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【空撮に行こう!初心者のための空撮講座】飛行許可編

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個人が趣味として空撮を行うには?現役パイロットが解説する撮影準備

ドローンで空撮をやってみようと思い立ち、ドローンを購入。さあ、空撮に行くぞ!と思ってはみたものの、何だか勝手には飛ばせないらしい。ドローンを買ったばかりだけど、これからどうすればいいの?空撮をしてみたいけど複雑そうで中々踏み出せない。この記事はそのようなドローンパイロットが安全に空撮を行うために、ドローングラファが解説します。

●Written by 草苅 徹(Kusakari Toru)
●photo by 草苅 徹(Kusakari Toru)

私は2017年からドローンの空撮を始め、空撮パイロットとして4年間の経験を積んできました。普段は北関東を中心に全国各地の空撮をしており、知る人ぞ知る絶景を探して空撮ツアーを組むこともあります。昨年も2か月に1度の頻度で空撮ツアーを開催し、滝や灯台等を好んで撮影しています。

宮崎県串間市 都井岬灯台 使用機材:DJI Phantom4 Pro

栃木県那須烏山市 龍門の滝 使用機材:DJI Phantom4 Pro

本記事では、これまで撮影した経験をもとに、知識と情報を共有していきます。
今回は空撮を行う第一段階。撮影に当たって、パイロットはどのような許可を取得しなければいけないのかについて解説します。

飛行前の第1歩!ドローンの飛行申請

まず、空撮に限らずドローンを飛行させるには、必ず国交省の許可が必要です。申請には書面とオンラインの2通りの方法がありますが、オンラインの『ドローン情報基盤システム(以下DIPS)』からの申請がおすすめです。一度機体やパイロットの情報を登録すれば、その後申請する場合は、比較的簡便に入力できるようになっています。

申請においては、以下の項目を含めるようにしてください。
・必要となる空域(飛行禁止空域の飛行(第132条関係))
C:人又は家屋の密集している地域の上空

・飛行の方法(飛行の方法(第132条の2関係))

5:夜間飛行
6:目視外飛行
7:人又は物件から30m以上の距離が確保できない飛行

いずれも、空撮する際に必要となるもので、特に「6:目視外飛行」「7:人又は物件から30m以上の距離が確保できない飛行」は必須。モニターを注視する場面が多い空撮では「目視外飛行」をせざるを得ません。また、よほど広大な場所でなければ、物件から30m以上離れて離着陸することはできず、この項目は必須となります。

業務などの利用で1年間の包括申請を行うと、個別の空撮で許可を取る手間が省けますが、その代わりに申請した期間中3か月単位で飛行記録報告をする必要があります。これは、国交省で示す飛行記録用の書式が用意されているため、これに記録し、飛行した場所と空域を示したマップを添付して提出します。従って、毎回の空撮で記録しておく必要があります。

個人の空撮では、空撮案件ごとの個別申請。個別の申請の場合は、飛行目的が「趣味」であっても許可は下ります。また包括許可証を取得していても、「高度150m以上の空撮」や「空港近辺の空撮」、「イベント上空」といった包括に含めなかった飛行の場合は、当然ながら個別での申請が必要になります。

特に、「空港周辺」と「150m以上」は空撮をしていると意外に必要になる場面が多いので、これらの諸条件は知っておく必要があります。「空港周辺」は、空撮する空域が空港からどの位置にあるのかで、制限される高さが決まります。また、令和2年6月24日より「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」が改正され、新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港の8空港が飛行禁止対象の空港となっています。これらについて空港及び周辺の空撮を行うには、個別に許可を求める必要があります。
※参考-200g未満の小型無人機等の飛行が禁止される空港の指定について

個別に申請する場合には多くの場合、飛行経路を特定しての申請になります。申請から許可が下りるまで時間が掛かるため、最低でも2週間前までに申請をしておきましょう。

この前提条件をクリアした上で、空撮には現地に撮影の許可を取る必要があります。
撮影の許可を得るためにすべきことは、以下のようになります。

・空撮したい場所・空撮したい被写体を調べる
・空撮したい場所の管理者・地権者を調べ、必要な届出をする

今回は私が現地で空撮を行った茨城県北茨城市にある六角堂という場所を例に、空撮を行う際どこに問い合わせをすべきなのかを詳しく解説します。

空撮したい場所・空撮したい被写体を調べる

例えばあなたが何気なくネットを見ていて、茨城県にある六角堂に心魅かれたとします。

茨城県北茨城市 六角堂 使用機材:DJI Phantom4 Pro

そして「この建物を空撮したい!」と思ったとしましょう。
岸壁の突端に建ち、木々の緑の中に建つ赤い建物は海の青と波しぶきの白に負けじと威風堂々とした感じがあり、いかにもノーズインサークルをやってみろと言わんばかりのロケーションです。

この六角堂を空撮する上で、しっかりと確認したいのは以下の点です。

・六角堂を管理しているのは誰か
・六角堂の場所は人口密集地(DID)ではないか
・六角堂の近くに飛行場などの無人航空機に対して制限されている場所はないか

この3点に注意しながら、トラブルのない空撮計画を立てていきましょう。

空撮したい場所の管理者・地権者を調べ、必要な届出をする

まずは、六角堂そのものの住所や周囲に注意すべき施設があるか、どこが管理しているかを調べ、許可を申請すべき団体をピックアップしていきます。アポイントを取る団体はケースバイケースですが、まずは撮影地の『市役所』『観光協会』へ連絡します。市役所が管理を兼ねている場合もあり、そうでなくとも管理者への連絡先を教えてもらえることもあります。

その際は以下のことを伝えます。

1.自分自身が何者か。
2.ドローンで空撮する目的
3.空撮を予定している場所
4.空撮を予定している日時
5.国交省の無人航空機の飛行に関する制限を理解し、許可証を持っていること

そして、市役所や観光協会に聞くことは以下の2点です。
・予定した日時と場所で空撮することについて何か注意点はあるか
・他に問い合わせすべき組織はあるか

多くの場合、市役所や観光協会は許可申請の窓口となっていませんが、事前の相談は重要です。自治体や団体によっては書類の提出が必要な場合があるため、時間に余裕を持って連絡しましょう。
六角堂の南側には、五浦海岸を挟んだ場所に、天心ロケセットなどを含んだ五浦岬公園があります。ドローンに関する公園での条例も考え、今回の空撮では市役所と県庁に問い合わせます。

■周辺施設の確認
警察や役所などに連絡すると許可取りに必要な管理団体などを教えてくれる場合もありますが、しっかりと目的地の周囲を事前に確認しておきましょう。

Google mapで見た六角堂周辺

六角堂の周囲は人口密集地ではありませんが、周囲は海に囲まれています。

海の上は自由に飛ばせるわけではありません。多くの場合、管理する団体や責任者がいます。地図を見ると漁港や定期航路はありません。しかし「五浦海岸」があり、この海岸の管理者について調べる必要があります。多くの場合「観光協会」や、地域の「港湾事務所」が管理しているため、これらの組織にも連絡をしておきましょう。

見落としがちな民間企業への配慮

公的な組織以外に民間の法人などにも配慮が必要です。六角堂は茨城大学美術文化研究所が管理していると公式HPで確認できるので、連絡を取ります。

また、地図上で六角堂の北側を確認すると、ホテルがあります。客室から見える場所で飛行させると、それがホテル側へのクレームに繋がる恐れもあります。六角堂撮影にあたっては、ホテル側にドローンを飛行させないという空撮経路を計画することになります。

ホテルにHPがある場合、内容を確認してみましょう。このホテルの売りは、五浦の海から登る日の出と全室のオーシャンビューとあります。日の出の時間にドローンを飛ばすのはクレームに繋がるかもしれない、ということが想像できます。トラブルを避けるため、日の出の時間を外した計画にする必要があります。

茨城県北茨城市 六角堂 使用機材:DJI Phantom4 Pro

茨城県北茨城市 六角堂 使用機材:DJI Mavic mini

管轄の警察署にもドローンを飛行させる旨と、周辺住民からクレームが入った際の対応をお願いしておきましょう。警察は道路からの離着陸を余儀なくされる場合、道路使用許可をもらうために連絡することがあります。そうでない場合でも連絡しておくと、空撮予定地周辺の派出所に当該日時にドローン空撮をしている旨が通達されます。仮に周辺住民がドローンを見かけて通報しても、適切に対応してもらえます。

六角堂を撮影する場合、少なくとも以下の関係各所に問い合わせる必要があります。

・北茨城市役所
主管課に五浦岬公園のドローン規制の確認。

・北茨城観光協会
五浦海岸のドローン規制について、この周辺で問い合わせるべき組織の有無。

・茨城県庁
五浦海岸のドローン規制について問い合わせる。

・茨城大学美術文化研究所
六角堂の撮影についての注意事項を確認。

六角堂一つを撮影したいと考えた場合でも、このくらいの問い合わせ先になります。一つの空撮スポットにつき、およそ5~6か所の問い合わせが必要です。

自分だけでなく第三者にも迷惑をかけないように安全な空撮を遂行するためには、細心の注意を払います。ドローンパイロットとして重要な事前確認をしっかりと行い、空撮を安全に楽しめるようにしましょう。

手を尽くす価値がある空撮の魅力

今回は空撮の事前準備を解説しました。これから空撮を始めようという方には、少しハードルが高かったかもしれません。

しかしながら、ドローンの空撮ではかけた労力に見合うだけの素晴らしい風景を楽しむことができます!
下記は今回撮影した六角堂を中心にした、「天心遺跡」の映像です。

ドローンの空撮にはいくつもの魅力がありますが、その中でも「ドローンは絶対に人が立ち入ることのできない場所からの撮影ができる」ことが大きな魅力です。
例えば、この「鹿児島県南大隅町 雄川の滝」の写真。

鹿児島県南大隅町 雄川の滝 使用機材:DJI Phantom4 Pro

この滝は普段はもっと細く静かな美しい白糸のような滝ですが、撮影時は前日の雨で増水しており、轟々と迫力ある滝に変化していました。そこに展望台よりもはるかに高い上空までドローンを上げることで滝にかかる虹を撮影できました。

ドローン空撮にはこうした誰も知らない絶景を探し出し、撮影できる魅力があります。今後も空撮の魅力と役立つ知識を発信していく予定です。

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この記事は私が書きました。