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最新モデルDJI MAVIC AIRを触って試してフライトレビュー

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1月28日からDJIは最新機種となるMAVIC AIRのデリバリーをはやくも開始した。正式な発表前にはリーク情報が流れ、噂レベルではDJI SPARKに毛が生えた程度のものだと思っていたが、それは違った。確認のためにスペックを横並びにしてみると、数値的にはMAVIC PROに勝る点が多いのだ。ただし、数値的には上であっても、ドローンの性能は実際に飛ばす&使ってみることで初めて気づく点が多々ある。そんな”発見”を探すために、MAVIC AIRを体験してきたのでレビューしよう。

●Written By 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo By 青山 祐介(Yusuke Aoyama)


2月に入るとはやくも店頭に並んでいる姿を見かけるMAVIC AIRは、ジェスチャーコントロールを備えたSPARKと、安定したホバリング・高解像度カメラが魅力的なMAVIC PROのいわゆる“良いとこ取り商品”だ。

価格はMAVIC PROより安くSPARKより高い10万4000円。しかし、最新機種なのでMAVIC PROよりスペックは高い。それが故にDJI製品の選び方が少々複雑になったともいえるのが正直なところだ。

▼MAVIC AIRの特徴として挙げられるのは以下の5点。
・折りたたみ式でMAVIC PROよりコンパクト
・4K動画と12MPの写真を撮影
・クイックショット(撮影モード)の増加
・スマートキャプチャーの充実
・フライトオートノミー2.0(3Dマップ構築)&APASの搭載

SPARKよりもコンパクトか?スマートな折りたたみ式

それではさっそく製品の外観、携帯性を確認。

スマホのサイズは約W71×H142×D8.8mm
●税込価格:10万4000円

サイズは実にコンパクトでスマホと比較すると、ほぼ同じ大きさに折りたたむことができる。もちろんドローンなので厚みはそれなりにあるが、これほどまでにコンパクトな本格派ドローンはDJI初!

巧みな折りたたみ式
出っ張りは全くない

ちょうど私の手のひらサイズで重量は430gと、MAVIC PROから300gも軽量化が施された。さすがにトイドローンとまでは言えないが、MAVIC PROに比べると体感的にも随分と軽い。

バッテリーはワンタッチで外れる
取り付けは場所に合わせてカチッと押し込むだけ

その軽さの秘密はバッテリーにあった。なんと!MAVIC PROのバッテリーはMAVIC AIRのバッテリー2個分の重さに匹敵する。バッテリーの重さが約半分になっているのだから、それは軽くなるわけだ。それでも飛行時間は約21分とし、MAVIC PROの約27分から大幅な減少はみられない。

左からSPARK、MAVIC AIR 、MAVIC PRO

携帯性に優れるというのは確かで、3つの製品を並べてみても横幅はSPARKよりも飛び出さず、縦の長さはMAVIC PROよりも短い。収納時のサイズは168×83×49mm。

左からMAVIC PRO、MAVIC AIR、SPARK

さらに正面から眺めてみると、その違いと特徴は明白だ。厚みに関しては3機種の中でも一番薄いサイズとなり、可能な限りプロペラを低い位置に設定している。このように、サイズ感でいえば、MAVIC PROからは飛躍的に進化しているのだ。

 

収納状態からフライト状態に広げるのも実に簡単な3ステップ。

後部のプロペラは下方向に開くとクルッと広がる

まずは、後ろのプロペラを広げる。

前部のプロペラは真横に開く

そして前のプロペラは真横に広げる。

アンテナは左右のランディングギアに内蔵
プロポは2000mまで通信が可能

最後にアンテナ内蔵のランディングギアを立てれば…

広げればそれなりのサイズ感はある

ものの数秒で完成。なお、広げたサイズは168×83×49mm。

MAVIC PROを超えたカメラは十分すぎる性能に

3軸ジンバルを搭載したカメラ
上部の左右2つはビジョンセンサー

次に最も驚いたのはMAVIC AIRのカメラ性能。
価格はMAVIC PROよりも安くなっているのにも関わらず、カメラ性能はかなり進化している。

動画解像度はMAVIC PROと同じく4K、2.7K、FHDの3種類に対応。そして、フレームレートが2.7k=60p(30p)、FHD=120p(96p)に向上。さらに最大ビデオビットレートも100Mbps(60Mbps)に引き上げられているのだ。
※( )=MAVIC PROの値。

実際に撮影したFHD動画をキャプチャーしたもの

綺麗な画質で映像を撮りたい人はMAVIC AIRをオススメしたい。実際にFHDで撮った映像もかなり鮮明に映っていて見劣りしない。なお、視野角はMAVIC PROの78.8°に対して、MAVIC AIRは85°なので景色を撮るにも最適な仕様。

 

MAVIC PROのジンバル固定用のパーツ

また、カメラの性能とは別に、MAVIC PROはジンバルの故障が多い。
というのもレンズカバーとは別に、持ち運びの際にジンバルを固定するパーツが備えられていて、取り付け忘れや、フライト時に取り外し忘れるといった事故が多いのだ。

このパーツはカメラの溝にうまくはめる構造になっているので、使い勝手もあまり良くなかった。

MAVIC AIRのレンズカバーを装着した図

それに比べてMAVIC AIRはレンズカバーと一体式となっていて、取り付けもフタのようにパチッと場所を合わせて押すだけでOK!これなら付け忘れもないし、わずらわしさもないだろう。

些細な部分に気が利くプロポに進化を果たす

次にプロポをみてみよう。

左からMAVIC PRO用、MAVIC AIR用

形状はMAVIC PROとほとんど同じで、ドローンの情報を映し出す中央部のモニターがMAVIC AIRには備わっていない。

さらに携帯性が優れたスティック

コンパクトになる部分では、MAVIC AIRでは新たにスティックの取り外しが可能となった。ネジが切ってあり、回すことで取り付け・取り外しができる。

外したスティックはプロポ内に収納

外した先端パーツはプロポの中に収納ヶ所が設けられているが、私の場合は失くしてしまいそうでちょっと心配にもなる。

そして、実はプロポで一番大きく変わった部分が1箇所あった。
今までのSPARK、MAVIC PROに同梱されるプロポの舵の重さは、あまり抵抗感がなく、どこかチープな感触だった。それに比べてMAVIC AIRのスティックは、程よい抵抗を感じさせる。これにより、じんわりとした舵操作が可能となり、おもちゃっぽさがだいぶなくなっているのだ。

PHANTOMシリーズと同様にMAVICシリーズも性能や機能面だけでなく、質感の高さも明らかに変わってきているのを体感できた。

アッという間に変身!

折りたたんである部分を広げ、スマホをセットすればプロポは完成。もちろんandroid、iPhoneの両方に対応。

SPARK以上に思うがまま!”操る楽しさ”を体感

いよいよフライトに挑戦。
最初はMAVIC AIRの醍醐味であるスマートキャプチャー(手の動きを認識してコントロールする)で飛ばしてみることに。

手のひらをかざすだけで自動で離陸
逆に地面に伏せれば着陸もできる

手のひらをMAVIC AIRにかざすと、自動で認識を開始し、LEDの色が変わる。するとMAVIC AIRは離陸し、アクティブトラックモード(人を認識し、自動で追尾する)になる。

スマートキャプチャーでは、離陸・着陸、左右・上昇下降、近づく、離れる(約6m程度)、写真を撮る、動画を撮るといった動作をコントロールできるようになった。


近づける、遠ざけるのコントロールは腕を開いたり、真ん中に寄せる人がいるが、左右の手のひらの幅を認識しているので、とくに動かす必要はない。また、写真撮影はピースサインを認識するとワンテンポ遅れてシャッターを切る。

とくにMAVIC AIRの進化がみえるところは、このスマートキャプチャーの認識力。ある程度明るい場所じゃないと認識しづらい点もあるが、かなり正確に動いてくれる。

それほど動きに対してのタイムラグも感じられず、些細な動きもしっかりと見極めて対応する。ジェスチャーを送れば、ほとんど思うがままなのだ。

“これだけ思うように動かせるのなら、プロポいらないじゃん!”と言いたくなるほどで、この価格帯のドローンですら、自動化が進んでいるのが良く分かる。

この高い認識力からアクティブトラックも同様に完成度が高い。複数の人がいる中でもしっかりターゲットを判断し、ロックオンする仕組みだ。また、MAVIC AIRを飛行しているまま、ほかの人に渡したい時は受け取る側が手をかざせば付いてくる仕組みになっている。

これであれば、初めてドローンに触れる人でもすぐに慣れるし、技術も必要ない。ただひとつ注意するのであれば、手のひらの出し方にコツがあり、手を引っ込めたはずなのにMAVIC AIRがそれを認識して、意図しない方向に動いてしまうことがある。これもコツを掴んでしまえばどうということはない。

スマートキャプチャーで写真撮影

撮影はピースサインをすると、約3~5秒程度でシャッターが切れる。自撮りも簡単に撮れてしまうので、インスタ映えなどを狙ってフラッと飛ばしてみるのも面白い。視野角がMAVIC PROより広くなっているので、被写体が小さい場合は結構近づいた状態で撮る必要がありそうだ。

MAVIC PRO譲りの見事に安定したホバリング性能

次に、プロポ操作で飛ばしてみる。

かなり安定した動きなので
初心者にもオススメ

飛ばしてみた第一印象はかなりピタッと安定している。
MAVIC PRO同様にGPSを切ることはできないので、それなりに勢いをつけて手を離してもスーッと進んでしまうこともなくピタリと停止する。MAVIC PROに比べると飛んでいる姿もだいぶコンパクトで、あまり自分が身構えることなく、気軽に飛ばせる感覚だ。

前述したとおり、スティックには程よい抵抗感があり、じんわりと繊細なコントロールができるようになっている。ややプロペラの音は大きく感じたが、MAVIC PROと同じくらいの音量だ。

ドローンから見えている映像は手元のスマートフォンに鮮明に映し出されていて、遠くに飛ばした際でもしっかりと確認ができる。これなら障害物の少ない場所で、数百メートル先に飛ばしてもそれほど怖くはない!

さらにMAVIC AIRには新たにビジョンセンサー7台を搭載。それに加えて赤外線センサーからデータを収集することで、周辺環境の3Dマップを作成するという。要するにMAVIC AIRが周りの景色を立体化して常に把握しているシステムだ。これに合わせて、前方と後方にデュアルカメラビジョンシステムを備えることで、最大20m先までの障害物を検知する。


この障害物センサーがかなり優秀で、障害物を検知すると、咄嗟に判断して左右、もしくは上方向に軌道を変える。避ける場所がない場合は、障害物の前で必ず停止する仕組みになっているのだ。

広くない空間ではセンサーをOFFにすることで
自由に飛ばすことができる

ただしセンサーが優秀すぎるが故に、今回飛行を試みた「DJIアリーナ」に設けられた輪っか状の障害物は、くぐることができなかった。しかし、障害物センサーはON、OFFの切り替えができるので、障害物センサーをOFFにすれば狭い場所などでも、問題なく飛ばすことができるのだ。安全性が常に要求されるドローンとしてはかなり完成度は高いといえる。

そしてビデオ撮影のインテリジェント機能(クイックショット)がさらに充実した。
従来のロケット、ドローニー、サークル、ヘリックスに加えて、アステロイドとブーメランが追加されたのだ。なかなか広い空間でないと、使用する機会がないが、風景を撮るにはとても活用できるモードといえる。

さらに、MAVIC PROにも搭載されていない、新たな機能としてスフィアモードが採用された。このモードでは、全6方位の水平及び斜め下+真下(計25枚)の写真を撮影し、合成することで明瞭な32MPの全天球パノラマ写真を作成するものだ。基本的に屋外で使用することが前提とされ、GPSの入らない場所での活用はできない。残念ながらDJIアリーナではうまく作動せず、テストに及ばず…。

内部ストレージのデータは
左のUSB端子から吸い出す

撮影した映像はDJI初となる内部ストレージ(8GB)もしくは外部スロットのMicroSDカードに保存され、DJI GO 4アプリを使用することで、その場からSNSにアップすることも可能!

SPARK & MAVIC PROとフライトを比較

DJIアリーナではSPARKとMAVIC PROのデモ機が常駐しているので、そちらも体験させていただいた。

SPARKをフライト

SPARKはMAVIC AIRに比べるとボディーがとっても小さく、まるでトイドローン。MAVIC AIRほどに安定しているわけではないが、全然初心者でも飛ばせるレベルだ。

ボディーが小さいからなのか、やけに旋回性が良いように感じる。狭い場所でも扱いやすさが際立ち、ラダーで方向を変えながらエレベーターで前進していくと、まるでカーラジコンのようにスイスイと進んでいくので、意外とプロポで操る楽しさはSPARKが最も面白かった。

MAVIC PROをフライト

続いてMAVIC PROのフライト
同じMAVICシリーズとしてそれほど操縦に関する違いは見受けられない印象だ。MAVIC AIR同様にホバリングもかなり安定している。サイズ感はMAVIC AIRに比べて、ひとまわり大きいので、やや身構えてしまう。MAVIC PROが登場した当時は“折りたたみ式でボディーもとてもスマートだな”と思っていたがMAVIC AIRを飛ばしたあとに触れてみると、いかにMAVIVC AIRが小さくなったのかが体感できた。

以上のようにMAVIC AIRは操作性、安全性をかなり重視したMAVICとなっていて、既にドローンを扱ったことがある人はもちろん、これから初めて所有したい人にも最適なドローンなのだ。とはいえ、カメラスペックはMAVIC PROよりも優れていて、ファントムやインスパイアのサブ機としても十分役割を果たせるし、色々なモードを駆使して撮影に挑むのも楽しみのひとつだ。やはり実際に使用してみないと分からないことも多いので、ネットの情報だけではなく、実際に販売店やデモ機を用意してくれる練習場などに足を運び、体験してみることをおすすめする。


■問い合わせ/取材協力
DJIジャパン
DJIアリーナby JDRONE TOKYO

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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。