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11個のモジュールを搭載できる災害救助のプロ機「D-HOPEシリーズ」

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東京ビッグサイトで10月10日〜12日に開催されている危機管理産業展2018(RISCON TOKYO)では、新たに今年からロボット・ドローン特別エリアが設けられ、災害救助用のドローン「D-HOPEシリーズ」が展示された。

●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)


需要が増す災害救助活動に専用のドローンを投入

近年、日本では自然災害が増加している。2018年7月には強力な豪雨が西日本を襲い、多大なる被害を及ぼしたのは記憶に新しく、豪雨の凄まじさに世間は騒然となった。この被害をきっかけにドローンを活用した災害支援を行う団体が増え、地方自治体や国と連携を図り、活動の幅を広げている。とくに現在は被災した地域の現状把握のために、土砂災害現場を測量したり、被害の及ぶ範囲を写真に収めるなどして、今後の被災対策に役立てる活動が目立つ。また、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震でも同様な活動が継続されている。

上記の活動に用いられるドローンは主にDJI社のInspire2やMatriceシリーズが大半を占めている。ところが、危機管理産業展では被災の事後調査ではなく、被災現場に飛び立って救助を行う中国メーカー(HARWAR)のドローンが展示されていた。

D-HOPE Ⅰ

赤いボディに斬新な形状をしたD-HOPEシリーズは、株式会社センチュリーが正規代理店となって2019年の春頃からの販売が予定されている。D-HOPEシリーズは被災現場で活動するためのドローンであり、約15m/sの耐風性能力やIP64規格の防塵防滴能力を持つなど、過酷な現場を想定したスペックで他社と差別化を図っている。

D-HOPEシリーズにはⅠ、Ⅱ、Ⅲの3種類がラインナップされ、それぞれペイロードが違う。Ⅰは6Kg、Ⅱは4kgの荷物を運ぶことができ、Ⅱは有線給電タイプで形状はⅠと同様だ。

カーボン素材を採用したプロペラは2重反転構造となっている。これは仮にプロペラが不動状態になった時に備えたもので、1枚のプロペラが不動状態に陥った場合に残りの1枚が作動し、対角線上の1枚のプロペラの動作を止める機構となっており、墜落を防ぐ。

D-HOPE Ⅲ

そして、一番大きなサイズとなるのがD-HOPEⅢだ。ペイロードは25kgを誇り、ⅠとⅡに比べると大幅に機能面も改良されたモデルだ。720度全方向に渡って高精度な障害物センサーを搭載している。また、安全な自律飛行を行うための人工知能も搭載され、自律飛行のルートを作成すると障害物を避けながら最適なルートを自動で認識してくれる。例えば陸橋を越える場合はドローンが自らの機体サイズを認識しており、自分のサイズの通れる場所を自動で選択し、目的地に向かうといった具合だ。

機体とセットでタッチパネル式10.1インチカラー液晶を搭載した専用のプロポも付属。基本的にD-HOPEシリーズの運用は自律飛行で行うため、手動で操作する必要はないものとなっている。

 

災害現場を救援する数多くのモジュール

D-HOPEシリーズの強みは過酷な現場に対応するスペックだけではない、一番の特徴は搭載できる消防救助用モジュールの豊富さであり、自社開発のモジュールの多さには驚かされる。用意されたモジュールは以下の通りだ。

■36倍ズームモジュール
1080Pハイビジョンズーム、800m先の車体ナンバーを確認できる。

■赤外線探知画像モジュール
-20度〜+200度の温度範囲を測定可能

■救援物資投下モジュール
1080Pハイビジョンカメラで投下位置を正確に把握。
食料、薬、衣類、通信設備を正確に投下。

■水上緊急救命モジュール
1080Pハイビジョンカメラで投下位置を正確に把握。

■液体消化団モジュール
6弾を順次自動発射する消化弾。
消化面積は72平方メートル。

■消化剤投下モジュール
消化剤ボールを4弾自動で投下する。
消化面積は32平方メートル。

■8IN1気体探知モジュール
約480種類以上の気体を感知。

■空中照明モジュール
6500ルーメンの明るさを誇るLEDを搭載。
到達範囲は640mに及び、1080Pのカメラも内臓。

■拡声器モジュール
音量120dbで避難者誘導や現場指揮を担う。

■救難ハシゴモジュール
長さ20m、最大荷重重量500kgのハシゴを投下。

■5カメラ傾斜モジュール
2.12億ピクセル、1:500図面測量を行う。
市街地の3D測量や地理測量に用いる。

D-HOPEシリーズには実に以上の11個のモジュールが搭載でき、現場では心強いツールに成り得る。すでに中国では活動実績もあり、災害現場で救助を行っていると言う。飛行時間は搭載するモジュールによって変化するが、荷重が無い状態で約1時間の運用が可能だ。

株式会社センチュリーは消防署や警察等に販売を予定しており、緊急時に役立てることを想定している。中国ではD-HOPEの運用を管理する指令センターが設けられ、4G-LTEネットワーク回線を介して救急車や現場の救急隊と連携を密にしながら運用している。日本においてはセルラードローンの利用が実証実験での利用しか認められておらず、指令センターのような運用管理までは至っていないので、当分はドローン単体の運用になりそうだ。

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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。