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EDACシンポジウム 完全レポート(Vol.3)

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前回(Vol.2)に引き続き、EDAC主催のシンポジウム『地方自治体のドローン活用事例とその未来像について』のレポート第3弾をお届けする。

(7)「那賀町役場(徳島県)ドローン推進室の取り組み」
□□□地域おこし協力隊 渡邊 槙太郎氏
(8)「エンルートの描くドローンビジネスの現状・課題と未来」
□□□(株)エンルート 代表取締役社長 瀧川正靖氏
(9)「山での遭難者発見 救助コンテスト(JIC2017)の報告」
□□□ネクスコ東日本イノベーション&コミュニケーションズ 稲田純次 調査役
(10)「スマートドローンで広がる自治体ドローン活用」
□□□KDDI(株) 商品戦略部 松木友明氏

【7】「那賀町をドローンが日本一飛ぶ町に!」
(那賀町ドローン推進室 渡邊氏)

続いての登壇は、徳島県那賀町役場でドローンを使った町おこしを行っている渡邊槙太郎氏。「那賀(なか)町は、徳島県でも空港から車で1時間かかる場所。特筆すべき名物や観光地も“なか”った」とジョークを交えて紹介。渡邊氏は政府がすすめる「地域おこし協力隊」に応募、那賀町に移り住み「ドローン推進室」に勤務しながら、町おこしを行っている。「もともと、先に登壇したJDRAの横田さんたちと共に那賀町のドローンレースに参加したことがきっかけ」であるという。

那賀町ドローン推進室 渡邊槙太郎氏

また那賀町は徳島県初のドローン特区として、県から認定を受けている。しかし、ドローンに対してマイナスイメージもあるため「さまざまなイベントを開催して地域の方に理解していただくように努めている」という。続いて産業分野での利活用の事例を紹介。同地の主産業として林業があるが、高齢化や人口減少の問題もあり、ドローンを使った作業軽減を考えているという。「切り出した木材を運び出すための架線(ロープ)の展張、苗木の生育状況や防護ネットの破断状況の確認などの実証実験を行った」と説明。
また鳥獣対策の実験も実施。農作物被害の対策として、サルを犬で追い払うモンキードッグが行われているが、犬が山を越えてしまうと取り付けたセンサーの電波が途切れてしまっていた。「ドローンを中継地として利用することで、犬の位置を見失うことはなくなった」と実験の成功を報告した。さらに医療物流実験では(株)NTTドコモ、(株)エンルートと組み、遠隔での医療診断を行った後、医薬品の配送を行った。「足腰が弱っていて、病院に行けない方に診療と薬を届けることができた」と今後の活用に期待をもたせた。そのほか、自治体で初となる「国際ドローン展」への出展や、子供向けのホビードローンの組み立て教室、消防士への操縦教習など、活動を報告。「今後もドローンに関することは積極的に展開していくので、何かあればぜひ那賀町役場までご相談いただきたい」と述べ、話を終えた。

那賀町まち・ひと・しごと戦略課 ドローン推進室 http://nakadrone.com/

【8】「全面方位で攻めに攻めていく」
(エンルート 瀧川代表取締役社長)

次に(株)エンルート瀧川代表取締役社長が登壇。同社はラジコン販売の会社として2006年に設立。2011年からは自社でドローンの開発を行っていたが、2016年にスカパーJSATホールディングスが同社を買収し、子会社となった。瀧川社長自身、スカパーJSATグループから同社の代表に就任している。「この10月に9億円の増資を行い、4600万円の資本金が9億4600万円になった」と説明。「東証1部上場企業の子会社として、産業用ドローンのトップメーカーの地位を確立したい。そのために開発、設計、企画、製造販売、修理、スクールなど、UTM以外のほぼすべてを手掛けていく」と述べた。

株式会社エンルート 瀧川正靖 代表取締役社長

次に実用例として『農薬散布』を紹介。「従来は夏の暑い中、人力で農薬散布を行っていた。現在エンルートではAC940(94cm)、AC1500(150cm)での2機が実用化さている。容量・重量はそれぞれ4リッター・15キロ、9リッター・25キロあり、非常に大きいドローンだ」と説明。

AC940

AC1500

「技術的には自動航行が可能だが、農林水産省航空協会から【人による操縦】を規定されている。ただ人力で正確に操縦することは極めて難しい。規制が緩和されれば、端末から簡単・正確に操作できるようになる。またこうしたスマート農業によって、若い人の就農人口も増えるのではないか」と今後の規制緩和に期待をにじませた。続いて紹介した『測量』でも開発が進んでいる。「従来は人が何時間も掛けて測量していた。それが標定点を打ってドローンで計測する今の形になり、普及が急速に進んだ。ただ標定点を打つのに時間が掛かる。そこで特許技術を持つ(株)トプコンとともに標定点なしで計測できるドローンQC730TSを開発、圧倒的な効率化が図れた」と述べ、「これは世界初のシステムであり、すでに実用化されている」と胸を張った。最近の活動としては「災害現場での活用が進んでいる。今年は雪崩やアスクル工場火災、ヘリ墜落現場などに出動し撮影した。救急隊の2次災害防止にも役立っている」と述べ、ほかにも有線給電を利用した水難者救助の例などを紹介した。さらに未来の話として「経産省の関連団体から『1000度の熱に3分間耐えられる消防用ドローンを開発してほしい』と要望を受けている」と述べ、さまざまな環境、ニーズに応じたドローン開発が進んでいることを窺わせた。また現在の規制について、安全のために規制は必要だと理解を示したうえで「我々が安全な機体を作ることは当然だが、さらに運行管理システム(UTM)が重要になる。そういったトータルの環境が整ってくれば、規制も緩和される」と述べた。最後に「増資して体制が整った今、エンルート第2の創業としてソフト・ハードのエンジニア、生産・品質管理、営業、操縦者・教官の増強、スクールの開設など、全面方位で攻めに攻めてドローン産業を広げていく」と強い決意を語り、檀上を後にした。

(株)エンルート https://enroute1.com/

【9】「コンテストを通じ、新たな課題を発見」
(ネクスコ東日本 稲田調査役)

続いて、ネクスコ東日本イノベーション&コミュニケーションズの稲田調査役が登壇。10月に北海道上士幌町で行われた『ジャパンイノベーションチャレンジ(JIC)2017』に参加した際の報告を行った。JICはドローンによる難易度に応じた課題(『発見』『駆け付け』『救助』)をクリアする日本初の山岳人命救助のイベント。同社は「大変条件が厳しく、昨年も参加したが成功出来なかった。しかし今年は夜間の部で『発見』することができた」とまずは結果を報告。

ネクスコ東日本イノベーション&コミュニケーションズ  稲田純次調査役

イベントの詳細としては「10月に5日間行われ、今年は夜間の部が新設された。われわれは設備として当初から『発見』のみ参加予定だった」と説明した。
使用した機材はカナダのAeryon Labs(エリヨン ラボ)が開発したSky Ranger。世界最高のスペックを誇るという。「滞空時間は50分、耐風性能は突出しており18.2m/sの強風の中でも飛行できる」と説明。さらに「機体重量は2.4kgと軽く、そこに可視光、赤外光のデュアルカメラを搭載した」といい、本機を使って夜間探索を行った。 捜索はドローンカメラの映像を、2つのモニタに写し解析。「他社に比べにシンプルな構成で捜索を行った。初日10/17の夜間は発見に成功したが、10/20の昼の部は失敗した」と条件によって成否が分かれたことを報告した。「夜間の捜索の場合、野外で人間の体温(表面温度)がどの程度の幅になるかを予測し、予めカメラの表示を絞って設定していた」。その結果「飛び立って約9分で発見、要救助者のマネキンがいる座標データを事務局に送り、発見が認められた」という。しかし昼間の捜索ではキツネを人間と勘違いするなど、失敗したことを報告。「可視画像は山の木々が邪魔をし、非常に発見が困難。やはり赤外線画像などテクノロジーが必要」としながらも、「(赤外線は)晴れた日は不向き。山全体の温度が上がり、温度差がなくなってしまう」と技術的な改善点を提示した。最後にJICに参加して分かったこととして、「ドローン同士の電波が干渉し、2日間飛ばせなかった。またコンテストとはいえ航空法上“夜間の目視外飛行”は認められなかった」など今後に向けた課題を提起し、報告を締めくくった。

◎ジャパンイノベーションチャレンジ2017詳細(https://www.innovation-challenge.jp/

【10】「ロードマップのレベル4を目指して」
(KDDI 商品戦略部・松木プロジェクトマネージャー)

次に登壇したKDDI(株)は、同社がすすめる『スマートドローン』事業について、先日進捗を発表したばかり。今回はシンポジウムのテーマでもある自治体との連携も含めた発表を行った。同社の商品戦略部・松木プロジェクトマネージャーは、スマートドローンを「携帯通信を利用し、長距離自律飛行を実現したドローン」と位置付け、その可能性に着目していると語った。時系列で見ると、同社は2016年12月に「スマートドローンプラットフォーム」構想を発表。これは『機体』『3次元地図』『運行管理』『クラウド』から成り、「機体はプロドローン、3次元地図はゼンリン、運行管理システムはテラドローンと提携し、クラウドを自社が行っている」という。
これを基に、今年3月にプラットフォームの第一次開発を完了し、4月には完全自律飛行の実験に成功した。また5月にはNEDOのプロジェクトとして、ドローン警備の分野にセコム(株)ともに参加。10月にはドローンパッケージの提供も開始したという。「このように、LTEを使った自律飛行の技術開発はほぼ出来ており、当社は次のステップに進んでいる」と述べた。

KDDI株式会社 商品戦略部 プロジェクトマネージャー 松木友明氏

その次の段階として取り組んでいるのが、「スマートドローンインフラ」の構築だ。「KDDIは全国に通信ネットワークを持っているが、これをドローンインフラとして利用できる」といい、具体的には「通信設備を備えた大規模なネットワークセンターが全国に10か所ある。これをドローンステーションとして活用していく」という。
ドローンステーションの役割として「駐機充電、機体の点検・整備、セッティング、遠隔監視などを行う」とし、また「全国に32万の基地局があるが、そのうち適した場所をドローンポートとして、駐機・充電ができる施設にしたい」と語った。さらに安全な飛行ルートを確保するため、東京電力(株)とゼンリンが計画する「ドローンハイウェイ」との連携も視野に入れているという。「こうした『ステーション』『ポート』『ルート』を組み合わせ、広範な飛行ルートを構築していく」と述べ、KDDIの強みを生かしたインフラ構築に向け、ビジョンを掲げた。またこうしたインフラが構築できれば災害時にも有効だといい、「例えば東京で20kmごとにポートを配置すれば、災害場所がどこでも30分以内で到着できる」という。このインフラを利用し「将来的には災害時だけでなく、測量、農業、配送などの分野に活用を広げていきたい。さらにこのプラットフォームを利用したサービスができるよう、他社にも提供したい」と語った。
KDDIとしてはこうした開発をすすめ、政府が掲げるロードマップのレベル4(有人地帯の目視外飛行)を目指し、レベル3(無人地帯の目視外飛行)の実証実験を重ねていく考えだ。最後に「今後は、さまざまな企業とパートナーシップを組んで進めていきたいと思っている。興味がある企業の方は、ぜひホームページから連絡してほしい」と述べ、発表を終えた。

KDDIスマートドローン http://smartdrone.kddi.com/

続き>>Vol.4へ

 

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