マイクロドローンを用いた狭隘部点検サービス
7月31日、東京都千代田区のLIFORK LABにてアイ・ロボティクスは、リックス、一般社団法人日本ドローンレース協会、マイクロ・ドローン撮影で世界的に有名な増田勝彦氏と共同し、煙突や管路、トンネル内等など狭隘部ドローン点検ソリューション・サービスを開発したことを発表。現場ではマイクロドローンによる狭隘部点検サービスのデモンストレーションが行われました。
●Written by 竹村信亮(Nobuaki Takemura)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)

デモンストレーションを行う日本ドローンレース協会の副代表 横田淳氏
デモンストレーションでは、株式会社エウレカの増田勝彦氏と、日本ドローンレース協会(JDRA)の横田淳氏が、会場を賑わせた報道陣の頭上を飛行した後、内径20cmのダクト内を潜り抜けたり、報道陣の足元をドローンで通り抜けるなどといった、アクロバティックな操作を披露しました。

マイクロドローンにより撮影されたパイプ内の様子
■点検ドローン導入の背景
現代建物の老朽化が進んでおり、それに伴いエンジニアの人材も定年により減少しています。それに反して点検の需要は高まっており、今後のインフラ点検ではコストや人材の確保に自動化や効率化が不可欠です。そして、点検ドローンはその解決策になります。ドローンの活用は世間的に危険なイメージが払拭できておりませんが、そのメリットは多く存在します。従来建造物の点検を行う場合、足場を確保するのに多くの時間を必要としましたが、ドローンを活用すれば足場を組む必要がなくなります。加えてコスト面も大きく削減可能です。また、ドローンは人が確認することができなかった鉄塔の細部や立ち入れない場所で、調査や、ドローンで撮った写真を組み合わせる事により、3Dモデルの生成も可能になります。そういった側面から、今後の需要に期待が高まっています。
小さなボディを活かしたマイクロドローンの可能性
デモンストレーションで紹介したドローンは直径8cm~19cm、重量70g~170gのレース用ドローンです。1機あたりの価格が安価で、複数の運用をしても低コストに抑えることができます。また、200g以下なので航空法にも該当しないので運用しやすいといえます。

FVPゴーグル、バッテリー、マイクロドローン
点検部をゆっくり飛行することにより、細かな場所も確認が可能で、錆や劣化を見つける事ができます。安全性においても、その名の通り小型のものであるため、ドローンが衝突することになっても危険性はほとんどありません。
デモでは360度カメラを搭載したドローンも登場。リアルタイムの映像確認はできませんが、業務点検などにおいて、全体を把握する必要がある場合、全方向の写真を6回飛行させて撮る手間が省け、全体像が瞬時に把握できます。デフォルトはフルHDの撮影が可能ですが、メモリーカードで収録する事により、4kでの撮影が可能。また、目的に応じて小型ガス探知機を搭載するなど、状況に応じてあらゆる機能を搭載可能です。

360度カメラを搭載したマイクロドローン
欠点としてバッテリーが3分程度しか持たないことが挙げられます。ところが、細かい点検部を調査する時間としては十分です。運用の際にはマイクロドローンのみだけではなく、その目的に応じたドローンの使用が重要であると安藤氏はいいます。
■今後の展望

公演するアイ・ロボティクス代表 安藤嘉康氏
アイ・ロボティクス代表 安藤嘉康氏は、以下のようにコメントしました。
「日本の技術力は、小型化・軽量化が長所です。いま世界中においてドローンの開発競争が行われており、産業の活用が進んでいる中、日本はカメラ、センサー、バッテリーなどあらゆるものを超小型化し、世界で通用する産業が作り出す事ができます。」
今後アイ・ロボティクスは、ドローンソリューションの一つとしてマイクロドローンによる点検をサービス化していくと発表しました。