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ドローンが”飛び交う時代”は来るのか!? NEDOプロジェクトの近況と今後の課題

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産業ドローンを活用するために実証実験やシステムの開発を国と一丸となって進めているNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術開発機構)は、6月13日より幕張メッセにて開催されている「ロケーションビジネスジャパン2018」で実験機を展示。現状のNEDOの取り組みや産業ドローンの実用化に向けたプロジェクトの進行具合いなどを伺った。

●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)


最終目標は2021年!いよいよ第二ステージに突入!

2017年から本格的に開始
2021年までに6個の課題をクリアしていく

NEDOが2017年に開始した「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」では様々な日本企業が協力することで研究が進められている。このプロジェクトの目標は、産業ドローンの利活用を目指し、効率的にドローンが上空を飛び交うシステムを2020年代に構築すること。そして、国際標準化を図り、このシステムを日本から世界へと普及させることとしている。

ハード開発に関わる2つの項目(緑枠部分)を終えた
2019年には次の段階(青枠部分)の開発を進める

現段階での進歩状況は、2016年ー2017年に予定していたドローンの開発を終えている。物流や災害調査、点検など各分野を得意とするドローンの開発に加え、耐火性の向上や燃料電池の搭載を可能にした。しかし、バッテリーによる課題はまだ解決に至っていない。日本を北から南まで飛ぶことを目標としていたこともあり、最低でも2時間の飛行を可能とするドローンの開発に取り組んでいたが、今の技術では最も飛行時間が長いものでも1時間だという。

そして、2019年からはいよいよ運用に関わる部分の研究開発が進められる。今後は、運行管理や管制システムの開発実験を予定しており、ドローンを安全に運用するためには必須の課題となる。具体的には複数のドローンを一度に管理しながら飛行させたり、航空機などと連携を図りながら安全に運用するための技術である。これらを実現するのに合わせて、ドローンの衝突回避システムに関する技術も研究開発されていくとされている。

国産メーカーが力を合わせて開発される実験開発機

データ取得用に運用されている実験機

今回出展された実験開発機はYAMAHAの産業用無人ヘリコプターであるFAZER Rをベースに採用し、カスタマイズを施した。2010年から打ち上げが開始された、みちびき(準天頂衛星システム)用のGPS装置や、周囲の障害物を探査するレーダーなどが搭載され、現在は南相馬市で実証実験を行い、データ取得用の実験機として運用されている。

搭載されたみちびき用のGPS装置(三菱電気製)

搭載されるセンサーには、自動車の衝突防止システムなどでも知られる日本無線やSUBARUの技術を盛り込まれている。自動車における衝突防止システムは前方の障害物を検知することが重要だ。ところが、ドローンの場合は全方位の障害物を検知しなければならない。レーダーは障害物との距離は算出が可能だが、高度を検知することは難しいとされていた。そこで、準天頂衛星システムを使うことで、自分の位置を検知し、高さと距離の両方を算出することが可能となったのだ。このレーダーにSUBARUのアイサイトなどのアルゴリズム技術を組み込むことで高精度な衝突防止センサーが現実的な形として出来上がる可能性があるという。

中央下腹部には日本無線が開発する探査用レーダーを搭載

レーダーとセンサーは将来的には自動で障害物の検知を行い、回避までしてくれるものを目指して開発中だ。レーダーにより障害物の探査を行い、それを認知したうえで前方・後方に避けるのか?横に避けるのか?を判断する。しかし、世界中でまだこのアルゴリズムを開発した国はないとされている。

また、準天頂衛星システムが利用できるようになったことで高度の精度が向上された。従来のGPSはグルグルと地球上を周回している衛星のいずれかを捉えて通信する必要があり、不安定な状態だったが、準天頂衛星システムは常に日本の上空に位置しているため、捉えることが容易なうえに、数センチメートル単位まで誤差を低減できるようになった。

NEDOのプロジェクトにはオールジャパンとして国産企業のみというくくりで開発を進めている。この拘りは、プロジェクトの目標が国際標準化であり、日本が中心となって世界に展開していくためだ。

 

プロジェクトの実現化に向けての課題

今後産業ドローンを利活用していくための課題は、ドローンのルールにあるという。ドローンの運用についてロボットや航空機など、どの分野のルールに当てはまるか?が議題となっており、新たにドローン専用のルールが設けられる可能性も高い。

さらにそのほかにも、ドローンにおいては責任がどこにあるのか?という問題が大きく、自動車のように人が乗っている物であれば、乗車している当事者に責任が問われるが、無人機となると製造開発を行った企業に責任が問われるのか?それとも運行管理をしていた企業に問われるのか?と悩ましい課題が残っている。それらを解決するためにもルールが必要となる。しかし世界で見れば、課題に対しての取り組みは日本はとても積極的とし、中国、オーストラリアなどと同様にリードし提案を続けているという。

国の法整備は航空局が積極的に進めており、現在は有視界飛行方式じゃない場合でも飛行を可能とする指針を打ち出している。

車の自動運転化は人を乗せていることから、安全に対する配慮やルールが厳しいのに対して、ドローンの場合は実現化を目指している無人地帯での飛行については、極論なにかアクシデントが起きても物損事故で止まり、人に影響を与えることはない。これにより、自動車に比べれば話は進みやすい可能性はあるようだ。

南相馬市で簡単な実証実験は行なっているが、運行管理や衝突回避については2019年から本格的に開始される。一番の課題はドクターヘリとの関係であり、ドクターヘリは救急車と同じ扱いで、緊急を要するものなので航路は決まっておらず、自由に飛行して良いと定められており、確実にドローンが避けなければならない。このシステムを構築するには高い技術が必須なのだ。

今回話しを伺った日本無線は、レーダーやGPSを開発する企業で創業102年の歴史を持つ。レーダーについては、センシング用レーダーを開発しており、もともとは軍事用途や船舶のレーダーが始まりだ。レーダーは特に夜中などの目視ができない状況での運用に役立つとされ、ドローンについても同じことがいえる。ただし、現状はドローンの法律やルールがしっかりと決まっていないので、探り探り研究と開発を行っている様子だ。

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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。