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便利な手を備えたBlueROV2が登場!水中ドローンの期待が高まる深海の現状

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ドローンは”空の産業革命”から始まり、2015年にドローン元年を迎え、2018年は産業分野に注目が集まったことで物流元年へと動き始めている。これと同様に”元年”を迎え始めているのが水中ドローンだ。今一度市場状況を見直すとともに、水中ドローン社の新ラインナップとなるBlueROV2を紹介しよう。

●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Info 株式会社Six Voice(水中ドローン社)


2018年に入ってから中国メーカーによる水中ドローンが続々と登場している。その多くが産業用途を目的としたもので、今回紹介する水中ドローン社が販売するBlueROV2も産業用途を目的としたものだ。水中ドローンの機体価格は全体的に高価(約10万〜150万)ではあるが、実際に運用した際の満足度は高く、色々な可能性を秘めている。

水中ドローンの市場は2020年に50億円の規模に拡大すると言われている。通常のドローンであれば農業、点検、測量、物流など様々な産業分野を担うが、水中ドローンの現状は点検業務の需要がほとんどだ。既に社内導入している企業も多く、水中ドローン社の顧客として、民間企業のほか、防衛・省庁関連、橋脚点検業社、生体調査会社など業界業種を問わず、幅広く普及し始めている。

 

点検業務に活用される水中ドローン

点検と一言で括っても実際に深海に潜ったことがない人には何を点検するのかピンとこない人も多いと思うので、具体的に点検業務の事例を紹介する。

従来の深海の点検はダイバーによって行われてきた。しかし、ダイバーによる点検は海中で長時間作業することができず、人命に関わる事故に繋がるケースも少なくない。また、業務は過酷なため、1m・1時間=1万円が相場と言われており、料金設定もリーズナブルなものではく、日程調整や天候による中止等も考えると効率的とは言い難い。

水中ドローンは上記の安全面、コスト面、効率性の課題を払拭できるうえに、ダイバー以上に深海に潜ることができるので、アイデア次第では色々な活用方法が見込める。

現在水中ドローンで行われている点検には養殖生簀、魚礁、深海定置網などがあり、養殖生簀は15m、魚礁は5〜60m、深海定置網は150〜200mの深さに設置されており、魚の産卵や収穫を目的としたもの。なお海底はだいたい300m程の深さ。

魚礁の模型

ダイバーが担っていた業務は養殖生簀の点検が主であり、生簀が破損していないか?しっかり魚が集まってきているか?などを確認していた。ところが、魚礁については5〜60mもの深海に設置されていることが要因で点検する術が無く、放置状態とされているのが現状だ。魚礁の設置は約3000万円と決して安価なものでは無く、生簀と同様に魚の集まり具合や産卵状況を調査が本来は必要とされる。もちろん、さらに深海となる深海定置網についても点検する術は無い。

深海定置網の模型

そこで水中ドローンを活用すれば、今まで不可能とされていた魚礁や深海定置網の点検調査に使うことができ、業務の正確性や効率性を高められることで注目されている。

 

ノートPCも持ち上げる強力なアームを追加

BlueROV2は2017年から水中ドローン社が取り扱いを開始し、世間に水中ドローンの存在を広めた完成度の高い機体と言っても過言ではない。

水中ドローンを選ぶ際には移動するための出力が最も重要視される。とくに海で使用する場合はパワー出力が低いと波の流れに戻されてしまうことが多く、自由に移動する事すらままならないことが多い。そのためスラスターの数や出力に注意する必要があるが、BlueROV2は6個のスラスターを備えることで力強く前後左右に移動でき、正確なホバリング状態を維持できることからも水中ドローンの中でも信頼性が高く、幅広い分野で利用されている。

水中ドローン社はBlueROV2の新たなラインナップとしてアルミナムとオクトパスの2種類をリリースした。どちらもベースはBlueROV2を使用し、オプションパーツをパッケージ化したもの。

BlueROV2アルミナム
●販売価格:150万円前後

“アルミナム”は高深度用にカスタマイズされた強化型モデルで、深海の圧力に弱い部分の材質を変える事で補強している。変更箇所はLEDやドームエンドキャップ(本機の先端)を始め、ボディに内蔵された浮力材も耐高圧仕様に変更されている。そしてアルミナムという名前は本機の基盤や核となる部分を収納している容器部分をアクリル素材からアルミニウム合金に変更していることから名付けられた。これにより、なんと300mまで潜ることを可能とした。なお、とくに弱いとされるコネクター部分も改良され、水中での付け外しができる仕様になっている。

 

BlueROV2オクトパス
●販売価格:150万円前後

そして、もう一方の新ラインナップとなる”オクトパス”は物を掴むためのアームを備えたモデルだ。驚くべきはアームのパワーで、ノートPCぐらいの重量であれば掴んだままBlueROV2を引き上げることができ、リンゴぐらいであれば簡単に潰せてしまうほどの握力を発揮すると言う。しかし、繊細な物を掴みたい場合は力加減ができないので、アームの爪部分を交換できる作りにしてあり、爪が4つのものを使用することでソフトタッチで物を掴むことも可能にした。アームを使うことで、物を運ぶだけでなく、養殖生簀の網が破れてしまった場合など、ホッチキッスのようなもので補修させることも想定できる。

さらに、オクトパスはアームの追加だけでなくスラスターを2個追加している。これはアームで物を掴む際に、機体のフロントだけを上昇・下降させ、ロールがさせやすい移動を可能にするためだ。スラスターが8個ついていることからオクトパスという名称でリリースが開始された。

追加されたスラスターにより、今までのBlueROVとは異なる動きを可能とし、深海400mまで潜ることが可能となり、深海定置網の検査も行える。

 

用途の拡大を目標に進化する水中ドローン

水中ドローン社はBlueROV2のラインナップを今後も拡大していく予定だ。現在はより水中ドローンの使い勝手を考慮したものを開発したと言う。独自技術のスキャンソナーを搭載したドローンで、半径70m程の範囲にいる魚や点検物の場所を可視化することできる。このモデルは”忍者”と名付けられ、近日中にリリースが行われる予定だ。

最後に水中ドローン社の代表取締役CEOを務める土生氏は、水中ドローンにおいても自動で運用する技術が不可欠であると話してくれた。水中ドローンをコントロールする場合はカメラを通じてモニターを頼りにするしかなく、被写体を頼りに進んで行ったとしても一度通り過ぎてしまったり、被写体を見失ってしまうと自分の位置や周りの情報が全く分からなくなってしまうことが多々あると言う。まだ、ドローン元年と言われる段階であり、コンシューマー向けのドローンもこれから増えてくることや技術面が進化して行くことに言及した。

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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。