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EDACシンポジウム 完全レポート(Vol.4)

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前回(Vol.3)に引き続き、EDAC主催のシンポジウム『地方自治体のドローン活用事例とその未来像について』のレポート第4弾をお届けする。

(11)「スマートグラスとドローンで実現化する災害現場支援の未来」
□□□テレパシージャパン(株) 代表取締役 鈴木健一氏
(12)「UAVデータを有効活用するクラウドを利用した新しいプラットフォーム」
□□□芝本産業(株)事業開発部次長 小林正幸氏
(第三部)
(13)「衛星回線を用いたドローン映像の転送の実現に向けて」
□□□アイピーカムソリューションズ 防災士 山川隆氏
(14)「セルラー通信とドローンについて」
□□□(株)NTTドコモ イノベーション統括部 事業創出・投資担当 主査 山田武史氏
(15)「ドローン運用統合管理サービスのご紹介」
□□□(株)日立システムズ ドローン・ロボティクス事業推進プロジェクト 宮河英充氏
(16)「コールセンター・アウトソーシングサービスのご紹介」
□□□富士通コミュニケーションサービス(株) 営業本部 営業推進部 部長 小泉実成氏

【11】「スマートグラスの社会的実装を目指す」
(テレパシージャパン 鈴木代表取締役)

テレパシージャパン(株)はスマートグラスを開発するベンチャー企業。スマートグラスといえば、2013年にGoogleが発売したグーグルグラスが有名だが、2015年には一般向け販売を中止している。同社は2013年に米シリコンバレーで起業した。現在も開発を続けており、同社の鈴木代表取締役によれば「『スマートグラスの社会実装』をテーマに事業を行っている」という。「スマートグラスの社会実装」とは、“スマートグラスを装着していても社会に受け入れられること”といい、「(会場がある)ここ秋葉原では違和感は少ないが、これを着けて六本木に行くと現時点では怪しい人になってしまう」と課題を語った。そして社会実装を実現するには、やるべきステップがあると述べた。

株式会社テレパシージャパン 代表取締役 鈴木健一氏

その社会的認知を得るためのステップには3つあり、『楽しませる』『社会の課題を解決する』『世界に貢献する』ことだといい、「どんな新しい技術も同じような段階を踏む必要がある」と語った。『楽しませる』の事例として、浅草・花やしきの活用を紹介。「花やしきではスマートグラスを活用し、園内の案内などを行っている」と述べ、すでに「FacebookやAppleといった大企業もARに着目し、投資をはじめている」と語った。また『社会的課題を解決』では、(株)オプティムとの協業で遠隔作業支援を行っているという。「スマートグラスのカメラで見ている映像を遠隔地でも見ることができる。インフラ、建築、整備などの分野で活用を目指しており、現時点で300拠点を超える場所で実証実験を行っている」と実績を強調。そして、本シンポジウムの趣旨でもある『世界に貢献する』という用途でも、すでに実験を開始している。「昨年行ったEDACと共同の救助訓練では、作業者がスマートグラスを装着し、隊員が状況を共有した」と語り、さらに「ドローンの空撮映像を隊員全員に配信し、『今自分たちがどこにいるのか』を確認しながら、山での救助活動を行った」と成果を述べた。また「ドクターヘリに導入し、映像を中継することで病院の受け入れ体制を整えるといった使い方もでき、実証実験も行っている」と語った。ほかにも「色覚障害の方が、正常な色を受け取れるように変換する技術を3年かけて開発、実用化の目途が立った」といい、高い技術をもとに『世界に貢献する』サービスを次々と生み出している。最後に「こうした我々がもつAIやIoTの技術を組み合わせ、災害の現場や人が困っている所で役に立つ製品を世の中に提供していければ」とビジョンを語り、話を終えた。

(株)テレパシージャパン https://telepathywear.com/

【12】「3DR社と連携したサービスを提供したい」
(芝本産業 小林次長)

続いて登壇したのは、芝本産業(株)の小林正幸次長。同社は米スリー・ディー・ロボティクス(3DR)の日本総代理店。冒頭で「当社は3DRの製品販売、サービス、修理まですべて行っている」と話した。

芝本産業株式会社 事業開発部次長 小林正幸氏

3DR社は2009年にシリコンバレーで創業。「有名なものはPIXHALK(ピクス・ホーク)というオートパイロット。現在も世界中で使用されており、最新版として『PIXHALK 2』がリリースされている」という。またこのオートパイロット技術は非常に優秀で「ドローンを自由に飛ばしたり、記憶した場所を何度も飛行させるなどの制御に長けている」と語った。3DR社の創業者は、雑誌『WIRD』の元編集長・クリス・アンダーソン。彼は「ドローンは大きく3本の波に分かれている」と主張しているという。「最初の波は2009年に始まった技術開発で『DIY Drone』。その後、2012年頃からDJIなどの一般向けの『Consumer Drone』が登場した。そして2014年頃からは携帯部品の発達と共に、非常に高性能の『Commercial Drone』に進化している」と語った。こうしてドローンが高性能化し「空飛ぶコンピューター(センサー)」と呼ばれるに従い、3DR社では次のサービスとして“空撮データをクラウドで管理する”モデルを完成させたという。「クラウド上の空撮データはブラウザソフト『Site Scan』上で、3Dや点群データなどに簡単に処理できる」と、PCの性能に依らない優位性を語った。また以前からドローンにはGoProなどのカメラを搭載していたが、最近はSONYが開発したR10Cを搭載した機体を開発。さらに「Site Scan」自体はDJIの機体にも対応しているという。現在、3DR社はこうしたソフトウェアの開発に注力しているという。「3DR社はソフトの開発が非常に得意で、タブレットで行うオートパイロットの機能も充実している。規定したコースを忠実にフライトさせたり、特定の部分を自動でズーム点検できる」。また「『全国のどこで何枚撮ったのか』がひと目で分かる機能や、撮った画像からWeb上で簡単に等高線やヒートマップ、切土などが割り出せる機能などもある」と「Site Scan」の機能の高さをアピールした。さらに一見写真のように見える3次元処理されたデータを、軽快に動かすことができる機能も新たに加わったことで「急速に問い合わせが増えた。リアルな画像で確認したいという要望がある」と述べた。最後に「3DR社との付き合いは5年くらいになるが、彼らは非常に優秀かつこちらの要望にも真摯に対応してくれる。今後は自治体などからの要望を汲み上げ、このような高い技術を生かしたサービスを提供していきたい」と抱負を述べ、締めくくった。

(株)芝本産業株式会社(3DR正規代理店) http://www.shibamoto.com/works/industrial-machinery/drone.html

【13】「狭帯域でも高画質の映像転送が可能に」
(アイピーカムソリューションズ 山川防災士)

休憩を挟んだ第三部、最初に登壇したアイピーカムソリューションズは他の団体・企業とは少し異なるユニークな会社だ。同社の代表・山川氏は「20年以上前からIT業界に携わり、CTやMRIの画像をISDN回線で転送していた」といい、現在はその画像処理の経験を活かし、より少ない帯域で高品質な画像を転送するサービスを行っている。

アイピーカムソリューションズ 防災士 山川隆氏

まずは衛星回線を使ったリアルタイムでのデータ送信のイメージムービーを再生。同社のサービスでも使われているAXIS社(スウェーデン※現在はCanon子会社)のカメラを用い、地球の裏側からでもクリアな映像が送信できる。こうした技術を用いれば「自治体が行う防災や防犯に役立てることができる」という。具体的なものとして、同社のグループ会社(株)アプロとともに大阪府箕面市に導入した防犯カメラの事例を紹介した。「3年ほど前から児童の連れ去り事件が全国で発生し、箕面市から防犯カメラの設置の要請があった」といい、提案を行った複数の会社のうち同社らの映像技術が高く評価され、約1800台の導入に至ったという。提供した技術は、データ容量を圧縮しながらも極めて鮮明な映像を送ることができるというもの。実際、「他のメーカーに比べ、データ容量は1/5、ただ体感としては1/8程度に感じるのではないか」と述べ、圧倒的な差をアピール。「ストレージも軽くできるため、長期間の映像保存ができ、犯罪捜査時に役立つ」という。さらに、採用の決め手となったのが夜間における映像のクリアさだ。「こちらをご覧ください」と、山川氏が映し出したのは昼間の公園のものと思しき映像(写真下)。「実はこれは深夜の1時30分ころに撮影した映像。真夜中でもこれほどクリアに撮影することができる」と述べると、会場からは感嘆の声があがった。防犯カメラを設置する以上、犯罪抑止はもちろんだが、実際に発生した場合に犯人を特定できる必要があり、鮮明な映像が不可欠だ。こうした点で同社らが提案した技術は現実的であり、実際に逮捕に結びついた事件もある。(※下記は箕面市がHPで公開している午後8時頃の映像)

このほかにも、カメラ側にアプリをインストールし、取得した映像データの解析を端末側で行った上で、必要なデータのみを転送することで、必要帯域を大幅に抑える技術なども確立。「ドローンを活用したリアルタイムの映像送信にも活用できる」と今後に向けた提案を行い、プレゼンテーションを終了した。

アイピーカムソリューションズ http://www.ip-cam.jp/

【14】『ドローン産業に積極的に取り組む』
(NTTドコモ イノベーション統括部 山田主査)

続いて(株)NTTドコモ イノベーション統括部の山田主査より「セルラー通信とドローンについて」と題したプレゼンが行われた。冒頭で山田氏は「ドローンへの注目は急速に高まっており、通信事業者として我々にも期待される役割がある」と語った。

株式会社NTTドコモ イノベーション統括部 事業創出・投資担当 主査 山田武史氏

その上で、「物流、空撮、農業、防災、測量、点検などの分野でセルラー通信を利用すれば、“より”高いレベルのサービスが提供可能だ」とし、セルラー通信を活用したドローンビジネスに積極的に関わる姿勢を示した。実際NTTドコモでは、2016年7月に総務省から「現在の免許申請の範囲内で携帯電話の上空利用を認める」省令改正が出ると、いち早く動き始めたという。「7月に省令改正が出てすぐに実用化試験局免許を申請した。そして9月にはセルラードローンの実証実験を行った。これは“国内初”だと思う」と語った。この実証実験ではドローンに携帯電話を搭載し、上空からの電波の影響や受信状況について調査を行った。その結果、さまざまなことが分かったという。「上空のドローンから発せられる電波は想定以上の広い範囲まで届くことが分かった。それが地上の電波と干渉し、通信品質に影響する可能性がある」という。ドローンが受信する電波については、「同じ地点でも高度によって受信状況が異なるため、電波環境が良い高度を選んで飛ぶ必要がある。そのため、空の電波状況を3次元的に捕らえたヒートマップの整備も行っている」と語った。このほかにも「千葉市や長野県伊那市で行った物流輸送、仙台市で行った津波避難など、さまざまな実証実験を行っている」といい、自社だけではなく、さまざまな自治体や企業と協力してドローン事業を推進していることを紹介した。またこうしたモバイル技術以外にも、ドローンの運行を支援するプラットフォーム事業も視野に入れているといい、幅広くドローンビジネスをサポートする方針だ。最後に、自社もユーザーとしてドローンを活用しているといい、「携帯の基地局の点検はドローンを利用しはじめている」と報告。今後日本を代表する通信事業者として、ドローン業界に積極的に関与していく姿勢をあらためて示した。

(株)NTTドコモ https://www.nttdocomo.co.jp/

【15】『ドローン事業に“日立品質”のサービスを』
(日立システムズ ドローン・ロボティクス事業推進プロジェクト 宮河氏)

次に登壇したのが、(株)日立システムズ“ドローン・ロボティクス事業推進プロジェクト”の宮河氏。部署の名前からみても、同社のドローンに掛ける意気込みが伝わってくる。宮河氏も「日立はグループ全体でドローンの普及を推進していく」と語り、同社の本気度を伝えた。

株式会社日立システムズ ドローン・ロボティクス事業推進プロジェクト 宮河英充氏

実際、彼らが手掛けるのは、総合電器メーカーの同社らしくドローンに関わるすべてだという。「撮影代行からデータの管理までワンストップで取り扱う。そして『飛ばす』⇒『加工する』⇒『管理する』という各フェーズにおいて“日立品質”のサービスを提供していく」と、他社との違いを強調した。例えば『飛ばす』際には、「日立機器の保守経験から策定した50以上のチェック項目のうち、最適なものを選定して、徹底した安全管理を行う」とした。また、空撮で得られた膨大な量のデータも高速で『加工する』。「1000枚以上、40GBに及ぶ空撮データを高速で転送・加工するには先進的な技術が必要。当社ならi-Constructionで求められる高精度データや、業務ソフトと連携するデータにすばやく加工することが可能だ」と自信をのぞかせた。データを『管理する』工程でも、ワンストップサービスの強みを生かす。「機体、カメラ、作業者、フライトプラン、空撮データ、加工データ、計測データなどを安全に管理できる。例えば、バッテリーの交換時期も一括で把握できる」とした。次に、これらの特徴を生かした自治体との取り組みを紹介。災害分野での活用も想定しているが、同社では特に点検分野に力を入れているという。「自治体の建築物の老朽化が加速しており、今後その点検・対策が求められるが、人手やコストなど問題が山積み」と語った。そこで同社ではドローンを活用した点検の効率化と自動化を提案。「人手で行う作業をロボットで代用し、作業工数の削減と品質向上を提案したい。その際は既存システムに影響を与えず、ロボットに移行することが重要」と、利用者(自治体)側の負担を考慮する必要性を述べた。そして、同社が10月に特許を出願したばかりのデータ加工・診断する機能を紹介。この機能は同社の「ドローン運用統合管理サービス」の一部として提供され、自動で構造物のひび割れを検出。それを3D画像にマッピングして管理できるという。
リリース(11/27):http://www.hitachi-systems.com/news/2017/20171127.html
最後に、宮河氏は「日立グループは全国に300のサービス拠点がある。それをフル活用し、ドローンの利用を支援していきたい」と述べ、プレゼンテーションを締め括った。

(株)日立システムズ(ドローン)
http://www.hitachi-systems.com/ind/robotics/robots/drone/service/index.html

【16】『差別化は飛行・撮影の前後にあり』
(富士通コミュニケーションサービス 小泉営業推進部 部長)

富士通コミュニケーションサービス(株)の営業推進部、小泉部長は登壇した第一声で「実は、当社はドローンの専門部隊は持っていない」と宣言、しかし続けて「ドローン事業には必要なサービスを紹介するためにやってきた」とにこやかに話し、会場を和ませた。

富士通コミュニケーションサービス株式会社 営業本部 営業推進部 部長 小泉実成氏

まず事業説明として、「当社は富士通の100%子会社として、1994年に設立。パソコンサポートからスタートし、現在では電話、メール、チャットを介した『コンタクトセンター』や『ITサポート』事業を行っている」と述べた。おもに企業からの依頼を受けサービスを提供しているが、近年はその要望も多様化しているという。「お客様からの問い合わせなど、手間のかかる部分をアウトソースして頂いているが、従来の電話対応から、最近では『チャットボット』などAIを活用した自動会話型のサービス、WEBでの書き込みの監視といったサービスも増えている」といい、「おかげさまでサポートセンターは全国11か所に広がっている」と語った。このような事業環境の下、同社では新たにドローン産業に注目。「ご存知のように、ドローンはとくに産業分野において、非常な拡大をみせている」と述べ、「このようなお客様が増えて続ける状況の下で、当社が貢献できるサービスがある」と語った。具体的な例として、同社がコールセンター事業を始めたころの経験を語った。「サービスを始めた約20年前は、電話機を何台も並べて問い合わせ対に応をしていたが、今ではパソコン1台」と話し、「つまり最初は小さくても、業務拡大にあわせてフレキシブルに対応することができる」と同社の強みを強調した。その上で、今後ドローン事業を行う会社は差別化が必要だという。「自律飛行が当たり前になってくれば、飛行技術による差別化は難しくなる。そのときはお客様に対するサービスが重要になるのではないか」と述べ、「われわれは『差別化は前後にあり』と考えており、飛行・撮影の前後、とくにアフターサービスの提供に自信を持っている」と語った。また自治体におけるドローン活用時にも、住民の理解を得るためには顧客満足度的な視点が必要だと語った。その上で、「平時やイベント時、または緊急災害時にも、お客様(住民)へのさまざまな対応が必要となる。そのためのサービスを当社で用意できる」と語った。そして、こうした顧客対応サービスはビジネスが大きくなる前に作ることが大切だとして、「当社のようなバイブレイヤー(脇役)が入ることによって、業界の厚みも増すのでは」と語り、会場の笑いを誘った。

富士通コミュニケーションサービス(株) http://www.fujitsu.com/jp/group/csl/

続き>>vol.5

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