることが可能だ。
テラドローンの北米事業統括である関鉄平氏は、アメリカ進出の背景として次のように述べている。
「中でもヒューストンはシェールガスの主要な生産地であり、カルガリーも北米の中で石油・ガスが豊富な地域だ。さらにテキサス州の石油生産量は、ロシアとサウジアラビアの国々に続いて世界3位となっている。石油・ガス分野は私たちにとって有益な市場だ。」
今年3月には、ヒューストンで石油・ガス関連施設の8つのタンクで火災が発生し、数日間燃え続ける事故が発生。定期的な設備点検をすることにより、異常を早期発見することで、このような事態を最小限に抑えることができる。
さらに関氏は、エネルギー分野におけるソリューションの需要について
「米国は世界第2位の風力エネルギー生産国であり、テキサス州は米国内でトップの風力発電容量を誇っている。さらに今年、カリフォルニアでPG & Eの管理する送電設備で大規模火災が起こっている。これらのことから、風力発電や送電線点検の需要は非常に高い。」
と述べた。
VentusのCEOであるポール・ミッチャム氏は
「テラドローングループの技術を取り入れることで、さらに幅広くより高度なソリューションを提供することができる。Terra Inspectioneering(元RoNik Inspectioneering)のUTドローンなど、テラドローングループの技術を、石油・ガス施設の点検に取り入れていきたい。」
と意気込みを語った。
今回の出資により、Ventusが長期にわたり培ってきた石油・ガス業界での点検ノウハウと現地でのサービスネットワーク、そしてテラドローングループが持つUAV最先端技術を組み合わせることで、より付加価値の高いサービスを提供していく。

ドローンの飛行により得られた、坑井の標高と設計を比較したデータ