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【空撮に行こうよ!初心者のための空撮講座】登山編

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ドローンだからこそ撮れる山岳の雄大な景色

普通の空撮に慣れてくると、より多彩なシチュエーションの撮影にチャレンジしたくなるものです。例えば、地上からではとても撮影できないような雄大な自然の景色。上空からの見下ろした画角での撮影はドローン空撮ならではの醍醐味です。そうした被写体の1つとして、大きな魅力のある『山』での空撮を紹介し、注意すべきポイントを解説します。

■written&photo by草苅徹(kusakari toru)


山はそのまま撮影しても、山頂からの画とそうそう変わるものではありません。被写体が大きすぎるがゆえに、接近しても引いてもあまり動きのある画にならないのが特徴です。ドローンでの山空撮の場合は、そのような山の撮影の特徴を押さえて、撮影に臨みましょう。

山での空撮の準備

■許可の取り方
山の撮影においても、届出等が必要になります。
飛行させる空域が決まっている場合、入林する管轄の森林管理署に入林届を提出することになります。例えば、私は北関東の山々に行くことが多いので、関東森林管理局のサイトから、入林届の情報を得ることになります。

・関東森林管理局

このサイトに、「国有林野内で無人航空機(ドローン、ラジコン機等)を飛行させる場合の手続」というページがあり、そこから様式に従って申請を行いましょう。

受理印済みの届出書をいただいたら、入林及び空撮時に携行するようにします

■山空撮の装備・持ち物
山空撮においては登山準備と同様にしっかりと準備をして臨みましょう。本記事では、一泊二日のテント泊で1人分の物資を持っていくことを想定します。複数人であれば食料や水、撮影機材など分担することができます。

撮影用機材などを含むので通常の登山より大量の物品を持っていくことになります。

本記事では特にドローン空撮に必要な持ち物を中心に記します。通常の登山に必要なグッズは、表を参考にしてください。

持ち物はリスト化してチェックします

■山空撮向けの機体の選び方
機体は可能な限りコンパクトなものにします。今回、筆者はDJI Mavic Pro Platinum(以下MPP)を携帯しました。MPPはバッテリー1個の重量が約240gで本体重量がバッテリーを含めて734g。機体とバッテリーの重量はこのあたりで留めておくと良いでしょう。

MPPは付属のUSBオプションをバッテリーに接続することでタブレットやスマホなどの充電を行える利点がある。

山の天候、特に風の変化が激しい天候を考えると、機体重量や飛行時間はある程度あった機体のほうが良いです。機体が軽いと山の突風に確実に風下に持っていかれますし、離陸地点に戻すのにパワーを消費すると、最大飛行時間の短い機体等では、途中で墜落の危険が大きいです。山では途中で墜落するとまず拾いに行けませんし、無理に拾いに行くと遭難の危険があります。

また、体力の消耗を避けるため登山には必要最低限の荷物を選ぶ必要があり、ドローンのバッテリーも最小限の個数を持ち込みます。そのため、登山計画+飛行計画は重要です。

今回空撮を行ったルート

どのポイントで、どのくらいの時間をかけて空撮をするか。この計画によって持っていくバッテリーの個数が決まります。登山中はバッテリーを充電することは基本的にできないので、自分の体力とも相談して空撮予定の時間を決め、バッテリー数を予想しましょう。
山小屋などに宿泊するのであれば、充電可能なので、それを考慮した計画にします。

今回の撮影はテント泊なので、充電ができません。計画では主に山頂での空撮を目的とし、山頂でテント泊をおこない山頂の夕陽と日没時のマジックアワー、翌朝の日の出の撮影をメインに狙いました。従って、それぞれにバッテリー2本は使いたいと考え4本、さらに途中の行程でフライトするかもしれないと計算し、1日目に1本、2日目に1本追加。合計で6本必要であると計画しました。バッテリー1個の重量が約240gですので、これが5個で1,200g。ドローン本体と合わせて1,934gの重量になります。

ザックへの装備の詰め方

バッテリーのうち1つは機体に付け、1日目に使う予定の残り2個を取り出しやすいウェストバッグに。2日目以降に使う3個のバッテリーは合計720gほどありますので、ザックの下の方に入れます。SDカードやNDフィルタなども忘れないように一式をまとめて入れます。

空撮に欠かせないアイテムとしては、他にもライトニングなどのケーブル類、首掛けストラップ、手袋などもあります。ケーブル類はプロポとモニターを接続するために必要になりますが、劣化等で接続できなくなることも考え、予備として複数本持ちます。

撮影を素早く用意できるよう、細かいものはZipロックなど防水性のある袋に入れて、格納場所を決めて一か所にまとめます

足場の悪い場所での空撮も考えられるため、プロポに付けて使用する首掛けストラップは普段使っていなくても用意すべきです。万一プロポが手から滑ってもプロポとモニターを落とすリスクが減ります。手袋についても同様ですが、さらに手袋は、気温が下がった時のフライトには寒さ防止にも役立ちます。

防水性の袋は天気の急変で雨に降られるようなことがあった場合でも、機材への浸水などを防げます。筆者が使っているものは写真にあるような登山用の防水袋で、フライト中に急な雨が降って来たときに、いったん全機材をこの袋に入れれば機材の不具合を防ぐことができます。

登山としてのザックの詰め方は、基本的には、シュラフ(寝袋)やテントなど、後で使う装備を最初に入れ、着替え、食料、コッヘル(食器類)などの調理用具、水という具合に左右の重量のバランスを見ながら入れます。できれば重いものが真ん中になるほうが背負った時に安定します。最後にドローンの機体ですが、いつでも好きなタイミングで空撮をしたいので、機体はザックのできるだけ取り出しやすい位置に入れましょう。ドローンだけ別に持つという選択肢もありますが、登山中はできるだけ身軽で動きやすい恰好をしたいので、可能な限りザック一つに収められるのが理想的。医療バッグや雨具などをすぐに取り出せる雨蓋に入れれば準備完了・・・

ですが、今回は撮影装備として、SONY α6600を固定して撮影できるように三脚を持っていきます。これはザックの脇に差し込み、さらにザックの左右のハーネス(肩ベルト)に専用パーツを取り付け、右にはOsmo Pocketを、左のハーネスにはα6600をはめ込めるようにします。これでOsmo Pocketを手で持たずに録画でき、a6600を素早く外してすぐに撮影できます。

すべてを合わせるとかなりの重量になります。60リットルのザックがいっぱいで総重量30kg近くあるでしょうか。特に今回は、コース上に水場がないため、2日分の水(3.5リットル)も持っていく必要があって、その分重くなっています。

山での空撮の注意点

■どこでも飛ばせるわけじゃない!山中の離着陸場探し!

今回の想定ルート

途中、ピークを2回ほど超えるので、実際には上り下りはあるのですが、概ね6kmほど上りのコースです。事前に登山ルートを確認して空撮できそうなポイントを想定しておきますが、実際に行ってみないと離着陸できるスペースがどれだけあるのか、周囲の木立に遮られて電波状況が変化するかなどは現場でしか確認できません。離着陸ポイントとしては、上空が開けた場所が適切です。

離陸したドローンからの写真

今回の剣ヶ峰山までのコースには、登山者が休憩できるように木製のテーブルやベンチが設置されている場所があります。このような場所なら離着陸は容易です。ただし、他の登山者も利用する場所であり、比較的狭い場所でもあるので、離陸・着陸時は、他の登山者がいないことを必ず確認しましょう。

このコースは他の登山者に会うことはあまりなく、ドローン空撮をしたい人にはうってつけですが、他の登山者の安全には十分に気を付ける必要があります。時折、登山者ですがトレランの練習に来ている人がいます。空撮中に他の登山者が近くに来てしまった場合ですが、バッテリー残量を見て、余裕があれば空中で登山者が立ち去るのを待ちます。もし、ちょうど着陸しなければならないタイミングで登山者が来てしまった場合は一言断って、登山者を背中にし、自分より前に着陸するようにスペースを空けます。もし補助者がいれば、この役割を替わりにやってもらいます。

■山の天気に要注意!
山は天候が変わりやすいため、可能な限り天候の良いうちに空撮をします。雲の流れなどを見て、この先の行程で天候がどのようになりそうか推測します。特に雲の流れが速く、冷たい空気が感じられたら雨が降る可能性が高いので注意しましょう。ドローンの飛行中に雨が少しでも降ってきたらすぐに戻して着陸させます。早めに機体を回収し雨の登山の準備をします。

雨の気配を感じたら早めに機体を回収しましょう

山の空撮で一番の敵は風です。
基本的には無風の時はなく、風向きも一定とは限らないので風向きや強さには注意します。崖や尾根などの地形では、風の向きが離陸地点とは全く異なる場所がいくつもあります。できれば目視で機体の様子を見て、空中ロケハンの後に本格的な空撮に臨みます。これは山に限らず初見の場所では重要です。空撮目的ではなく、特に上空から見た場合にどこに何があるかを確認するためのロケハンになります。ドローンを使って木々の向こう側など目視できない場所がどのようになっているのかを確認します。撮影に入る前は、このように周囲を確認しましょう。特に、バッテリーの数は限られていますので、無駄な飛行はできません。そのためにも、最初から「こういう撮影をする」と決めて飛行することが重要です。

また、崖下、特に離陸地点より高度が低くなるような飛行(高度がマイナス値になる)は、電波ロスのリスクが高いので、注意して飛ばします。どうしてもその絵がほしい場合は崖上から飛ばさずに、崖下から離陸できればベストです。尾根も反対側に行った瞬間、風向きも強さも電波状態も変わる可能性があります。自分がその尾根を歩いて登れるコースなら、まずは自ら歩いて確認してみましょう。もし、まだ先のこれから行く尾根を撮影するのであれば周囲の木々の動きや他の登山者の様子などから、その尾根の上空がどのような状態かを推測し無理しない程度の空中ロケハンで様子を見ながら撮影をします。

火山での空撮

三原山火山火口

場所を変えて、伊豆大島の三原山という活火山での空撮です。こういった活火山に登る際は、これまで解説した山での空撮の注意点に加えて、火口への注意が必要です。基本的に火口直上の飛行はしないでください。万一機体が落下しても、回収可能な場所の上空を飛行させます。三原山であれば、伊豆諸島自然保護官事務所と調整し、飛行ルートが適切かどうか確認します。三原山は比較的簡単に登れる山ですが、伊豆大島の特徴として、風がいつも強いことが挙げられます。風速5m/s以上となることも非常に多いので、天候を確認する際は風速に注意しましょう。

火口西展望所からは、火口を少し見下ろし気味に確認することができます。
周囲に観光客がいないことを確認し、離陸します。火口は目の前ですが、火口の淵を回るようにして撮影すると全景を捉えることができます。常に、水蒸気が火口から上がっている状態なので、その水蒸気の様子を目視とモニターで確認しながら空撮します。

三原山火口に挑む

大味になりがちな山の空撮ですが山々の特徴を捉えた撮影を行えると、非常に魅力的な被写体になります。共通の注意点として風や高度がありますが、さらに山にはそれぞれの個性と特徴があるのです。撮影する山がどういった地形で、どういった環境にあるのかを把握することは、安全確保のためでもあり素晴らしい絶景を撮影することにも繋がります。十分な準備の上、山での空撮を楽しみましょう!

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この記事は私が書きました。