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狭小空間点検の常識が変わる屋内点検ドローン「ELIOS」の運用範囲を広域化

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ブルーイノベーションはスイスのドローンメーカーFlyability社と連携し、屋内点検に用いられる球体ドローン「ERIOS」に適応する無線通信拡張ユニット「RANGE EXTENDER」の発売開始を発表するとともに、クラウドモビリティ構想に取り組むことを明らかにしました。

●Written by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)
●Photo by 芹澤 優斗(Yuto Serizawa)


閉鎖空間安全第一に点検できる球体ドローン

ELIOSはボイラーやタンク、工場の高所などの狭小空間の点検に最適な球体ドローンとして、Flyability社が開発。2018年にはブルーイノベーションと提携し、国内販売を開始しました。

球体のガードが特徴的なELIOS
赤外線カメラによる点検も可能

ブルーイノベーションはカメラが上下90度まで可動することや、輝度の高いLEDを備えている点、コンパスエラーを生じないなど、性能から装備まで優れた機体となっていることに加え、屋内点検であれば航空法に運用が左右されず、屋外のドローンに比べると導入・運用のハードルが低いことに着目し、販売を開始しました。また、海外においても狭小空間の点検需要は高く、Flyability社が多くの点検実績を得ていたことも締結の決め手となったといいます。

実際にELIOSを導入・運用してみると、搭載装備や機体性能は充実しているものの、通信環境に弱点を発見。ELIOSはパイロットが狭小空間に入って操縦を行う必要があり、電波の送受信可能な範囲は制限されています。効率性や安全性を考慮すれば、パイロットが屋外から操縦できる環境が望ましく、同社は新たにELIOSのオプションパーツ「RANGE EXTENDER」を4月より発売すると発表しました。

有線式の送受信機を狭小空間に投入!

ELIOSのオプションパーツ「RANGE EXTENDER」
4月から約100万円前後で発売

RANGE EXTENDERは、プロポと繋がった最大20mのケーブルの先に送受信機のアンテナモジュールが備えられた設計で、アンテナモジュール部分を狭小空間に配置することで、点検を行う下水管内や、金属の多い狭小空間内で電波を飛ばすことが可能になります。ケーブルは最大20mの長さとなっており、パイロットはELIOSに搭載されているFullHDカメラの映像をもとに、屋外から操縦することが可能。また、プロポとアンテナモジュールの間(プロポから2m先の位置)にはパワーモジュールが設けられており、バッテリー残量を確認できます。RANGE EXTENDERは、0〜40度の環境であれば作動する仕様になっており、4月より100万円前後で順次販売される予定です。

RANGE EXTENDERの発表にはFlyability社の共同創業者・CEOのパトリック・テボス氏も登壇し、Flyability社の設立からELIOSの開発に至った経緯についてコメントしました。

Flyability社 共同創業者・CEO
パトリック・テボス氏

社員数80名となるFlyability社を4年前に創業しました。今では550台のELIOSを出荷し、顧客数は350社に及びます。全国35店の代理店及びパートナーが存在し、ブルーイノベーションは日本で唯一取り扱い販売を行っています。

Flyability社の創業のきっかけは2011年3月11日に日本で発生した東日本大震災でした。震災の被害にあった原発などの光景を目の当たりにし、人の立ち入れない場所の撮影や点検にロボットやドローンが必須だと感じました。そして、ELIOSの開発をスタートしたのです。壁に接触しながら点検を行うELIOSの方式は、虫がぶつかりながら飛行を続ける姿がヒントになり、接触しても安定して飛行できるドローンが屋内点検に適していると考え、開発を続けてきました。

それまでは狭小空間でドローンを飛ばすのは困難でしたが、ELIOSの発売によって、GPSが入らない場所でも安全に運用できることから、多数の企業から大きな反響を得ることができました。海外の大企業は、以前から人が立ち入れない場所にロボットを送り込む技術に注目していたのです。ELIOSもそのツールとして、多数の企業が興味を示してくれました。

とくに発電所などは点検作業において、安全性、時間の短縮、点検準備にかかるコストの削減の課題解決を求めています。一番多い取引先はエネルギー関係の発電所、次にオイル・ガス設備、インフラ関係、そして鉱山関係などでELIOSは活躍しています。

昨年は火力発電所の点検を実施しました。発電所のヒーターが約100メートル以上上部にありながらも、定期的に点検することが義務付けられています。従来は足場を準備し、人手による検査をしていましたが、ELIOSを使えば、短時間で映像による点検が可能になります。さらに、閉鎖空間の下部にはボイラーがあり、そちらも点検する必要がありましたが、どちらも無事に点検を成功させました。

ボイラーの点検では過去に命を落とす人も多く、安全性を考慮するうえでドローンはとても有用なものと立証できたのです。また、発電所がとくに注力している、安全性と時間短縮に成功したことは大きな成果といえます。ELIOSは狭く、暗く、人が入ることのできない場所で力を発揮します。日本では今後もブルーイノベーションと全力で普及促進に取り組んでいきます。

と、海外の事例も踏まえ、ELIOSの事例を紹介しました。

 

2019年 加速するドローン運用に向けたシステム開発

ブルーイノベーション株式会社 代表取締役
熊田貴之氏

ブルーイノベーションの熊田代表は、RANGE EXTENDERの取り扱いの発表のほか、2019年度の経営戦略について発表しました。

同社は2019年の事業展開に触れ、物流やエアモビリティの離発着場として必要不可欠な「BIポート」の普及促進に取り組み、あらゆる産業現場の標準化を目指していくと発表しました。BIポートはドローンやエアモビリティの充電ができる離発着場であり、ドローンが画像認識により着陸地点を認識し、着陸誤差は数センチにまで低減できることを立証しています。また、BIポートの付近に人や障害物が見受けられる場合は、ドローンをその場にホバリングするように自動で指示を仰ぎ、強風が吹いている場合にはアラートによる注意を促す機能も搭載しています。

そして、同社はBIポートと並行して「クラウドモビリティ構想」と題した運行管理システムの開発に取り組む方針を明らかにしました。

熊田代表は自動車、船舶、航空機と様々なインフラが国内で普及していることについて、全ての移動手段に最適な航路が整備されていることに着目。今後のドローンの運用には、高度150メートル以下の空域においても、安全かつ最適な航路整備が必須であると言及し、同社は運行管理システムの開発に乗り出すと発表しました。

最適な運行ルートを空域環境から提案

現在のドローンにおける運行管理は、ドローンが最適なルートを認識し、自動飛行で目的地に辿り着くシステムが主流です。ところが、クラウドモビリティ構想では目的地まで数パターンあるルートの中から、空域の環境や市街地の環境を考慮し、ドローンに対して最適なルートを提案する方式の開発を予定しています。


@ブルーイノベーション株式会社

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この記事は私が書きました。

DRONE NEXT編集長。1989年静岡県生まれ。自動車業界を経て、学生時代から趣味で乗っていたバイク好きが高じて2014年にバイク雑誌ヤングマシン編集部に配属。ある日、ドローンの新たなる未来と可能性に興味を持ち、2017年5月からドローンのフライトを始め、JUIDA認定校のドローン大学校を修了。