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農薬散布効率が格段にアップ!マルチコプター型の農薬散布機「飛助MG」納品開始

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シンプルな操作で手軽な農薬散布を実現

農林水産航空協会認定国内製造メーカー・株式会社マゼックスは農林水産航空協会認定機で農薬散布ドローン『飛助MG』を2019年4月1日より納品をスタートした。

 

農薬散布性能を向上させた4枚プロペラの「飛助MG」

農薬散布ドローン『飛助MG』の最大の特長は「散布性能の向上」。ドローンの薬剤散布に不可欠なのは「ダウンウォッシュ」(※)。散布性能が左右されると言っても過言ではない。しかし、無人ヘリと比較し、機体が軽量であるがゆえに、ダウンウォッシュの強さもなく、薬剤が風に流されてしまう傾向にあることがデメリットとされていた。ドローンは「4枚」、「6枚」、「8枚」のプロペラ数が主流で、他社メーカーの多くは「8枚、もしくは6枚プロペラ」を採用している。同社でも開発時に6枚でテストするものの、実験の結果、散布ムラが大きく発生したので6枚を断念し、強いダウンウォッシュを生み出せる「4枚プロペラ」を採用した。しかし、4枚プロペラだとダウンウォッシュが渦巻く現象が起こり、これもまた薬剤散布の時、風に流される原因になるため適していないと言われていた。

そこで考えたのが、「4枚プロペラの強いダウンウォッシュを活用しつつ、渦の影響を受けにくくする」ために、「前後切替」を開発(特許出願中)。進行方向前側のノズルから薬剤を散布し、前側のプロペラから生じたダウンウォッシュで薬剤を抑えつけながら、さらに後側のプロペラより発生したダウンウォッシュにより、作物に薬剤を付着させるという方法だ。これにより散布効率を向上させることを実現した。『飛助MG』は「農薬に4枚プロペラは効率的ではないので適していない」という業界の常識を覆す結果を実現させている。
※ダウンウォッシュ…翼の回転により吹き下ろされる風

■性能に関するデータ
・4枚プロペラは「強いダウンウォッシュ」を発生

ドローンは軽量なので、なかなか強いダウンウォッシュが発生させにくいと言われている。しかし、大きなプロペラだと強いダウンウォッシュが発生させやすく、大きなプロペラを搭載するには、プロペラ数を少なくする必要がある。

■4枚のプロペラが生み出すメリット
・強いダウンウォッシュを発生させやすく、薬剤を作物の根や葉にも効率的に散布できる
・低回転で静か=住宅地にある畑でも早朝から作業が可能

■ダウンウォッシュの比較
・作物の根元、葉の裏まで風を送れる

4枚プロペラの場合

8枚プロペラの場合
※他社製品のため、写真に加工をしています。

上記の比較写真にもあるように8枚プロペラよりも、4枚プロペラの方がダウンウォッシュが強い様子が見て取れる。4枚プロペラは作物の根元や葉の裏にまで風を送りこむことができる。この効果により、薬剤散布の効果が表れやすい特徴を持つ。

 

■散布ムラのデータ
・無人ヘリ並の散布性能を発揮

農林水産航空協会認定機の認定基準は変動係数「30%以下」。同社の『飛助』シリーズは10.92~13.15%と認定基準を大幅に上回った。ドローンでありながら、散布性能が高いとされる無人ヘリ並みの数値を記録している。また、前・後進の数値にも大きな開きがないため、農薬を均一に散布できることが証明されている。

 

■「前後切替」とは~ダウンウォッシュのパワーを最大限に活用。

4枚プロペラのメリットは「強いダウンウォッシュの発生」だが、強すぎるあまりに巻き上げる渦も強く、薬剤が流れてしまうことも少なくない。そこで、当社ではその渦から抜け出すために前後切替を開発した。前進する場合は前側のノズルから、後進する場合は切り替えて、後側のノズルから薬剤を散布し、全てのプロペラから発生する強いダウンウォッシュを利用でき、薬剤を効果的に散布する仕組みを取り入れた。また、使用しているノズルも農業用ではなく、きめ細かく、均等に散布するように基準が定められた工業用途で知られているドイツ製のノズルを採用している。

 

■薬剤散布における『飛助MG』のメリット
・「散布品質・効率性・薬剤効果」

・散布品質
ドローンはダウンウォッシュが弱く、少しの風で薬剤が流れてしまうドリフト問題が課題だった。『飛助MG』は強いダウンウォッシュを実現し、さらに前後切替機能により散布品質を向上。薬剤コストも削減可能。
・効率性
時速15km、散布幅4mで飛行し、1ha(10,000㎡)を約10分で散布。また、そのまま隣の田畑にも移動できるため、人の手で散布する時間のおよそ1/5の時間で作業を完了。作業時短に役立つ。
・薬剤効果
防除を委託する場合、コスト面で回数を最小限に抑えがちだった。しかし、同じ費用で回数多く散布することができ、薬剤の効果を最大限に発揮する。

■開発秘話
・偶然の失敗から発見した、「前後切替」の発想

開発に至った経緯について同社は以下のようにコメントした。

『飛助MG』の開発期間はおおよそ一年半かかりました。開発のきっかけは、薬剤積載の容量変更。元々5Lのものがありましたが、「より多く薬剤を積載したい」というご要望もあり、10Lのドローンを開発するためにスタートしました。ただ、せっかく開発するなら、他社製品と差別化、つまり散布性能をさらに向上させていこうと思いました。「4枚プロペラは農薬散布ドローンに向いていない」と言われていましたが、当社としてはダウンウォッシュの強さが出せる「4枚プロペラ」にこだわり、開発を進めてまいりました。試験は等間隔で試験紙を置いて、その上を通過し、散布性能を測る方法です。当初は、プロペラの全てから薬剤を散布するスタイルで開発を進めていましたが、なかなか納得の行く試験結果が出なく、この試験だけでも2~3カ月、試行錯誤してきました。

そんなある日、偶然、パイプが外れてしまって、前側しか薬剤が出ていない状態でドローンが試験紙の上を通過しました。何十回もの試験で、付けたり外したりを繰り返し行っていたので、パイプが劣化してしまったのでしょう、「またやり直しか……」と諦めて、試験紙を回収しに行くと試験紙にはかなり好反応がありました。実際、スキャナして計測・データ化すると驚く数値を記録していました。「失敗は成功の基」ではないですが、偶然の産物で驚いています。

そこから『前後切替』装置開発を行い、4枚プロペラの強いダウンウォッシュを生かし、散布性能向上を図りました。当社では今後も農薬散布ドローンの「本質」のところである散布性能にはさらにこだわっていき、レベルアップを図ってまいりたいと思っております。

■株式会社マゼックス 代表取締役社長 松添 正征
株式会社マゼックスは2015年より産業用ドローンを開発・製造を開始。以降、農薬散布ドローン開発をスタートさせてから、2018年には農林水産航空協会認定企業となった(農林水産航空協会認定企業は、現在10社のみ)。機体の組み立て、テスト、試験などは国内生産を行い、製品化していく。


@株式会社マゼックス

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この記事は私が書きました。