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2020年からプログラミング教育スタート!RoFReCが描く地域活性化への挑戦!

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全国の小学校を対象にしたプログラミング教育の導入が2020年に予定されている。教育には児童に対する振る舞いや、児童を惹きつけるための工夫など、大人に求められる課題は多い。このプログラミング教育による教育課題に対して、課題解決に取り組む一般社団法人RoFReC(以下ロフレック)の代表、岡田吉弘氏にプログラミング教育について伺った。

●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Interview by 一般社団法人RoFReC


広島県三原市の将来を切り開くロフレックの設立

ロフレックは「未来を切り開く力を身につける」ことを念頭に、プログラミング教育の活動に取り組んでいる。以前、ドローンネクストではロフレックが主催する「メンター研修会」と呼ばれる指導者向け研修会を取り上げた。メンター研修会は、いち早くプログラミング教育の授業を取り入れたことで第一人者となった小金井市立前原小学校の松田校長を迎え、メンターたちとプログラミング教育に対する思考を深める研修会。
「2020年必修科目!!プログラミング教育で学ぶべき本来の狙い」

今回はメンター研修会やプログラミング教育を主催するロフレック及びMIHARAプログラミング教育推進協議会の代表を務める岡田吉弘氏に”プログラミング教育とロフレックの取り組み”について話を伺った。

岡田氏は大学を卒業した後、エンジニアとしてメーカー企業に勤務。その後、松下幸之助氏が開いた松下政経塾に入門。松下政経塾の活動ではプログラミング体験や、「ロボット・ドリーム研究会」と称した地域住民向けの教育フォーラムを開催してきた。このロボット・ドリーム研究会を発端に2018年4月にロフレックを起業した。

岡田氏はこの数年を振り返り、胸の内と経緯を教えてくれた。

不安を抱えながらもメーカー勤務の退職を決断して地元に戻ってきた岡田氏は、生まれ育った広島県三原市を活性化させたいという強い想いを抱いて帰郷の決断に至ったという。

松下政経塾で地域経営について考えを深めた時に、特別な特徴があるわけでもない三原市をモデルに考え、どうやって活性化させることができるのか?と考え込むようになった。筆者も取材の際に三原市の駅前商店街に立ち寄ったが、休日の昼間にも関わらず多くの店のシャッターは締め切られ、閑散としている印象だった。

三原市は地域の衰退化が進み、住民の高齢化や人口減少が課題となっている。岡田氏はそれらを解決に導くために、近年注目されているICTを利活用することに目を向けた。また、ICTを導入して三原市の活性化に成功すれば、同じ状況で悩んでいる全国の地域にも適応することができる。この三原市を活性化させるプランがロフレックの礎となる。

創業後、岡田氏はMIHARAプログラミング教育推進協議会を立ち上げ、総務省と三原市のほかに、シャープ株式会社や株式会社タケウチ建設、株式会社エムセック、三原商栄会連合会と協力関係を築き、プログラミング教育の活動に取り組んでいる。ロフレックは「子供たちの将来像」を想い描き、2018年はプログラミング教育の指導者を育てるメンター研修会と、子供向けのプログラミング教育を実施してきた。

ロフレックが目指す「子供たちの将来像」はビジネスプランコンテストなどで、ロボットやICTのビジネス展開を提案できるような人材を育成することがひとつの目標だ。単純にプログラムが書ける人を育てるだけでなく、プログラミングを通して、自立した社会人を育てることが本来の目指すところなのかもしれない。岡田氏は常に大きな夢志を抱き、学びの中から得意なことや楽しみを見出せる教育を提供したいと願う。そのような将来を実現するには、まずロフレックに人が集まる仕組みを作ることが始めの一歩と考え、2019年は地域との繋がりを強化することに注力していく方針だ。

 

ロフレックの取り組みとプログラミング教育

ロフレックはプログラミング教育の教材にロボホンと呼ばれるシャープ製の小型ロボットを起用している。ドローンにも搭載されていることでお馴染みの「スクラッチ」と呼ばれるパズル形式で簡単にプログラミングが組み立てられるアプリケーションを利用し、ロボホンをプログラミングで動かす仕組みを学ぶ。2018年の年末には、子供たちがプログラミングを施したロボホンが完成し、三原市の飲食店数カ所に期間限定で設置されている。

この活動のなかで特に重要な部分はゴールを明確に設けることだと岡田氏はいう。小学校でプログラミング教育が導入されるが、授業内容が未だ定められていない。このまま行くと、授業内容は各学校の判断に委ねられる可能性も少なくない。岡田氏はプログラミングの授業に対して、授業の目標設定を明確にするべきだと考える。ロフレックの場合は「三原市の飲食店にロボホンを設置する」ことが最初の目標だった。明確にすることで課題やスケジュールを逆算して考えることができ、学ぶべき事柄や身につけるべきスキルが見えてくる。現状の国が提案する教育の導入方針には明確な目標が曖昧なので、指導者の混乱を招かざるを得ない。例えばカリキュラムにゲーム性を持たせるとか、思ったようにドローンを飛行させるというような簡単な目標を示してあげるだけでも、子供たちは目を輝かして学ぶ傾向にあると話してくれた。

ロフレックは設立して間もない団体だが、今後の教育活動のなかで授業の改善を繰り返しながら最適な授業をメンターたちと創り上げていくことを目指す。後には授業内容を提案し、学校やサークル活動などへの導入を目標に取り組んでいく。学校やクラブ活動への全国展開のためにも、指導者のスキルと人材確保が欠かせない。ロフレックのWEBサイトには指導者メンバーとして参加者が並んでいるが、参加した指導者に対しても特別な付加価値を提供していくことが今後のプランに含まれる。メンターを務めた人に対して、ロフレックの公認メンターの肩書きを与えられるような「メンター認定制度」の構想も検討し、認定を取得したメンターは民間のプログラミング教室を開校できたりする制度も考えている。近年の傾向を見れば、プログラミングを勉強したい社会人の需要も増加しており、参加するメンターには主婦をはじめ、ITエンジニアやホテルの経営者、学生など様々な業種の人が集まっているのも事実だ。

ICTを利活用して地域を活性化させることを目標にするうえで、岡田氏は他国の成功例を挙げた。他国では軍事用途から発展を遂げるデジタル文化も存在する。例えば軍事と密接な環境下で国民が生活している国では、プログラミング教育を10年以上前から導入している場合もあるという。国民の命を守るために必須となったICT開発が産業分野に応用され、大きく発展を遂げたという例も少なからず存在する。

確かにドローンのなかでも軍事用を改良して作られたものは、長時間の飛行を可能にしているものや高性能なカメラが搭載されているものがあり、完成度は高い。このようなモデルケースは小さな地域の活性化の方法にも応用できる可能性があり、普及させたいものを不可欠な環境にしていくのも1つの手法だといえる。

それに加え、積極的に最先端技術を利活用する国は、新技術の開発時に失敗を恐れない傾向にある。以前、ロフレックの活動のなかで小学生と中学生を混在させて教えたことがある。すると、小学生は積極的に目の前の課題に取り組んだが、中学生は行動に移さずに頭で考え始めた。その心境には失敗をせずに成功させたいという思いがあり、失敗を恐れている内面が伺える。

岡田氏は子供に対してプログラミングは考えずに触ってみることが大事だと教え、失敗しても課題に向き合う姿勢が重要であり、トライ&エラーを経験して乗り越える力を身につけることもプログラミング教育が意図する学習と言える。さらに、失敗して課題ができることは創造力や考える力を身につけることに繋がる。岡田氏が授業をする際は、子供が興味を抱くロボットの映像や近未来的な映像を最初に見せ、興味関心を惹き付ける。そして、子供に「どうやって動いていると思う?」と疑問を投げかけ、子供が自ら考え、創造力を働かせるように仕向ける工夫を凝らしている。岡田氏は単純にコードが書ける人間を育てたいわけではなく、社会に貢献するための考え方や知識を身に付けた子供を輩出させたいという想いがあり、それは本来プログラミング教育の意図するものなのかもしれない。

 

新たな可能性を切り開いて子供たちに夢を!

ロフレックが開催するプログラミング教育は子供をグループ分けして行われる。その中には発達障害を抱える子供たちで構成されたグループも存在する。そのような子供たちに授業を行う際は親にも同伴してもらいながら学んでいく。発達障害の子供には、物事に対する集中力が高かったり、ひとつのことに特化して頭が切れるといった特徴が挙げられる。岡田氏にはこのような子供たちを対象に取り入れる経緯となった出来事があった。

過去にプログラミング教室に発達障害の子が参加した。事前に情報を得ておらず、少し様子が変わった子が参加していると気にかけて接していたが、夢中でプログラミングに取り組む姿を見て岡田氏は感心した。その後、子供と丁寧に向き合ったことからイベント終了後に親から感謝の言葉を言い渡されたという。岡田氏は発達障害だと周りの子供と同じ環境で学ばせるには不安があるという親心に気付かされた。それを受け、プログラミングを学ばせて将来性や可能性を広げてあげたいという親の気持ちに共感し、発達障害の子供たちが安心してプログラミングを学べる環境を整えることを実現した。


ロフレックは子供だけなく、親とも親密な関係を築いて活動を進めている。そこには地元や子供の将来を気遣う岡田氏の人徳があり、プログラミングに携わる第一人者や信頼できるメンターたちが集まり始めているのも岡田氏の人柄が大きく影響している。現在は様々なニュースやWEBサイトにも活動が取り上げられ、今後の取り組みに注目が集まっている。

 

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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。