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登山の遭難者をドローンで救う!ドローン山岳救助支援システムの実証実験を開始

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株式会社KDDIと御殿場市はお互いの保有するそれぞれの資源を有効に活用し、同市の地域が抱えるさまざまな課題解決のための取り組みを協動で検討し、地域を活性化することを目的に、包括連携協定を締結した。また、10月25日に「ドローン山岳救助支援システム」の実証実験を実施したことを発表した。

●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)


登山遭難者の事故が深刻化!ドローンで負担軽減へ

近年、中高年を中心に登山ブームが拡大している。ところが、登山を楽しむ一方で遭難事故の件数も年々増加傾向にある。遭難者の数は平成10年に1000人に達し、平成25年に2600人、そして平成29年には3200人に上る。また、遭難者が増えることで登山を楽しむ登山者だけではなく、山岳救助に向かう救助ヘリの事故も2010年から相次いでいる。登山事故が増えることで救助ヘリの出動回数は増え、搜索・救助にかかる負担が課題となっている。

救助ヘリの運用は非常に効率的ではあるが、多大な労力がかかり、高いリスクを負う。道に迷った遭難者から救助を求められた場合は、遭難者自身が位置情報を把握していないため、人を1人見つけ出すのにも多大な時間と人員が必要だ。そこで、将来は位置情報を遭難者から発信できるシステムや通知・監視システムが求められ、そのシステムにドローンを組み合わせれば非常に効率が良いという期待が高まる。ドローンを使えば、要救助者の位置及び状態の迅速な確認が可能になり、「迅速な救助と救助関係者の負担軽減」を図ることが実現化しそうだ。

 

富士山で実証実験開始!御殿場市が新たな検証場へ

御殿場市長 若林洋平氏(左)
KDDI株式会社 理事 中部総支社長 渡辺道治氏(右)

2014年からKDDIと御殿場市は共同で富士山のWi-Fiサービスや、富士山を可視化するアプリの配信などの取り組みを行ってきたが、今回(11月25日)KDDI株式会社は積極的にドローンの運用を実現化するべく、御殿場市と包括連携協定を締結した。そして、10月25日には御殿場市の協力のもと「ドローン山岳救助支援システム」の実証実験を富士山の麓で実施している。実証実験はスマートドローン構想に参画する企業の協力も仰ぎ、KDDI株式会社をはじめ、御殿場市、首都大学東京、株式会社ヤマップ、株式会社ウェザーニューズが独自のサービスを提供しながら進められた。

KDDI株式会社は4G/5Gを搭載したドローン。通称スマートドローンを活用し、実証実験に取り組む。現在は遠隔操作による4G/5Gの利用は認められていないが、実証実験等の特別な環境下での利用は許諾を得ることで認められている。KDDIが展開するスマートドローンは、農業や物流といったドローンで注目されている分野で、利活用を目標に実証実験が行われている。

10月25日に富士山5合目で実施された「ドローン山岳救助支援システム」の実証実験では、LTE回線を使用した自動飛行を行えるドローンを活用した。

山岳救助用ドローンは飛行高度、耐風性能、耐水性能、可搬性、赤外線/高解像度カメラの性能が求められ、スマートドローン構想に参画するPRO DRONEの機体で行われた。

PRO DRONEが開発する特別なドローンを活用

標高の高い場所での運用が求められ、最高高度は6000mを実現。標高が高い場所は風が強いため、高い耐風性が重要視される。最大18m/sの風速でも運用ができ、IP55相当の防水機能も備えている。

 

YAMAPとウェザーニューズのシステムで必須情報を可視化

登山者の位置情報を登山マップ上で確認

ドローンと組み合わせる位置情報の取得には、株式会社ヤマップのシステムを活用する。スマートフォンで利用できる登山情報アプリ「YAMAP」はDL数110万件を突破し、コミュニティには推定100万人が登録する登山向け人気アプリだ。GPS地図と登山地図、登山情報が1つになったアプリで、コミュニティを中心に地図情報サービス、登山計画、保険サービス、そして位置情報サービスがパッケージになっている。YAMAPとドローンを組み合わせることで、登山者の位置情報を常に保存し、自宅にいる家族などに位置情報を発信することが可能になった。利用者の状態を見て、異常を察知した家族や本人が捜索を依頼すれば、可視化された遭難位置にめがけてドローンを向かわせることができる。

風の強さと流れを詳細に表示

また、自動でドローンを飛行させるのに当たって、山間部の正しい気象情報が必要となる。株式会社ウェザーニューズは高精細な気象予測システムを開発し、高度10m単位での気象情報、風の流れや風の強さを可視化することに成功した。株式会社ウェザーニューズの執行役員 石橋知博氏は山岳救助以外の面でも、ドローンを使えば風速や気温を観測することが可能と話し、そのほかのドローンの取り組みにも積極的に貢献していくことを発表した。

ドローンには撮影用のGoProが搭載される

以上のシステムを活用し、要救助者のもとへ自動飛行で飛び立ったドローンは、搭載されたカメラを通して遭難者付近の状況を撮影する。KDDI株式会社のドローン山岳救助支援システムを利用する団体はこの映像データを通じて、ドクターヘリを飛ばすなどの判断を適切に行うことができる。

 

2019年に本格運用を目指し進行!


実証実験は、御殿場口新五合目から登山し、道に迷い滑落した遭難者の救助を想定して行われ、上記のシステムを活用することで、ドローンを急行させることができ、要救助者の状況を把握することに成功した。ドローン山岳救助支援システムは2019年の富士山開山期間での運用実現を目標に進められていく方針だ。
※動画出典:株式会社KDDI

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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。