3月1日(木)より神奈川県横浜市のパシフィコ横浜にて”カメラと写真映像のワールドプレミアショー”となるシーピープラス(CP+)2018が開幕した。CP+は2010年から毎年恒例となっているカメラ業界の人気イベント。なんといってもワールドプレミア(世界初披露)となる最新のカメラや関連周辺機器が多数展示されるだけに、2017年には6万6600人を動員するほどの人気っぷりなのである。もちろんカメラ、写真映像のくくりの中にはドローンもエントリーしており、第8回目となるCP+2018にもごくわずかではあるが、ドローン関連ブースが出展されていたのでレポートしよう。
●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
カメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+2018」

今年は4日間で約6万8100人の来場客で賑わった
CP+は大手カメラメーカーのほか、AdobeやEPSON、東芝など映像に関わる周辺機器メーカーも多数出展する。CP+のもとをたどれば、2005年から開催されていた「フォトイメージングエキスポ(PIE)」が前身にあたり、2010年からはCP+に名前を改めると同時に有明から横浜に開催場所を移し替えたのだ。

プロカメラマンによる
カメラのテクニック講座などを開催
CP+は前述したとおり、最新のカメラや周辺機器の展示が醍醐味となっているが、それ以上に注目をあびる理由には、各ブースで繰り広げられるセミナーや体験会の実施が挙げられる。人気の秘訣は無料なのに非常に有益な講座が大半を占めるからこそ。
ちなみに、今回の目玉となるSONYのブースでは、α7ⅲの体験会を実施。専属のモデルと雰囲気のあるスタジオセットがブース内に用意され、いち早くα7ⅲの体験撮影ができるのだ。これほどまでに完璧なスタジオで撮影できるのは、高評判のαシリーズを待ちかねていたユーザーだけでなく、カメラファンであれば誰もが感銘を受けることだろう。なお、記録メモリーを準備していけば撮影データはそのまま懐へ。
コンシューマーの興味関心が高まるドローンブース
さてここからが本題。
CP+2018に出展されていたドローン関連製品を順番に紹介していこう。
CP+2017に引き続き、DJIがコンシューマー向けラインナップを展示。
残念ながら最新製品のアナウンスなどはなく、カメラユーザーに対して興味関心を持ってもらうための出展と見受けられる。もちろん販売を開始したばかりのMavic AirとOsmoMobile2も展示されていた。それに加え、プロ向けの一眼レフ/ミラーレスカメラ用手持ちジンバルのRonin-Sが登場した。いくらドローンがそこらへんでは飛ばし難いものであると分かっていても、来場者はドローンに興味津々な様子だった。

1月末に発売されたばかりのMavic Airに注目が集まる
とくにコンパクトかつカメラ性能も洗練された最新モデルのMavic Airは話題性が高い。やはり、これからドローンを始めようと思う人からすれば手頃に飛ばせそうなサイズ、カメラ性能、コストパフォーマンスは欠かせない。そんなことから、SPARKも同じように注目を集めていた。

お手頃な価格に生まれ変わったOsmo Mobile2
ドローンのほかに、DJIの新製品となるOsmo Mobile2が展示された。もはやスマートフォンがカメラとして無視することができなくなった今、手持ちジンバルが気になっている人も多く、魅力を感じる来場者が駆け寄った。それもそのはず、従来品に比べバッテリーの持続時間を大幅に向上させながらも価格は1万6800円(税込)。従来品のOsmo Mobileが3万7800円(税込)と、より手の届きやすい価格帯になったのだ。

スマートキャプチャーを使用して
Mavic Airの3台同時フライトを披露
DJIブースではデモフライトを行い、Mavic Airを飛行させた。スマートキャプチャーによるコントロールで、操作の簡易性や飛行性能の安定性をアピール。そのほか、DJIのドローンを活躍している写真家の別所隆弘氏、内山香織氏、井上卓郎氏をスペシャルゲストとして招き、ドローンを活用した撮影テクニック等を紹介するゲストセッションが行われた。
DJIに隣接するブースにはスウェーデンのカメラメーカーであるハッセルブラッドのブースも出展。なお、2017年にDJIがハッセルブラッドを買収したことをきっかけに、ハッセルブラッドのカメラ機材をドローンと一緒に活用する動きを見せている。

●Matrice600Pro:59万3800円(税込)
ハッセルブラッドのH6Dを搭載したMatrice600PROを展示。最大6kgのペイロードを誇るMatrice600PROは映画撮影などに使用される大型カメラ機材を搭載することができる。加えて産業用途において最高のパフォーマンスを発揮するドローンだ。
次にカメラの周辺機器を数多く取り扱うケンコー・トキナーでは4種類の濃度をキット化したPhantom4A/PRO用のIRNDフィルターを初出品。

IRND4/8/16/32の4種のセットを4月に発売予定
4月に発売を控える「アドバンスト ドローンフィルターIRNDキット」はDJIともやり取りを交わしながら開発した高性能フィルターだ。NDフィルターはレンズに入る光の量を少なくし、シャッター速度を遅くしたりするときに使用するもの。

常にカラーバランスが暴れないように設計
ケンコー・トキナーのIRNDフィルターは透過率に対し、カラーバランスの崩れを抑えることで鮮明な写真・映像が撮れるフィルターとして開発された。透過による影響を受けやすい、IR(赤外)に対してもバランスを崩し難いつくりにしてあるという。

ケンコー・トキナーのフィルタークオリティは真ん中の図
右の他メーカーの図に比べても輪郭が鮮明に映る
また、解像度についても他メーカーに比べてくっきり鮮明に映るように工夫されている。例題に挙げる他メーカーのものは発色が滲んでいたり、ピントがブレているように見える。こういったところで、他メーカーとの差別化を図っているのだ。

長期間の持続力を持つ撥水効果を発揮
使い勝手の面では脱落防止のためにも、フィルターにネジを切る一工夫を施した。レンズにはネジ込んで取り付けられるタイプになっているのだ。また、フィルター表面には撥水効果を持たせ、5〜10年は効果を発揮する。今後、ケンコー・トキナーはドローンの未来に期待し、フィルター以外の関連製品も視野に入れていく旨を教えてくれた。
最後にドローン専用のバックパックを販売するマンフロットも出展していた。
マンフロットはカメラスタンドや、カメラマン向けのバックパックなどを販売するプロ御用達のメーカーだ。マンフロットのカテゴリーのなかにはドローン専用のバッグがラインナップされているのだ。
CP+2018に合わせ、新たな3種類の製品を出品した。

ドローンガードBP400(左)
ドローンガードプロインスパイアード(右)

ドローンガードPro450
いずれもロープロ社の製品で、Phantom専用のバックパックとして「ドローンガードBP400」と「ドローンガードPro450」の2種類を出品。各種とも飛行、撮影、編集の一連の作業に必要な機材をまとめて収納できるバックパックとして人気が高い。Pro450はオールウェザーAWカバーの素材を採用しており、バッグを水やホコリ、砂などから保護できる。
ドローンガードプロインスパイアードはInspire IとInspire IIに合わせてデザインされたバックパックで、トップローディング収納により、ランディングモードの状態でドローンを格納できるため、セットアップの時間を短縮できるという優れもの。

ドローンガードBP400

ドローンガードPro450

ドローンガードプロ インスパイアード
どの製品も収納スペースは仕切りで区切られた構造で、工夫次第でバッテリーやプロポ、さらにはパソコンまで収納できてしまうのだから驚きだ。通常のリュックサックなどとは違い、機材を保護するための頑丈なつくりで、バックパックの表面にも耐久性の高い素材が使われているのが特徴。基本的に機種が定められたバックパックとなっているが、ほかの小型モデルなどにも応用できるのだ。
CP+2018ワールドプレミアアワードが決定
▼ワールドプレミアアワードとは?
CP+で発表されるワールドプレミア製品の中から、来場者の投票でグランプリに輝くアワードを決める企画。会期中に発表、表彰が行われる。
■レンズ交換式カメラ部門
ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社/ソニーマーケティング株式会社
α7ⅲ
■交換レンズ部門
株式会社シグマ
SIGMA 105mm F1.4 DG HSM | Art
■フォトアクセサリー部門
キヤノン株式会社/キヤノンマーケティングジャパン株式会社
SPEEDLITE 470EX-AI
※レンズ一体型カメラ部門は該当製品なし
CP+では製品の展示だけでなく、プロフェッショナルとして活躍する人たちのセミナーが多数開催されている。これからドローンの認知度が広まっていくことで、CP+でもドローンのカテゴリーが盛り上がることが大いに期待できるので、来年はぜひ足を運んで耳を傾けてみよう。