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DENSOの純国産インフラ点検用ドローンが橋梁点検の実証実験を開始!

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12月6日〜8日の間、東京ビッグサイトで社会インフラテックが開催され、株式会社デンソーは2015年から開発中のインフラ点検用UAVを展示しました。機体の展示のほか、橋梁点検の実証実験の様子を初公開しました。

●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)


可変ピッチ機構を採用した期待の純国産UAV

株式会社デンソーは予てから自動車用センサーで培った技術を活用したインフラ点検用UAVの開発に株式会社ヒロボーと取り組んでいます。当初はマルチコプター型のUAVでしたが、改良を重ねることでヘキサコプターに進化を遂げてきました。デンソーUAVは橋梁などの点検を担うUAVとして開発し、機体や制御するアプリケーションに至るまで自社開発を行う数少ない純国産UAVです。現在は半自動で操縦ができ、GPSポジションロックというシステムで、高度を自動で維持しながら人の手で前進・後進を操作して運用。将来的には全自動で運用することを目標に開発に取り組んでいます。度々展示会やイベント会場で目にするデンソーUAVですが、残念ながら販売時期は未だ未定とのこと…。

しかし、デンソーUAVは現在主流となっているドローンとは構造が異なる点が多く、独自の技術を多く盛り込むことで、かなり期待できる製品へと近づいているのです。

デンソーUAVの一番の特徴として、プロペラに可変ピッチ機構を採用していることが挙げられます。国産のUAVはプロペラに工夫を凝らしているメーカーが多く、ヤマハ発動機株式会社の産業用マルチーローター(YMR-08)は二重反転ローターを採用することで強力なダウンウォッシュを発生させます。そしてデンソーUAVと同じく、可変ピッチ機構を採用するのが東京航空計器株式会社のGNAS SKYです。デンソーUAVは6枚のプロペラ各所にモーターが設けられていますが、GNAS SKYは1つのモーターで4つのプロペラを回転させ、可変ピッチ機構によりエルロンやラダーなどの動きを制御し、安定性を向上させる構造になっています。

安定性の向上という狙いは同じですが、デンソーUAVの可変ピッチ機構は移動の機敏性も考慮して採用されています。移動時にはレスポンシブルに操縦でき、安定性の面では橋梁などの乱流が起こりやすい場所でも、独自の構造を設けることで風速10m/sでも安定した飛行が可能になりました。現在は約15分の飛行が可能と言います。

そして、上記の可変ピッチ機構を制御するのが自社開発のフライトコントローラーとなります。プロペラの回転数とピッチ角を環境に合わせて制御。フライトコントローラーにより、6枚のプロペラは回転数とピッチ角ともに独立して制御され、細かな調整を繰り返すことで機体は常に水平を保とうとします。

UAVによる点検は搭載するカメラの精度以上に飛行の安定性が求められると言われています。探し出すクラックのサイズは小さいもので0.1ミリメートル程のもので、機体が安定しないことにはブレが生じてしまい正確にクラックのサイズを解析することが困難になってきます。同社では誰もが安全に扱うことのできる機体を目指して開発を続けています。

同社はトヨタグループの1社として自動車に搭載するセンサーを長年開発してきました。近年では自動車にも衝突防止センサーなどが搭載され、注目を集めています。この技術を活かし、デンソーUAVにも高精度な障害物センサーを前方と上部に備えています。点検時には対象物まで1.5メートルまで接近することができ、今回公開された実証実験では0.1〜0.15ミリメートルのクラックを撮影し、クラックサイズの判別まで可能なことを立証しました。また、障害物センサーは取り付け位置を変えることも可能です。

今回公開された実証実験はデンソーUAVを活用し、実際に橋梁の点検を行うものでした。現場での運用を考え「通行人がいる時は飛ばさない」「風速5m/s以上では飛ばさない」というルール決めに沿って運用したところ「思いのほか時間がかかった。」と担当者は話し、機体以外の課題を発見するに至りました。また、今回の実証実験では対象物から6〜7メートル離れた場所から撮影したが、想像以上にしっかりと撮影できていたことなども成果になったようです。

AIの力で小さな傷まで見落とさずに点検!

株式会社デンソーは新たに点検解析用の3Dモデル作成サービスも発表しました。3Dモデルを作成するだけでなく、AIを搭載することで損傷解析まで行える実用的なソリューションとなっています。AIを搭載することで、撮影した大量の写真データはディープラーニングによりクラックの有無を判断し、ある程度精査したうえで提供することが可能になり、同社ではUAVの撮影と解析をパッケージにした点検サービスも視野に検討しています。

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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。