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JUIDA創立5周年記念シンポジウムで商用ドローンの普及について議論

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JUIDA創立5周年!政府と民間企業がドローン利活用に意見

一般社団法人日本UAS産業振興協議会(以下 JUIDA)は創立から5周年を迎え、『JUIDA創立5周年記念シンポジウム』を8月19日東京大学伊藤国際学術センターで開催しました。シンポジウムはこれまでの動向から、JUIDAおよび無人航空機産業の5年間の成長、今後の5年間を見据えた「これからどうなる無人航空機産業」をテーマに、JUIDA、国、地方自治体、産業界の各方面からゲストを招き、3部構成でディスカッションが繰り広げられました。

●Written by 竹村 信亮(Nobuaki Takemura)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)


■第1部 JUIDAと小型無人航空機をめぐる5年間の歩み

JUIDA 理事長 鈴木真二氏

冒頭にJUIDA 理事長 鈴木真二氏がこれまでJUIDAが歩んできた歴史について解説。現在、ドローンスクール講習団体であるJUIDAの会員数は1万人を突破し、ドローンスクールも全国で210件を超えるなど、ドローン産業の急激な成長について現状報告を行いました。2019年は「ドローン飛躍元年」の年と目標を掲げています。加えて、今後のドローン業界の未来に必要な見識については、ピーター・ドラッカーの言葉を引用し「将来を見通すためには自分で未来を創造する、もしくは過去を未来の鏡として観察し、将来を見通すことが重要である」という考えを述べました。

 

■第2部 飛躍するドローン産業・今後の展望について

討論として挙げられた議題は以下の通り

  1. 2022年の目視外飛行LV4実現に向けての各省の課題と取組の方向性について
  2. ドローンの利用増加にあたり、考える課題
  3. 今後JUIDAに対して期待すること
  4. ドローン利活用において日本がガラパゴス化しない為には

ドローンに関係する各府省と自治体、福島県の団体が集うことになるのは業界初。パネルディスカッションでは、5名の招かれた省庁関係者が現在取り組んでいる内容について話し、上記のドローン業界にまつわる現状課題について見解を述べました。

内閣官房 小型無人機等対策推進室内閣参事官 長崎敏志氏

長崎氏は日本のガラパゴス化とJUIDAの取り組みについて

「ドローンの運用においてあらゆる問題は生じるものであると前提した上で、一般の方々がドローンの未来をどうとらえているのかが甚だまだ未熟であり、今までは飛行に関するルール等の観点でしか考察ができておらず、利活用における社会実装の観点から問題解決策を探るのが重要である。」

という見解を述べました。

JUIDAには5年後、10年後のドローン業界に対してどういったものが必要であるかをはっきり示すことを望むと強調。それを行うことが新たな基盤となり、ガラパゴス化しないことにも繋がってくるであろうと、明確な方針を持つことの重要性について語りました。

総務省総合通信基盤局内閣参事官移動通信課長 荻原直彦氏

荻原氏はドローン利活用が増加した際の課題について

「日本が少子高齢化が進んでいるので、IOTを活用し、様々なソリューションや利用方法や有効性を証明し海外に発信することが重要です。また、多くのユーザーがドローンを使用する場合や、運用時のプライバシーについては制度やガイドラインの更新が必要不可欠であり、普及に貢献するのであれば前向きに取り組んでいきたい。」

という意欲を示しました。

国土交通省航空局安全企画課長 英浩道氏

英氏は航空局の観点から、レベル4の目視外飛行について言及しました。

「レベル4の飛行においては地上に人が居るという運用に対して、従来の考えとは別の視点で取り組んでいかなければならない。レベル4にも場所や状況などの違いがあり、例えば沢山人がいる場所から人が少ない場所などが存在するので、そういった状況に応じての法整備も必要ではないだろうかと考察。他にもそういったルールを設ける上で、まずドローンの運用が社会の役に立ち、受け入れられる必要があると述べ、社会的な意味づけが一番重要です。」

という考えを述べました。

農林水産省生産局技術普及課長 今野聡氏

今野氏は農業分野のドローン利活用について意見を述べました。

「農業においては人が干渉することがほとんど無いので、運行を重ね実績をあげていきたい。しかし、道路をまたいだり集落の上空を飛ぶ場合もあるので、その実績を作っていくことも重要であり、今農業の分野においてドローンを運用したいという声に対してドローンを操縦できる人材が少なく、オペレーターの育成をより充実させるのが肝となります。JUIDAには農業利用の教習を強化することに期待しています。」

と分野に特化したスクールの存在にも注目。

福島県商工労働部産業創出課 ロボット産業推進室長 北島明文氏

北島氏は今後のJUIDAへの期待と、人材育成についてコメント。

「福島県のロボットテストフィールドで新たなサービスを試験したいという声は多数寄せられます。しかし、オペレーターの人員が少ないため、今後はオペレーターに求められる技術、状況判断能力、経験などは非常に大きなものになっていくと思われます。これからのJUIDAにはオペレーター育成の注力に期待しています。」

とオペレーターの不足について触れました。そして、福島ロボットテストフィールドの利活用についても言及しています。

「今後のロボットテストフィールドの役割として、ロボットやドローンの安全性を評価できるナショナルセンターにしていきたいと考えています。操縦、運用、機体、運行管理などにおいて安全管理はこれまで以上に必要になり、基準を満たしたドローンを運用していく形になるでしょう。」

と述べました。

 

■第3部 未来のドローン産業はどうなるのか?

ブルーイノベーション代表取締役社長 熊田貴之

第3部はドローン産業にまつわるパネルディスカッションがブルーイノベーション株式会社代表の熊田貴之氏の進行のもと行われました。ディスカッションには楽天株式会社、株式会社NTTドコモ、株式会社日立システムズの3社が登壇し、現在取り組んでいる事業内容のほか、直面している課題や、今後取り組んでいきたい事柄について議論を交わしました。

楽天株式会社 ドローン・UGV事業部 ジェネラルマネージャー 向井秀明氏

向井氏は鹿児島で行われているドローン配送で生じる3つの大きな課題について説明。

「一つ目は規制、二つ目が技術、三つ目がコストです。規制と技術は二人三脚の要素があり、省庁との連携及び、現在の技術力を以ってすれば、規制されているからといって実行に移せないということはほとんどありません。レベル4の飛行を実現したくても事業者として事故への責任もあるため、技術力と規制を並行させ、各方面と連携して取り組んでいく必要があります。現状のコスト面では人件費やハードウェアの利益が取れていない状態であります。人件費はいかに安全を確保しつつ自動化にできるかが課題となっており、バッテリーやドローン本体のコストについては、かつて高額であったLEDが10分の1の値段になったように、普及が進めばコストもいずれかは低下してきます。利活用実績を増やすための具体的なサービスには、コストの高い山間部への輸送などを始め、それにより人員やノウハウが育ち、その需要に応じてドローンが量産され安価になり、ドローン輸送を提供できる場所が増え、コストとのバランスが図られていくのではないかと思います」

といったサービスの循環を想定した運用について発表しました。

今後の展望としてドローン物流は福島で実現できるが、それ以外の地域では難しいので楽天としてどのように普及させていくかを模索していると、今後のサービス化への課題を挙げました。向井氏は過疎地の離島などであれば技術があるので実用できると今回の実験を踏まえて実感し、これをパッケージ化して過疎地の企業と連携しながら導入したいという意向も見せました。直接地方に赴き輸送を行うのはコストがかかるため、地方の自治体や企業のオペレーターと連携を取りながら導入しなければならず、導入の第一の課題としてドローンの物流配送の需要を増やす必要があり、利便性をアピールしていく必要がありそうです。

株式会社NTTドコモ ビジネス戦略部 ドローンビジネス推進担当 山田武史氏

山田氏は規制と安全な利活用についてコメント。

「規制は順調に緩和に向けて一定の動きが見られます。ドローンパイロットの方々には見えない電波の存在を認識していただくため、電波の及ぶ危険な場所を可視化していくのが重要です。可視化はビジネスの側面でどうやって採算を合わしてゆくのかが課題となっており、検討が必要です。そのため、将来の展望として運行のためのプラットフォームを構築していきたいと考えています。」

 

株式会社日立システムズ ドローン・ロボティクス事業推進プロジェクト 部長代理 宮河英充氏

宮河氏はドローンの技術面についてコメント。

「技術面において機体の安全性の確保が重要です。ドローンが墜落しないというのが大前提にあるので仮に落ちる事になっても安全な場所に墜落させるといった安全の担保が第一の課題です。もう一つの課題は自動化でしょう。ドローンの点検業務はオペレーターが操縦するには難度が高いので自動化が必須です。現在はクラックなどの点検をAIで行っていますが、それ以外の劣化を分析する機能を充実させていきたいと考えています。」

ディスカッションを終え、ブルーイノベーションの熊田氏は「繋がり」が今回のキーワードになりましたと話し、自治体や地元、通信、ロボット、ドローン、スクールなど多岐にわたって繋がっていくことの重要性を提唱しました。


@一般社団法人日本UAS産業振興協議会
@楽天株式会社
@株式会社NTTドコモ
@株式会社日立システムズ

 

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この記事は私が書きました。