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進化する期待のトイドローン”TELLO”は何がすごいのか!?

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1月にラスベガスで開催し、大盛況のなか幕を閉じたCES2018。そこで初お披露目となり、いま最も注目を集めているトイドローンと言っても過言ではないのが、
RYZE(ライズ)社のTello(テロー)だ。現在、出荷開始時期は3月〜4月と噂されており、待ちわびている方も多いはず!そこで、発売までのはやる気持ちをさらに盛り上げるべく、現時点で知り得るTelloの情報を交えながら、視点を変えて考察してみよう。


●Written by 大岩 亘(Wataru Oiwa)


まずは発表済みのスペックをおさらい。
まず1つ目にTelloは80gのトイドローンであること。なので、航空法による規制は受けない。そして、2つ目に注目してもらいたいのが、税込1万2800円という価格ながらも720pのカメラを搭載している。さらに、3つ目として、トイドローンにも関わらず上等なビジョンポジショニングシステム(下方)を備えることで、とても安定かつ安全な飛行を可能としている。以上の点からも期待の声は高まる一方だ。

●税込:1万2800円

Telloのカラーバリエーションは白、黄、青の3種類を用意。さらに、気分やシチュエーションに合わせてルックスを楽しめるように、各色のボディカバーを税込1200円で売り出すことも決定している。


98×92.5×41mmと小柄なこともあり、DJI Sparkと同じように手の平から放つことで、簡単に飛ばすことも可能。また、トイドローン特有の8方向フリップ機能を備えることで、子供でも手軽にトリッキーなアクションフライトを楽しむことができる。バウンスモードでは自動で手の平からアップとダウンを行う。


飛行時間は約13分で最大映像伝送距離は100m。720pのカメラはEZショット機能を使うことで、サークル、360、Up & Away(アップ & アウェイ)によるショートムービーを作ることができる。さらにEIS(電子式映像ブレ補正)を搭載しており、トイドローンとは思えないブレのないクリアな映像で撮影を可能とする。

GameSir 製ゲームパッド

操縦はスマートフォンの専用アプリを使用する。また、スマートフォンの操作を好まない人向けに汎用のゲーム用コントローラーを流用することが可能だ。

以上のとおり、トイドローンとはいえTelloに搭載される機能はトイの領域を超えた点が多い。それもそのはず、1月のTello発表時に大きな話題となったキーワードが2つある。
それが「Powered by DJI」と「Intel inside」だ。
この名高い2社の協力もあり、完成度ががますます高まるドローンに進化しているのだ。ここからは、メーカーWEBサイトや代理店、ブログでもあまり語られていないこの2大キーワードについて、少し掘り下げて解説していこう。

DJIとIntelはTelloのどの部分に貢献しているのか?

【Powered by DJI】
TelloはDJIの技術協力を得ている。
もはやDJIという名を聞くだけで安心する。それほど絶大な支持を得ているドローン業界の重鎮。ただしTelloはDJI製ではないので注意してほしい。開発・製造はRYZE(ライズ)という中国のスタートアップ企業が担う。発表当初「RYZE Robotics」「RYZE Technology」「RYZE Tech」と社名情報が錯綜しており、どれが正式な社名なのかわからない状態に陥っていたので、ここではシンプルに「RYZE」と表記する。なお、正式のロゴはRYZEの4文字。

そのRYZE社の本社はDJIのお膝元である中国の深センに位置するが、資本関係はない。とは言え技術提供だけでなく販売チャネルも協力しているあたりを見ると、とても深いパートナー関係と見受けられる。

技術面では特にフライトコントロール技術への関与が発表されている。フライトコントローラーはドローンの心臓部とも言われ、その名の通りドローンの「飛行を制御」する最も重要なユニットだ。ドローンの安定飛行や自律飛行の大部分はフライトコントローラーに委ねられており、Telloにはその部分にDJIのノウハウが盛り込まれている。

DJIのフライトコントローラーを搭載しているのを考えれば、今までのトイドローンの常識を覆すほどに、安定した飛行を行えるトイドローンとなっている可能性は大きい。ただしGPSは非搭載なので、SparkやMavicシリーズほどに安定しているわけではない。

DJIはPhantomシリーズの代を重ねるたびに正統な進化を見せてきたが、特にPhantom4の発売時、自律飛行と安全性能の面で他メーカーの数年先を行くと言われ、その地位を確固たるものにしている。もともとフライトコントローラーに定評のあるDJIなだけに、Telloの安定飛行やインテリジェント機能にどれだけ活かされているかが期待される。

【Intel inside】
そして2つ目のキーワードは、「インテルインサイド」。
インテル入ってるで有名なIntelだが、平昌五輪の開会式
では1218台のLEDドローン「Shooting Star」を同時に飛ばすことに成功するなど、近年ではドローンの技術において注力している。

ではIntelはTelloのどの部分を担っているのか?
具体的には「Movidius Myriad 2」というIntel社のVPUがTelloには採用されている。

VPU(Vision Processing Unit)というのは、カメラやセンサーで取得したビジュアル情報をリアルタイムに解析して空間認識をしたり、それに基づいて指示を出したりする、いわば”視覚専門の頭脳、司令塔”といったところ。

ロボットやアンドロイドを含むAIや機械学習、VRなどの分野で欠かすことのできない重要なテクノロジーだ。「空飛ぶコンピューター」「フライング・カメラ」とも評されるドローンにおいても、プロセッサの性能や信頼性というものは非常に大きな要素であるのは言うまでもない。
平昌五輪での自律編隊飛行を成功させた、半導体メーカーであるIntel自身がドローン事業に注力していることからも、ドローンにおけるプロセッサの重要性は伺える。

せっかくなので、このMovidius Myriad 2というVPUについてもう少し詳しく説明しよう。

MovidiusというのはIntelが2016年に買収した半導体メーカーの社名。現在はIntelの子会社となる。
Myriad 2というVPUは、Phantom4やMavic Pro、Sparkなどの機体にも採用されており、2016年9月にIntelが買収計画を明らかにした時点ですでにDJIとは深い関係だったのが分かる。

現行のDJI製ドローンでは標準装備となっているビジョンポジショニングシステムをはじめ、ジェスチャー操作やアクティブトラック、障害物回避機能など、Phantom4以降に急速に進化している自律飛行や安全性能は、このIntel Movidius社製の高性能なVPUなしでは実装不可能だったとさえ言われている。(Phantom4には、VPUを含む包括的な位置づけであるIntel RealSence™テクノロジーが搭載されている)

また、2018年2月に発売されたDJIの最新鋭機Mavic Airでは、6m先から手の平認識による離陸も可能になったスマートキャプチャー、7m先の障害物を検知して自動回避するAPAS機能など更なる進化を見せているため、Myriad Xという最新のチップが採用されたのでは?との噂もあるが、現時点では明らかにされていない。もちろん他の半導体メーカーから見ても、シェア7割を超すDJIのドローンに魅力を感じているわけで、自社のプロセッサが搭載されることを虎視眈々と狙っているに違いない。
いずれにしても次々に実装される新機能は、高性能なプロセッサの恩恵によるところが大半を占めているのだ。

Telloの
スペック表や搭載機能を見ると、それはまさにDJIのフライトコントロール技術とIntel Movidius Myriad 2の組み合わせによるものと思われる機能が満載なのが分かる。
ビジョンポジショニングシステム、障害物検知、Circleなどのプリセットされた自律飛行にEZ Shots、自動離着陸…これにジェスチャー機能がついたらSparkもタジタジ、と思えるほどの多機能ぶりなのだ。

Phantom4やSparkと同じ高性能なチップを1万円強のトイドローンに組み込むことはオーバースペックにも思えるが、それはMyriad 2がいかにコンパクトで低電力なチップであるかを証明すると同時に、コストの面でも可能であるということを示している。

DJIとIntelというドローン界を牽引する2社の良好な関係がなければ実現できなかったのかも知れないが、このTelloという機体が今後のトイドローンのベンチマーク的な存在となってゆくのであれば、他のトイドローンメーカーも次々に高性能なドローンを開発し、追随していく流れになるかもしれない。
願わくば、同じような性能での価格競争ではなく、それぞれ個性のある機体でドローン市場を盛り上げていってもらいたい。

今回はTelloの潜在能力を推し量る材料として、DJIとIntelがどのように関わっているのか、知り得る情報の範囲で紐解いてみたが、いかがだろうか?私自身、記事を書く前よりTelloを待ちきれない気持ちが強くなり、期待が大きくなりつつある。現在はDJI JAPANで予約を受け付けている状態だ。


■問い合わせ
RYZE Tech
DJI STORE
■参考ページ
Intel IQ

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この記事は私が書きました。

貿易業、インテリアデザインなどに携わる傍ら、2016年にドローンと出会う。その魅力と可能性に強く興味を抱き、JUIDA認定無人航空機操縦士、同・安全運航管理者証明を取得。2017年末よりDJI ARENA by JDRONE TOKYO非常勤スタッフ。趣味は釣り。ドローン関連の用品アイテムを試すのが好きで、ドローングッズ検証隊を主に担当。