こんにちは。ドローンとともに世界一周中のマッキーです。
VOL.4は、前回に引き続き一ヶ月半滞在した中国編です。VOL.3で紹介した南部に位置する雲南省から北上し、西部の一番北に位置するカナス湖までたどり着きました!
VOL.4では以下の3カ所を周ってきました。
・四川省東チベットにある朱色の建物が美しい亜青寺
・甘粛省敦煌に広がる広大な砂漠
・新疆ウイグル自治区の北端にある神秘的な雰囲気が漂うカナス湖
この3カ所の魅力について空撮動画とともにお伝えします。
●Written by マッキー(Macky)
今回訪れた地域は中国西北部が中心です。中国は広い国土を持つ分、壮大な自然がそこかしこに点在しますが、個人的には、その中でも中国西北部の景色は圧巻だと思います。まずは、ドローンによる空撮動画で、亜青寺の街並み、敦煌の砂漠に落ちる夕日、美しいブルーで見るものを魅了するカナス湖の映像をどうぞ!
中国の秘境・東チベットに佇む朱色の僧院
最初の目的地は、中国東チベットにある亜青寺です。チベット自治区は日本でも耳にすることがあるかもしれませんが、東チベットという地名は日本ではまだマイナーかもしれません。
東チベットは、チベット自治区に属していませんが、四川省、甘粛省、雲南省、青海省に跨るチベット人が多く住む地域を指します。この地域はチベット仏教を信仰し、昔ながらの文化を残しています。また、手つかずの自然が多く残されている地域なので、近年は中国人の若手バックパッカーの間で旅行先として人気沸騰中の地域です。実際僕も旅行中に中国人バックパッカーと会いました。

東チベットの亜丁国家公園
ドローン持ってトレッキングしたけど、強風で飛行断念

東チベットで会った中国人バックパッカー達
この日は皆で食事と宴会に…
観光スポットまでの道のりはとても険しい
さて、今回ドローンを飛ばした亜丁寺は、アチェンガルゴンパとも言い、チベット僧が住む僧院です。約4,000人の尼僧、約3,000人の僧侶がこの僧院に暮らしています。この亜青寺を有名たらしめ、訪れる人を魅了する理由は、草原に広がる朱色の無数の建物です。写真では見たことがありますが、今回どうしても自分の目で見てみたくて訪れることにしました。
しかしながら、亜青寺まで道のりは思った以上にハードルが高かったです。理由は二つあり、交通の脆弱さと警察による検問が問題でした。
一つ目の交通の脆弱さですが、東チベットはまだ未開発の地域であるため、基本的にはバスや乗り合いのバンを使用して移動することになります。中国全土に走っている電車もこの地域において全く網羅されていません。加えて標高が高い山奥に位置するため、道も非常に悪く険しい道になっているんです。
今回は春先だったため、さらに雪が加わることもありました。そのため、トラックのタイヤが雪で空転し、動かなくなるというアクシデントが発生。それにより大渋滞が引き起こされる事態となりました。

亜青寺までの道
絶景が広がるが、同時に落ちたらまず助からないので恐怖を覚える

トラックのタイヤが空転するので
必死に雪を掻き出す様子
二つ目の警察による検閲ですが、東チベットでは警察による検問が非常に多いです。チベット人が多く住む地域のため、暴動や反乱が起きないように街中や道中で警察による検問がありました。
亜青寺に行く道中でも、3~4回は警察がバスに乗り込み、検問を行います。この地域を外国人が訪問することは珍しく、パスポートのチェックは勿論、旅の目的や滞在先、滞在日数など根掘り葉掘り詰問されます。基本的には高圧的な態度なため、辟易してしまいます。

警察による検問
バスに乗り込んで来て質問攻めに合う
雪道や警察の検問を無事突破し、たどり着いた東チベットの秘境・亜青寺。小高い丘から僧院を見下ろすとそこには絶景が広がっていました。どこまでも見渡せそうな平原に無数の赤い建物が広がっているのです。美しく荘厳な景色に時間を忘れて見入ってしまいました。
ここでの空撮撮影は、建物が対象になるため、絶対に人や建物の上空を飛行させないように細心の注意を払って撮影しました。時間を変えて何度かフライトして撮影したので、自然と朱色の建物の調和した美しい映像が撮影できました!

丘の上からの亜青寺の街並みを空撮

亜青寺をバックにドローンと一緒にパチリ

ドローンが珍しいのか
チベット尼僧の女の子がドローンを撮影

街中には立派な朱色のチベット寺院もあります
敦煌の砂漠に沈む夕日
次に訪れたのは敦煌の砂漠です。敦煌は、かつてシルクロードの分岐点として栄えたオアシス都市です。作家井上靖の歴史小説『敦煌』の舞台にもなっているので知っている方も多いかもしれません。
ここ敦煌には夕方砂漠に出かけ、そのままキャンプで夜を明かし、朝街に戻ってくる砂漠ツアーがあります。砂漠での空撮にチャレンジしてみたかったため、敦煌到着後に直ぐ宿を通じてこのツアーに申し込みました。
ツアー出発前にある物を探して、街をさまよいます。そのある物とは...布。
布をひたすら探し回り、布屋さんらしきところで赤いシルク(シルクロードだけに)を購入し、準備完了です。

敦煌の街並み
建物がまさに中国そのもの

布を購入したいという日本人が出現して
店員も困惑気味
準備も出来たので、いざ砂漠ツアーへ出発。ツアー会社の車で揺られること約10分。砂漠へ到着です。
まごうことなき砂漠、一転の曇りもなき砂漠が待っていました。壮大な砂漠を目の前にして、何故かツアーの皆で砂漠をソリで滑る大会が始まります。やってみての感想は雪のほうがよく滑るというのが正直なところです。

砂漠。多分遠く彼方まで広がっているのだと思います

ツアーの名物アクティビティ、ソリすべり
ソリすべりに飽きたところで、お待ちかねのドローンの飛行です。

即席で作ったドローン用発射台
ここで先ほど買った布が登場します。砂の上からドローンをそのまま飛ばすと、砂による故障が心配されるため、布を敷いて発射台にします。砂に赤い布が映えてよい感じだと思ったのは僕だけでしょうか。
このツアーは夕方から開始のため、砂漠に沈む夕日の撮影チャンスがあります。幸運にもこの日は晴れ渡っており、最高のコンディション。ドローンを飛ばして撮影に臨みましたが、敦煌の砂漠に沈む夕日を綺麗に写すことができました。砂漠に沈む神々しく輝く夕日を、ドローンを通して見ることができたことは一生忘れられない思い出となりました。

敦煌の砂漠に沈む夕日の空撮写真
このツアー、夜はツアー参加者で火鍋を食べ、キャンプファイヤーをし、カラオケ大会をするという自然教室さながらのツアーとなっています。僕以外の参加者は全員中国人で、中国語しか通じず、相当なアウェイ感がありましたが、皆とても親切に接してくれました。
ツアー参加者とは後日敦煌の街で偶然再会し、ご飯を奢ってもらったり、たまに連絡を取り合ったりと、今でも交流が続いています。

中国人が準備してくれる火鍋が並ぶ
味は容赦のない辛さ

砂漠で突如始まるカラオケ大会
容赦のない爆音が夜の静かな砂漠に響き渡る
中国の神秘的な湖、カナス湖

神秘的な雰囲気で訪問者を出迎えるカナス湖
最後は、新疆ウイグル自治区北部にあるカナス湖です。この場所について、中国に来る前は、全く聞いたこともありませんでした。日本人で知っている人は、ほとんどいないと思います。
東チベットで会った中国人バックパッカーに絶景の湖があると教えてもらい初めてカナス湖の存在を知りました。カナス湖は、季節や天候によって、湖の色が変わるとされており、それは神秘的で美しい光景だそうです。また、未確認生物、カッシーが生息すると言われています(正体は巨大魚らしい)。
さて、この湖に行こうと思ったのですが、ネットで検索してみても、日本語の情報がほとんど出てきません。一人だけ過去に行った交通情報をブログに記載してあったので、そのブログ情報だけを頼りに行ってきました。

漢字の文字をあしらったロシア風の建物
カナス湖は、ロシア国境のすぐ近くにあります。よって、カナス湖に近づくにつれて街並みがロシアのようになってきました。建物はロシア風、建物に書かれている文字は中国語という不思議な光景を目の当たりに。島国日本ではあまりお目にかかれない光景です。
また、ロシア国境に近づいているせいか警察による検問もどんどん厳しくなっていきました。最後の検問に至っては、「中国の携帯はあるか?」、「ツアー会社で来ているか?」、「泊まる場所は決まっているか?」という質問に対し、全て馬鹿正直に「いいえ」と回答したら、「お前の行方がつかめないじゃないか!!」と怒られる始末。
何故かバスの運転手も「何故こいつを乗せたのだ!!」と一緒に怒られるという運転手にとっては、完全に迷惑な展開に。結局宿に着いたら、宿から警察に電話することで通してもらえましたが、夜警察に電話かけたら通じませんでした。一体何だったのだろうか…。

宮殿風のロシア風の建物
警察による検問を無事クリアし、念願のカナス湖に到着。
そこにはカメラでは全景をとらえることができないほどの巨大な湖が広がっていました。湖だけでも神秘的ですが、雲が低い位置にあり、それがまた幻想的な雰囲気を醸し出しています。
カナス湖でもドローンの出番です。カナス湖で空撮可能かどうかはよくわからなかったので、事前にカナス湖内の警察に確認したところ、空撮許可をいただきました。空からカナス湖を見てみるとこの湖がどれだけ巨大かがはっきりわかるかと思います。また水の透明度の高さも空から見ると一目瞭然です。ドローンでカッシーを探してみようと、低く飛ばしてみたりしたのですが、残念ながらカッシーは見つかりませんでした。
もし、カナス湖に興味を持って行く方がいた場合、ツアーで行くことをお勧めします。警察の検問は、全部中国語でされるため、日本語しかできないと追い返される可能性があります。代わりに対応をしてくれる人がいたほうが良いと思います。
そうそう、カナス湖からの帰りは、この旅初めて中国の寝台バスを利用しました。バスの中に金属製の二段ベッドが縦3列にずらっと並んでいるのです。乗り心地は全く快適でなく、二度と利用したくないと思いました。
前回、今回と2回に渡って中国の絶景を紹介しました。中国は日本と比べられ物にならない程の国土を持つため、絶景も目白押しです。また、中国人は日本人に対して、厳しいというイメージをお持ちの方がいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。勇気を持って話しかけてみれば、親切に応対してもらえます。旅行先としてお勧めの国の一つです。但し、時期によっての反日感情の高まりや決して治安が良いとは言えない部分もあるため、事前の入念な下調べや準備をして行くことを強くお勧めします。
次回より国が変わり、中央アジアの国々となります。