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雨天でも問題なし!完全防水の空撮用ドローン「PowerEgg X」登場

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1月、米ラスベガスで開催した電子機器の見本市「CES2020」で、PowerVisionが卵型のドローン「PowerEgg X」を発表。2018年に発売した「powerEgg」の後継機種として登場したPowerEgg Xは、早くも9万9900円(エクスプローラ版)で国内販売を開始しました。

●Written by 芹澤優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤優斗(Yuto Serizawa)


空撮を手軽に楽しめるホビー向けドローンは、機体のサイズ、搭載するカメラ、カメラの設定、アプリの自動撮影機能など、さまざまな特長を活かして差別化されています。近年のホビー向けドローンは、規制に縛られずに安全に飛ばすことができるTello、DJI Mavic Miniといったコンパクトな機体が主流になっています。

今回発表されたPowerEgg Xは、重量522gと決してコンパクトではありませんが、これまでにない”完全防水”を実現しました。しかも水面着陸まで可能にしています。ドローンを所有する人のなかには、空撮業務と趣味を兼用している。という人も少なくありません。雨天で撮影できれば映像のバリエーションを増やせるほか、山や海など天候が変化しやすい場所でも安心して空撮が楽しめます。雨の中の空撮映像はあまり目にしたことがないので斬新な映像が撮れるかもしれません。また、本格的な撮影が行える3軸ジンバルと4Kカメラを搭載しながらも、10万円以下で手に入るのは魅力的といえます。

外観は卵をモチーフにしており、本当にこれが飛ぶのか?と疑うほどにフォルムは卵そのもの。片手で持ち運べる大きさです。前モデルのPowerEggは縦向きの卵型でしたが、PowerEggXは横向きになりました。

エクスプローラー版(標準キット)

ウィザード版(防水アクセサリー)

ラインナップはエクスプローラ版とウィザード版の2種類。ウィザード版は防水アクセサリーがセットになったパッケージです。なお、エクスプローラ版は9万9000円。ウィザード版は14万6900円で販売を開始しました。防水アクセサリーのセットには防水ケースと水上離着陸用フロートのほかに、バッテリー1個とプロペラのスペア(3枚)が入っているのも嬉しい。

卵の殻を割るように順番にハードケースを外していくと、3軸ジンバルを備えた1/2.8インチCMOSセンサーの1200万画素カメラと、バッテリーが出てきます。カメラは4K、FHD、HDの動画撮影に対応。バッテリーの下にはクラス10に対応したMicro SDスロットを備え、6Gのストレージも搭載しています。とにかく初めて触る時はハードケースを割っていくのが楽しく、ワンタッチで付け外しができるので、使い勝手も良いです。プロペラは折りたたみ式のアームをサイドにはめ込むだけで、ネジ止めなどは必要なく、手早く準備が行えるのも業務用途においては重要な点です。

防水仕様のプロポはDJI Mavic2と同等のサイズで、中央にスマートフォンをセットして使用します。スマートフォンとコントローラーはUSBケーブルで接続。

ドローンの移動操縦のほかに、チルト調整、静止画の撮影、録画の開始/停止、離陸地点への自動帰還、カスタム(割り振りボタン)がプロポに備えられています。また、プロポのバッテリー残量はスマホ画面で確認できますが、スマホを使わない場合は電源LEDの色で判別できます(緑=60%、黄=20〜60%、赤=20%)。PowerEgg Xの一番の特徴である防水仕様は、機体だけでなくプロポにも施されています。スティックの隙間に防水用ラバーを採用することで、浸水を防いでいます。

アプリは水中ドローンのPowerDolphinと同様のVision+2をWebサイトからダウンロードして使います。前モデルのPowerEggはWi-Fiの接続がうまくいかないという声が多かったものの、PowerEgg Xはスムーズに繋がりました。機体とプロポの接続認証には暗証番号を入力するか、ハードケース内にあるQRコードをスキャンする必要があります。一度接続を切ると、度々入力しなければならないので、この点は唯一煩わしさがあります。アプリは直感的にドローンやカメラの設定を行うことができます。

人を認識して追従するフォロー撮影や、サークル撮影などのショートビデオもアプリの機能に入っています。

ドローンは撮影時にプロペラの音が入ってしまうため、録音機能がないのが当たり前でしたが、最近ではスマホ側に録音機能を搭載し、撮影映像と音声を合体させる技法が増えてきました。PowerEgg X にも採用され、被写体を撮影しながら音声を入れることができます。これにより、テロップを使用せずに音声で伝えることが可能になりました。産業用途では点検時に見つけた破損箇所を言葉と映像で記録しておくことが可能になるため、作業効率を上げることに役立てられています。

 

趣味用の基本性能を十分に発揮するPowerEgg X


最新のドローンは、飛行性能に大きな大差がなくなってきました。3年程前は安定して飛ばないメーカーも多数あり、やはりDJI社のドローンは安定して飛ぶことができる。という段階もありました。しかし、初心者や一般ユーザーが飛ばすうえでは、技術が進歩するにつれて、それほど飛行性能は気にならないところまで向上しています。PowerEgg X も同様で、初心者でも安全に飛ばせる安定した飛行性能を持ち合わせています。また、障害物検知センサーも搭載されているため、正しく注意深く扱っている限り、障害物に接触するようなことはほとんど起きないといえます。ただし、本格的な空撮を行う場合には、操縦性や繊細な動きが求められるため、機体によっては好みや使いやすさで意見が分かれます。

PowerEgg XのFHDで撮影

PowerEgg X のFHDで撮影

撮影はずば抜けて綺麗な映像、写真が撮れるというわけではありませんが、趣味用の空撮と考えれば十分綺麗な映像が撮影できます。細かな点検用途などには少々向かないかもしれません。Mavic2やPhantom4シリーズはF値の設定に幅が設けられているため、本格的な撮影にも柔軟に対応できます。しかし、PowerEgg XのF値は1.8の固定となっており、なおかつ望遠機能も備えていないので、プロ用機材としては適さないかもしれません。昨今は規制の強化が進んでいるため、趣味用の空撮となると、どこでドローンを飛ばせるのか?という大前提のハードルが立ちはだかります。その点を鑑みると、200g以上の趣味用ドローンは難しいポジションに立たされているのが実情なのです。

PoweEgg Xはドローンとして撮影を楽しむほか、ハンディカムに変身するギミックを持っています。防水機能に次ぐPoweEgg Xの魅力はここにあります。3軸ジンバルも備えているため、スマホで撮影するよりもスムーズに撮影することができます。以前、小型のジンバルスタビライザーや、スマホを装着するジンバルスタビライザーを使用したことがありますが、意外と操作が難しいと感じたことがあります。撮影したい方向にカメラを向けたいのに、思うように動かすことができないことが多々…。それに比べるとPowerEgg Xは、あくまでもハンディカムにジンバルがついているだけの構造なので、被写体を捉える際にはハンディカム同様に本体ごと向きを変えるというシンプルな撮影方法となります。なお、AIカメラモードを使うことで、被写体を認識し、常にジンバルを追従させることも可能になりました。ドローンとジンバル付きのハンディカムが一緒になったガジェットと考えれば、10万円は魅力的でしょう。

ハンディカムの使い勝手は、カメラの映像をスマホに映し出しているため、必然的に片手にハンディカム。片方にはスマホという使い方になります。例えば、撮影中にカメラの設定を変更したいなどあると少々煩わしくあります。それから、ドローンが前提のカメラなので画角は78.4°と広角なレンズになっています。やはり、ハンディカムとして使用するにもズーム機能は欲しいところ…。

斬新な卵型フォルム、これまでにない防水機能、地上の用途も満たすハンディカム。3つの要素を盛り込んだPowerEgg Xは、新たな付加価値を加えたドローンであり、多くのシーンで活用できるバラエティー豊かなツールだ。


@PowerVision-PowerEgg X

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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。