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2018年の最新改正事情!イベント上空でドローンを飛ばす条件とは?

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2018年に入り、「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」が1月9日と1月31日に2回、内容の一部が改正されました。今回は、この改正についてと、改正の際、事前に行われたパブリックコメント制度について解説させていただきます。

●Written by 吉田 智恵(Tomoe Yoshida)


旅客機の周辺を飛行するドローンが新たな問題に

【2018年1月9日の審査要領一部改正について】
この改正は、2017年10月5日、大阪(伊丹)空港で誘導路の上空をドローンとみられる物体が飛行し、日本航空(JAL)の旅客機が着陸をやり直したという事件があり、他にも航空機と無人航空機によるニアミス事案が頻繁に生じていることを背景に、航空機や他の無人航空機との調整をする旨などが審査要領に追加されました。

具体的には、審査要領4-3「無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制」の中に、「航行中の航空機に接近しないこと及び進路を譲ること」、「飛行中の他の無人航空機との衝突を予防すること」、「飛行目的によりやむを得ない場合をのぞき、視界上不良な気象状態においては飛行させないこと」が追加されています。

この審査要領の変更に伴い、「航空局標準飛行マニュアル」にも変更があり、飛行マニュアルにも、ドローンの飛行の際に、他のドローンとの調整をする、接近や衝突を回避する、航空機を確認した場合にはドローンを飛行させないなどといった内容の項目が追加されているので注意が必要です。

また、許可等の期間を更新する際の「更新申請」の提出期限について、「期間の満了の日の40開庁日前から10開庁日前までに行わせるものとする」という項目が新設され、さらに、許可等を取得した後に、機体や操縦者の内容の一部を変更したい場合の「変更申請」について、変更がない事項の記載や資料の添付を省略できるという項目が新設されました。

合わせて米軍施設周辺の飛行にも注意が必要!

国土交通省
「米軍施設周辺でのヘリ・ドローンの飛行について」より抜粋

2月20日には米軍施設の上空及びその周辺においてのドローン飛行における危険性について注意を呼びかける情報が掲載されました。また、飛行を行わないようにお願いする旨のビラ・ポスターを配布・掲示しています。

個別申請が必要となった催し場上空の飛行

【2018年1月31日の審査要領一部改正について】
この改正は、2017年11月4日に岐阜県大垣市のイベント会場でドローンが観客のいる場所へ落下し、3名に軽傷を負わせる事故が発生したことを受け、ドローンの飛行経路周辺において立ち入り禁止区画を明確にすることという要件が追加されました。

また、本件事故を起こしたドローンが、国土交通省のホームページに掲載されていない無人航空機であったため、このような自作機や、申請時に資料の一部を省略できない機体を申請する場合、十分な飛行実績(飛行時間、飛行回数)を有することとする要件が追加されました。

そして、この改正により、以前は催し場所の上空での飛行申請も飛行経路を特定しない「包括申請」が可能でしたが、その都度飛行経路や飛行の日時を特定した個別申請をしなければならなくなりました。

より強化された飛行条件に適合する必要アリ!

【多数のものの集合する催し場所の上空における飛行を行う場合の基準】
では、この個別申請をした場合の審査基準の詳細は、どのようなものでしょうか。
審査要領では、「機体について」、「無人航空機を飛行させる者について」、「安全を確保するために必要な体制について」の3つの内容について基準が定められていますが、改正があったのは、このうち「機体について」と「安全を確保するために必要な体制について」の部分です。

▼機体について
プロペラガードなどを装着するなどして、観客や物にドローンがぶつかったときの危害を軽減する構造を有すること、イベントでドローンを飛ばすときに想定されると同じ運用方法で、3時間以上の飛行実績があり、その中で離陸と着陸を10回以上行っていることです。

▼安全を確保するために必要な体制について
イベントの主催者と予め調整の上、飛行の高度と飛行範囲の外周を定めた下の表のような立ち入り禁止区画を設けなければならないこと、風速5m/s以上の場合は飛行させないこと、飛行速度と風速の和が7m/s以上となる場合には飛行を行わないこととされました。

パブリックコメント案件番号155171229
「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領の改正について」より抜粋

なお、これらの基準は、係留装置の装着をしている場合、ネットを設置している場合、ドローンの製造者等が落下距離を保証しその距離を立ち入り禁止区画として設定している場合等は例外的に適合しなくてもよいとされています。

飛行の高度 立ち入り禁止区画
20m未満 飛行範囲の外周から30m以内の範囲
20m以上50m未満 飛行範囲の外周から40m以内の範囲
50m以上100m未満 飛行範囲の外周から60m以内の範囲
100m以上150m未満 飛行範囲の外周から70m以内の範囲
150m以上 飛行範囲の外周から落下距離以内の範囲

※高度150m以上の場合、落下距離が70m未満の場合にあっては、70mとする。

実際に申請する際は、イベント会場の様子等や安全対策について、これらの基準に従い、
個別に事案ごと具体的に審査されることとなります。

一般市民から意見を募るパブリックコメント制度

【意見公募手続(パブリックコメント)について 】
ここまで見てきたドローンの飛行許可・承認申請の際の審査要領の改正にあたり、事前に意見公募手続(パブリックコメント)が実施されました。
※パブリックコメント制度が発表された際の記事はこちら

このパブリックコメントとは何でしょうか。
行政手続法第三十九条第一項で「命令等制定機関は命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めなければならない。」と定められています。

この「命令等」とは、法律に基づく命令・規則、審査基準、処分基準、行政指導指針を指します。つまり、パブリックコメントとは、行政機関が規制の制定・改廃に係る行政立法を策定しようとする場合、事前に案を公表し広く意見を求めそこで提出された意見・情報を考慮するという手続きです。

今回の2回行われた審査要領の改正についても、問題や事故が明るみになり、審査要領の改正にあたり事前にに意見の公募が行われ、意見が寄せられていました。

公募中の案件、公募の結果や提出された意見は、「電子政府の総合窓口」(e-Gov)で見ることができます。そして公募中の案件に対しては、誰でも意見を提出することができます。

もちろん、今回の審査要領の改正に対して寄せられた意見も見ることが出来ます。
※意見公募ページはこちら

今回のパブリックコメントでは40件の意見が寄せられました。
意見公募の締め切り後には結果が公開されます。
※「無人航空機の飛行に関する許可・承認の指定要領」の一部改正に関するパブリックコメントの結果ページ

パブリックコメント制度を有効活用しよう

事故や問題が起こると、審査要領が厳しくなるなどして、ドローン産業の発展の妨げとなります。今後のドローンの利活用を促進していくためには、ドローンを運用するユーザーお一人お一人が、きちんと安全意識を持ち、機体、法令などについての知識を深めていく必要があるのではないでしょうか。事故は、誰も起こしたくて起こすものではありませんが、これにより防げるものは多くあると思います。

また、パブリックコメントについては意外に知られていないという印象です。一般の方が、行政に意見を提出し、情報を提供できるいい機会ですし、実際にドローンを運用している方の意見は、行政立法にとって貴重であり、ドローン産業の発展にも少なからず関わってくるものなのではないでしょうか。これを機会にパブリックコメントの制度について知っていただければ幸いです。

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この記事は私が書きました。

ドローン飛行許可・承認申請専門行政書士。法律事務所職員、団体職員を経て、東京都新宿区にて「行政書士吉田ともえ事務所」を設立。ドローンに興味を持ち、DJIスペシャリスト、JUIDA認定無人航空機操縦士・安全運航管理者、無人航空従事者試験(ドローン検定)1級、第三級陸上特殊無線技士を取得し、クライアントのドローンビジネスをサポートしている。