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ドローン業界の〝今〟がわかる! EDACシンポジウム完全レポート(Vol.1)

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2017年12月1日、一般社団法人 救急医療・災害対応無人機等自動支援システム活用推進協議会(理事長:稲田悠樹)、通称EDAC(イーダック)が主催するシンポジウム『地方自治体のドローン活用事例とその未来像について』が東京・秋葉原で行われた。


シンポジウムでは、ドローンに関連する20を超す団体や企業の代表者が登壇し、約5時間にわたり、おもに「地方×ドローン活用」をテーマに最新の取り組みを発表した。
事前の発表で、講演時間は“一人あたり10分”とアナウンスされていたため、各社、各団体とも表面的な説明で終わるものと思われていた。しかしその考えはいい意味で裏切られた。各登壇者は、取り組みを10分間に集約した非常に内容の濃いプレゼンテーションを行い、あっという間に5時間が経過。終盤に登壇した(株)セキドの大下社長が「2012年から活動を行っているが、(登壇者の話を聞いて)ここまで来たのかと非常に感慨深い」と言ったとおり、まさに“ドローン業界の今”を知ることができる貴重なシンポジウムとなった。

そこで今回は、このシンポジウムで発表された各団体、各社の取り組みを複数回に分けて完全レポート。長いレポートになるので、ぜひ興味のある分野だけでもご覧いただきたい。

【概 要】
(第一部)
○主催者挨拶
(1)総務省 犬童情報流通振興課長のご挨拶
(2)「ドローンを社会で活用するための課題と展望」
□□□一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)理事長 鈴木真二氏
(3)「地方自治体のドローン活用事例とその未来像について」
□□□一般社団法人EDAC理事長 稲田 悠樹氏
(第二部)
(4)「災害対応分野におけるドローン活用の取り組み」⇒以下、Vol.2
□□□(株)ブイキューブロボティクス 代表取締役社長 出村太晋氏
(5)「エアロセンス株式会社の取り組みご紹介」
□□□エアロセンス(株) 取締役 COO 嶋田悟氏
(6)「地方創生に最適!21世紀の新スポーツ『ドローンレース』の可能性」
□□□一般社団法人日本ドローンレース協会(JDRA) 横田淳 副代表理事
(7)「那賀町役場(徳島県)ドローン推進室の取り組み」⇒以下、Vol.3
□□□地域おこし協力隊 渡邊 槙太郎氏
(8)「エンルートの描くドローンビジネスの現状・課題と未来」
□□□(株)エンルート 代表取締役社長 瀧川正靖氏
(9)「山での遭難者発見 救助コンテスト(JIC2017)の報告」
□□□ネクスコ東日本イノベーション&コミュニケーションズ 稲田純次 調査役
(10)「スマートドローンで広がる自治体ドローン活用」
□□□KDDI(株) 商品戦略部 松木友明氏
(11)「スマートグラスとドローンで実現化する災害現場支援の未来」⇒以下、Vol.4
□□□(株)テレパシージャパン 代表取締役 鈴木健一氏
(12)「UAVデータを有効活用するクラウドを利用した新しいプラットフォーム」
□□□芝本産業(株)事業開発部次長 小林正幸氏
(第三部)
(13)「衛星回線を用いたドローン映像の転送の実現に向けて」
□□□アイピーカムソリューションズ 防災士 山川隆氏
(14)「セルラー通信とドローンについて」
□□□(株)NTTドコモ イノベーション統括部 事業創出・投資担当 主査 山田武史氏
(15)「ドローン運用統合管理サービスのご紹介」
□□□(株)日立システムズ ドローン・ロボティクス事業推進プロジェクト 宮河英充氏
(16)「コールセンター・アウトソーシングサービスのご紹介」
□□□富士通コミュニケーションサービス(株) 営業本部 営業推進部 部長 小泉実成氏
(17)「ドローンを活用した自治体支援等の取組事例紹介」⇒以下、Vol.5
□□□損害保険ジャパン日本興亜(株) 保険金サービス企画部 技術部長 高橋良仁氏
(18)「災害ドローン救援隊DRONE BIRDが目指す未来」
□□□DRONE BIRD 渉外担当 福本塁氏
(19)「楽天のドローン事業と空域管理に関する取組み」
□□□楽天AirMap(株) 事業開発部長 陰山貴之氏
(20)「災害対応における官民連携について」
□□□(株)セキド 代表取締役 大下貴之氏
(21)「ドローン×AIのリアルタイム映像解析の未来」
□□□(株)リアルグローブ 代表取締役 大畑貴弘氏

主催者挨拶

最初の登壇は、主催団体EDACの監事であり、AI・ロボティクス事業を手掛ける(株)リアルグローブ・大畑貴弘氏が開会の挨拶を行った。

「EDACの目的は最新のテクノロジーで命を救うこと。そのために地方自治体と協力し、日常から業務の中にテクノロジーを取り入れる活動を行っている」とEDACの活動を説明。さらに「ドローンは地方からと思っている。今日登壇する方々の具体的かつ先進的な取り組みを共有頂くことで、ドローンの普及と活用の方向性を示したい」とシンポジウムの抱負を述べた。

(株)リアルグローブ 代表取締役 大畑貴弘

【1】「やれることは躊躇なくやる」
(総務省 犬童課長)

続いて、総務省 情報流通振興課の犬童周作課長が挨拶のため登壇。冒頭「技術の進歩は極めて早い。技術進歩のスピードを100とすれば、制度や人の意識が変わる速度は10程度ではないか」と発言。それゆえに「ICT分野では、やれることは躊躇することなくドンドンやる、という考え方が必要」と述べ、国としても積極的に後押しする姿勢を示した。

総務省 犬童周作 情報流通振興課課長

具体的には、平成27年からEDACのシステムを第1弾としてIoTの実証事業を行っている。その上で「実証事業には継続性が必要。継続するためにも、実証で得たドローンの活用方法を横展開できるサービスを考えていただきたい」と希望を述べた。 さらに「今後、5GネットワークやAIの開発がすすめば、ドローンとの連携の可能性が大きく広がる。一方で早晩必ずやってくる“人口減少社会”を支えるのはICT分野なので、ぜひ意見を交換し、地域と連携して新たなサービスを生み出してほしい」と問題意識の共有と協力を求めた。

【2】「安全対策の重要なカギは再発防止」
(JUIDA鈴木理事長)

次に一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)理事長 鈴木真二氏が『ドローンを社会で活用するための課題と展望』と題したプレゼンテーションを行った。

東京大学の教授であり、日本のドローン業界の第一人者でもある鈴木氏は、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の理事長を務めている。JUIDAはEDACとも相互連携をはかり活動を行っているが、冒頭ではJUIDAの概要について報告があった。

一般社団法人日本UAS産業振興協議会理事長 鈴木真二氏

「発足したのは2014年7月。今年9月には3,000名、直近の11月では4,000名近くの会員数となっている」とJUIDA会員数が急激に増加していることを報告。当初はガイドラインの策定や試験飛行場の設置などドローン環境を整備する活動を行っていたが、最近で人材育成に重点を置いているという。現在は教習機関と連携し、JUIDA認定校は124校、操縦技能証明書の取得者は3,000名を超えている。さらに世界各国の機関とも連携して、教育機関のレベル向上に努めるなど、日本のドローン業界発展の一翼を担っている。そして本題として、最近増えているドローン事故に関して、自身の専門である航空分野から『安全なドローンの利用について』の提起を行った。
「航空機については、国連の機関であるICAO(イカオ:国際民間航空機関)で国際的なルールが定められており、『事故調査』についても定められている。アメリカではNTSBという組織が、事故が起こった場合に徹底的に原因究明を行う」として、1996年に発生した航空機事故を例にあげた。「2000年に発表されたこの事故調査の結果、FAAの審査基準が見直され、2008年には法改正が行われた。国産ジェット機MRJも含め、航空業界は常に新しいレギュレーションに対応している」と航空機産業の国際的な現状を説明した。さらに「目的は再発防止であり、責任は問われない」と事故調査の基本的な考え方を示した上で、1つの重大事故の背景に多数の軽微な事故があるという「ハインリッヒの法則」を紹介。「アメリカでは危険を感じた場合に、罪を問われず報告できる『ASRS』という制度を設けている。日本でも『VOICES』という航空関係者の報告制度が2014年から運用された」と述べ、いかに事故情報を集めることが重要かを述べた。そうしたなか、JUIDA認定校を中心に事故情報を集めることを検討しているという。「現在はまだ無人機の事故調査報告を作成する機関がない。今後は事故情報を収集し、分析結果を広く公表することでドローンの安全運用に役立てたい」。最後に新しい技術が出来たときの社会の反応として、ネガティブとポジティブの2例を紹介。ネガティブな例として、自動車が世に出た際にイギリスで法制された「赤旗法」を挙げた。「英国では自動車は危険なものとして、赤旗を持った人が引率するという規制ができた。これによって英国の自動車産業は大きく遅れを取ってしまった」と過度の規制が産業の普及の足かせになった失敗例を紹介。またポジティブなものとして、第一次大戦後のアメリカで軍用の飛行機を郵便事業に用いることにより、今日に至る一大航空産業を作り上げた事例を紹介。リスクを内包しつつも一歩づつ前に進めることの重要性を説いた。「ドローンも安全上の問題を抱えているが、政府と共に問題をクリアにし、ドローン産業を育てていきたい」と今後の抱負を述べ、締め括った。

【3】「先端技術が人を救う社会へ」
(EDAC稲田理事長)

続いてシンポジウムの主催者でもある一般社団法人EDACの稲田理事長が登壇、EDACの活動と地方でのドローン活用事例を紹介した。

一般社団法人EDAC理事長 稲田悠樹氏

EDACは『救える命を救う社会の実現』というミッションを掲げ、活動している。「EDACの始まりはハイテク技術を救急医療分野に役立てられないか、ということだった」と語り、一つの例を挙げた。「心停止が起こった場合、『通報』や『心肺蘇生』処置は一般の人が行うことになるが、日頃行ったことがない人にとって負担が大きい。そこをIoTやドローンを使って軽減できないか」と考えたという。具体的には、通報から病院に搬送するまでを6つの要素(気づく→見つける→判断する→届ける→処置する→搬送する)に分け、それぞれのフェーズをハイテク技術で補完することで、助かる確率を上げることを目指している。また、EDACは実証から普及まで自らで行うとしており、その一環として総務省の「IoTサービス創出支援事業」に参加。山岳救助を想定し、通報から発見、救助までをドローンを活用していかに時間が短縮できるかを実証した。実際に行うことでさまざまなことが分かったという。「救助隊から『普段は音声のみで状況が把握しづらかったが、映像で見られるため現場が把握できる』と言われた。また想定外だったのがドローンが物理的な狼煙(のろし)代わりになって『あの下に傷病者がいるな、と分かった』と言われたことだった」と語った。そして結果として、通報から救助までの時間が、従来の約半分に短縮できたという。また具体的な運用として、「マラソン大会」での実用事例を紹介。「マラソン大会は、コースが決まっており、また“どの地点で倒れる人が多いか”といった過去のデータもあり、予測が立てやすい。すでに全国の大会で救護班と連携して活動を行っている」と述べた。ほかにもJUTMと共に実証実験を行ったり、子ども向けの体験イベントやセミナーを開くなど、実証から普及に至る活動の報告を行った。そして最後に「地方×ドローン」をテーマに、熊本県阿蘇郡南小国町で行っている活動について紹介した。まず根底には「日常使っていないものは非常時には扱えない」という考え方があるという。それは「熊本地震の時に現地にいて、ドローンが活躍できる場面はあった。しかし地域とドローン操縦者、双方の理解が足りなかったため活用が遅れ、範囲も限定的だった」という、自身の経験からきている。そのため「平時からドローンを活用してもらい、理解を深めてもらうことが重要」であり、「そのための環境は都市部より地方が適している」という。ただ問題もあるという。「自治体から災害対応として相談される機会が多いが、『成果が見えにくいため予算化しづらい』と言われる」。そのためには「平時の活用を含めた横断的なプランを提案する必要がある」といい、その結果今回、南小国町との協定が成立したという。「今回は『災害協定』ではなく、日常も含めたドローンの利活用という協定になっている。町からもさまざまな要望や提案があったため、平時と有事、2面で活用できる仕組みを考えている」といい、さらに「平時のデータは1か所に集約し、災害時に『どこが、どう変わったのか』の“見える化”を進めていく」と語った。今後はほかの企業や自治体とも、それぞれのニーズに合わせた取り組みを行っていきたいと述べ、プレゼンを終了した。

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この記事は私が書きました。