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ハッセルブラッドの違いは体感できるのか?Mavic2の画力を徹底比較!

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DJI Mavic2シリーズはハッセルブラッドを冠したカメラと初のズームカメラを搭載する2種類のモデルに進化し、好調にスタートを切った。DJIのラインナップはどれも高性能なカメラが搭載されていて、撮影した映像や写真には満足しがちだが、購入前にラインナップの中でどれが使用目的に最適なのかを確認してみることも必要だ。そこで、Mavic2シリーズの最も肝となるカメラの性能を実際に比較して見てみよう。

●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Cooperation  by 青山祐介(Yusuke Aoyama)


ハッセルブラッドのカメラは予想以上に人気?

9月初頭から発売を開始したMavic2シリーズ(Pro/Zoom)はMavic Proの後継モデルとして、障害物センサーを含めた飛行性能はもちろんのこと、カメラ性能も大幅に向上しているのが醍醐味。私の製品発表時の予想では、従来モデルでも十分な画質を誇っていたことから、おそらくMavic2 Zoomのほうが機能拡張の優位性や低価格(16万2000円)な魅力もあって人気が出るだろうと踏んでいたが、実際のところ販売店に耳を傾けると「Mavic2 Proのほうが在庫が減っている」という話を聞くことが多かった。

Mavic2 Proの人気の秘訣は、なんといっても最大の魅力となるハッセルブラッドのカメラが搭載されている点に尽きる。ではハッセルブラッドとはどんなメーカーなのか?カメラに深く携わっていない人には聞き慣れないメーカーかもしれないので簡単に説明する。

ハッセルブラッド (Hasselblad )は今から150年以上も遡る1840年代にスウェーデンで誕生したカメラメーカーだ。大型カメラ全盛の時代に、世界で初めて携帯に便利なレンズ交換型6×6cm判一眼レフカメラを発表した。この頃になるとカメラの精密部品の品質や、レンズのラインナップにも注力され、プロのフォトグラファーを支えるカメラとして雑誌撮影に使われたり、評判が良かったこともあり宇宙に持ち出された。誰もが見たことのある月から見た地球の写真はハッセルブラッドのカメラで撮影されている。

2012年にはハッセルブラッド・ジャパンが設立され、2013年には世界で初めてのハッセルブラッド・ストアとなるHasseblad Tokyoが東京の原宿にオープン。2013年にはコンシューマー・カメラの『Lunar(ルナ)』、『Stellar(ステラ)』が発表された。その後、2016年にハッセルブラッドはDJIに買収されている。

ハッセルブラッドはプロが愛用するフィルム時代の中判カメラメーカーとして有名で、戦時中から航空写真にも古くから愛用されてきたメーカーだ。中判カメラは写真を大きく引き延ばす際に用いられ、広告宣伝用の写真や風景写真などで実力が発揮されるが、価格が高い(数百万円)ことや、それほど大きく写真を使用することが無いことから趣味用途での使用は少ない。現在はハッセルブラッドのデジタル中判カメラが450万円前後〜700万円前後で販売されていて、DJI Matriceシリーズに搭載できるカメラもリリースされている。

以上のように、高級中判カメラを手がけるハッセルブラッドと共同開発したカメラが19万8000円で手に入ることと印象が良いこともあり人気を博している。では、ハッセルブラッドとの共同開発でどのような違いが生まれたのか?という点については、Mavic2 Proに使用されているハッセルブラッドナチュラルカラーソリューション(HNCS) 技術の部分で、色彩の細部まで忠実に再現できる20MPに及ぶ静止画の撮影を可能にしている。それでは、このHNCSの違いも含めて実際に写真を比較して見てみよう。

 

P4PとMavic2(Pro/Zoom)の写真精度を検証

今回はMavic2の写真精度とハッセルブラッドを冠するカメラの違いを体感するために、上位機種であるPhantom4 ProとMavic2(Pro/Zoom)の3機種を同条件に合わせて撮影を試みた。

今回揃えた撮影環境は以下の通りで、Mavic2 Zoomに関してはセンサーが従来のMavic Proと同等なものが搭載されており、有効画素数も同じく12MPとなるので最もMavic Proに近い存在と言える。また、Zoomには絞り調整機能は搭載しておらず、最大広角(24mm)でF2.8、最大望遠(48mm)でF3.8の固定となる。

Phantom4 Pro Mavic2 Pro Mavic2 Zoom
税込価格 20万4000円(V2.0) 19万4000円 16万2000円
有効画素数 20MP 20MP 12MP
絞り F2.8 F2.8 F2.8
ISO Auto Auto Auto
ホワイトバランス Auto Auto Auto
スタイル・カラー Non Non Non
画角 84° 77° 83°
静止画サイズ 3:2 3:2 4:3
センサー 1インチCMOS 1インチCMOS 1/2.3インチCMOS

Phantom4 ProとMavic2 Proのカメラはほぼ同等のスペック。Mavic2 Proのカメラは従来モデルから大幅に進化していることがスペック上で見て取れる。ただし、F値の調整範囲はPhantom4 Proと同じ(F2.8-11)だが、ISO感度レンジや静止画サイズはPhantom4 Proのほうが上位モデルなだけあって選択肢が広い。

それでは早速実際に撮影した写真で比較してみよう。

3種を同条件で撮影
左からP4P・Mavic2 Pro・Mavic2 Zoom

3種類を並べて比較してみるとMavic2 Zoomは写真サイズなりの解像感だが、ふんわりとした落ち着いた色彩表現が施されており、比較してみなければそれほど画素数の違いは気にならない。注目したいのはPhantom4 ProとMavic2 Proで、Phantom4 Proは全体のコントラストが若干暗めに見えるが同等の条件で撮影している。Mavic2 Proは全体的に彩度が高めで色のメリハリがしっかりしているのが特徴で、この色調具合は日本人好みとか外国の作品に多く見られるという風に表現される通り、どちらが優れていると言うよりは好みによるものが大きい。しかし、今回一番検証したかったハッセルブラッドのカメラによるHNCSの効果がどのようなものなのか一目で確認できる。なお、DJIの説明からすればHNCSは今まで以上に現実に近い色調を再現するために搭載された技術としている。

Phantom4 Pro

Mavic2 Pro

Mavic2 Zoom

また、写真の端から端までを見比べてもらうと分かる通り、数度の画角の差で予想以上の違いが見られる。撮影は離陸地点から真上に上昇させ、同じ高度でモニター上のグリッド線と目印となる物を合わせて撮影しているので、数ミリの違いはあるにせよほぼ同条件。撮影写真では、Phantom4 Proは撮影範囲が広く、Mavic2 Proは結構狭く感じるかもしれない。ZoomはPahntom4 Proと1度しか変わらないので広範囲を撮影できるのに加え、ズーム機能もついているのでその点ではとても便利なカメラと言える。

Mavic2 Zoomのカメラは従来と同等のスペックになっているため、この3機種の中では不利に思えるが、Mavic2 Zoomの利点は撮影した写真を合体させて一枚の写真を生成できるメカニズムにある。この機能を使えば48MPの静止画も撮影できてしまう。仕組みは最大広角で撮影した写真を9等分し、望遠した9枚の細部写真を自動で撮影する。そして最大広角の写真に望遠した写真をMavic2 Zoom内で上手く合成処理させていくことで1枚の写真を作り上げる。

Mavic2 Zoom 48MP静止画

そして出来上がった48MPの写真がこちらで、もちろん拡大しても画素数が高いため、他の2機種に比べてドットが目立つことも無い。Mavic2 ProのようにHNCSのような色付けは無いにせよ、画素数だけでいえば最強の一枚を撮影することができる。さらにもう1つこの写真を撮影して驚いたことがある。48MPの撮影には合計10枚の写真を取る必要があるので、少なくとも20〜30秒ほどかけて撮影を行う。ところが、橋の上を行く自動車はその間動いているのにも関わらず、しっかりと合成されて捉えられている!これには驚きを隠せない。また、48MPのほかにも180度のパノラマ写真や、VR用の360度写真、縦長のパノラマ写真などが撮影でき、合成機能の活用方法は多岐に渡る。

3機種の写真の一部を拡大してみると、やはり48MPの画像が一番荒くならずに自動車の形までくっきりと確認することができる。Phantom4 ProやMavic2 Proでも十分な画素数を備えている故に、ここまで拡大する場面も多くはないが、さすがは48MPの写真といったところ。

 

動画でもパリッとした色調表現のHNCS


3機種の環境条件を合わせて、動画の撮影も試みた。Phantom4 ProやMavic2 Zoomと比較してもMavic2 Proは色調が明るめで彩度も高めに設定された綺麗な印象を与える。ただし、28mmレンズを採用していることで、画角の広さに違いがあることが分かる。24mmのPhantom4 ProやMavic2 Zoomと見比べると、風景等を撮影する場合は広範囲を捉えたほうがダイナミックな映像となるが、その点Mavic2 Proは画角が狭いので不利かもしれない。しかし、ドローンの場合は単純に撮影したいものから高度を上げたり後退すれば画角の問題が解決できる。加えてカメラで言えば、フレームレートの設定範囲はPhantom4 Proが4K/60fpsの撮影が可能なのに対し、Mavic2の両モデルは4K/30fpsが最高条件となる。

一概にカメラの性能だけではどれを選ぶか?とは選択し難いが、明確に進化したMavic2シリーズを見れば、カメラ性能とフライト性能のどちらを見てもMavic Proから買い換えるメリットは大きい。Phantom4 Proと比べれば、持ち運びの手軽さや今までに無いズーム機能を持ったカメラ、そしてPhantom4 Proにほぼ追いついたと言っても過言では無いMavic2 Proのカメラ性能を考慮すれば、価格の面からもPhantom4よりもMavic2を選ぶといった選択肢も十分にあり得る。それにHNCSによる美しい彩度の違いも比較してみれば一目瞭然で、近年のSNSを中心とした画作りに近いものを感じ取ることができ、とても第一印象に親しみを持てる色調が施されている。

そして、カメラの色使い以外の部分で最も気になったのが画角の違いだ。28mmと24mmのレンズでは比較して目で見ると、当然だが大きな違いが見受けられる。私の意見としてはドローンは風景などの広範囲の映像が一番の魅力と言えるので24mmのレンズを押したいところだが、28mmのレンズを採用することで映像の綺麗さを確保すると考えれば、納得できるのかもしれない。

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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。