日常生活のテレビCMなどでドローンによる空撮映像を見かけることが増えてきました。本格的な飛行性能、カメラ性能を有した機体が出揃う 一方で、それらの本格的なドローンは航空法などの法律や安全面、プライバシーなどの問題で気軽に飛ばせる場所が少なく、敷居が高いイメージがあるのも事実です。そこで今回は、肩の力を抜いて初心者が楽しめるトイドローンを紹介します。
■Written by 大岩 亘(Wataru Oiwa)
一言でトイドローン、といっても価格帯や大きさ、性能によってとても幅広い機種が販売されていて、どれを選んでいいか分からないという最初の悩みにつまずく人も少なくありません。そのような悩みを解決するために、今回は特にドローン初心者に適していて、なおかつ操縦練習にも向いているトイドローンをセレクト。3つのグループに分けて紹介します。
機体選定のセレクト条件は以下の通り!
・重量200g以下
・送信機が標準装備
・優秀すぎない(操縦練習に向いている)
3つ目を入れることで、Tello(RYZE)やMambo(Parrot)などの定番商品は選外にしました。
オススメその1
初心者向けと侮れない!操縦練習にも最適なシンプルな機体
4,000円台〜とリーズナブルで初心者向けという印象ですが、それだけではありません。最初の1台に選んでも、操縦技術を磨きたいという脱・初心者の方にも、楽しみながら長く使える理由があります。
■初心者でも楽しめる理由
・ジャイロ搭載型で姿勢制御を行うドローンは
初心者でも数時間程度で飛ばせるようになります。
レース機やヘリコプターはシンプルな作りでも操縦難度が高く万人向けではないため、上手く操る前に挫折してしまったという話は少なくありません。 最初は最低限の姿勢制御を介入する機体から入るのがおすすめです。
■長く使える理由
・気圧センサーを搭載しておらず、GPSも非搭載
の場合、高度やホバリングが安定しすぎないので練習になります。
この、安定しすぎないというのがミソです。 適度に不安定な機体を自らの操縦によって安定してホバリングさせる練習というのは、すべての動きに繋がる最も基本的な操縦訓練といえます。 つまり初心者を脱したパイロットにとっても、シンプルな機体を安定して飛行させるには細かいスティック操作と集中力が必要になるので、日頃の練習機に適しています。さらに、小さくて危険の少ないトイドローンであれば、広い場所を必要とせずに練習できます。
前置きが長くなりましたが、シンプルだけど侮れないオススメのトイドローンはこちら!
【Holy Stone/HS170】

●価格:4680円
手に持ってみると、とても軽量コンパクトで子供向けのおもちゃのような印象すら受けるかもしれませんが、数々のトイドローンを世に送り出してきたHoly Stone社製ドローンの中でも最もシンプルなロングセラーモデルです。 控えめな羽音をたてて健気にブーンと飛ぶ姿は昆虫かハチドリのようで可愛らしいです。モードの切り替えができないため、モード1仕様とモード2仕様の2通りが販売されています。
【Holy Stone/HS170C】

●価格:4800円
こちらは私が初めて購入したトイドローンで、バッテリーを取っ替え引っ替えしながら夜な夜な練習をしたものです。今でも時々自宅の部屋でブンブンと飛ばしてます。 HS170より少しボッテリしたボリューム感のあるフォルムが特徴です。 赤い機体についつい反応してしまうという方にもおすすめです。
【G-Force/Hubsan X4 HD】

●価格:7060円(モード1)、9812円(モード2)
Hubsan X4シリーズはスペック違いで色々な派生モデルが存在する人気のシリーズです。その中でも、リーズナブルながらHD動画撮影もできて飛行のクセも少ない、入門用、練習用に愛されてきた機体です。こちらもモード1仕様とモード2仕様の2通りが販売されています。
DBPOWER/X708W(モード2)

●価格:2999円
前述の3機より大きめの機体で、少し広めのスペースや屋外に向いています。 低・高速の切り替えが可能なため、場所や操縦レベルに応じて飛行の幅が広がります。 機体が大きくなるとバッテリー容量も大きいものを使用しますが、たとえばバッテリー1個で飛行可能な時間が5分と8分の差があるとすると、この違いは意外と大きい!値段も3000円でとてもお得!
オススメその2
気圧センサー内蔵で高度が安定!
続いて紹介するのは、気圧センサー搭載のモデル。 高度が安定することでより簡単に操縦できるのが特徴。 飛行しているドローンの周囲の気圧は常に変化するので、ビシッと一定ではなくフワフワ上下に動きますが、それでも気圧センサーの有無でだいぶ違います。 とはいえ、安定してホバリングさせようとすると細かい操作が必要なため、良い練習になります!
【Holy Stone/HS210】

●価格:3750円
比較的新しい機体ですが、もっとも驚くべきはコストパフォーマンスです。 気圧センサー搭載の機体、モード1/2切替可能な送信機にバッテリー3個付属。 それでありながらアンダー4,000円(2019年8月Amazon調べ)は偉い! 手のひらサイズの超小型機で、色んな意味で入門用に最適の機体です。
【Potensic/D20(モード2)】

●価格:4990円
気圧センサー搭載、FPV可能なHDカメラも装備しています。 注目すべきは高速、中速、低速とスピードの切り替えができる点! レベルや広さに応じて設定が変えられるので練習向きといえます。
【 Holy Stone/HS200】

●価格:1万1080円
こちらはやや大きめの機体なので、少し広めの飛行場所が確保できる方向けです。 その分、屋外での練習用にもおすすめです。スピードが4段階で調整できるのも◎。 脚付きの形状はPhantomらしさもあり、ミニPhantomのような感覚で操縦できます。Holy Stone社のベストセラーの一つであることもあって、よく出来ている印象です。
オススメその3
対戦機能やレーサー気分も!個性的な機体
続いては、ちょっと変わった特徴を備えた個性派トイドローンをいくつか紹介します。 操縦に慣れてきたら、ただ飛ばすだけじゃなくて別の楽しみ方もしてみたいという方にオススメ!!最近は色々な機体が登場しているのでドローンの楽しさをさらに追求してもらいたいです。
HS177 / Holy Stone

●価格:6020円
2人で空中戦が超楽しい!対戦型ドローン。
赤外線の照射によって相手を攻撃することができるので、ゲーム感覚でドローンの空中戦を楽しめます。機体自体は超小型軽量のため危険は少ないですが、複数機を同時に飛ばすには、やはり少し広めの場所で安全を確保したいところ。できる場所さえあれば是非2人以上で遊んでみて欲しいモデルです。遊びながら操縦が上達するかも?
HS150 / Holy stone

●価格:4505円
最高時速50km/h!手軽にレーサー気分が味わえる本機。
本格的なレース用ドローンはFPV(ファースト・パーソン・ビューの略。一人称視点。)で飛行させるために映像遅延の少ない5.8GHz帯の周波数を使用するものが多いのですが、この周波数帯を使用するには無線局免許や無線従事者資格が必要になります。「そこまではちょっと・・・」という思いに応えてくれるのが、このHS150です!
免許や資格が必要ない2.4GHz帯を利用するのでFPV飛行はできませんが、目視で高速飛行をするだけでも抜群のスピード感を味わうことができます。また、HS150は気圧センサーを搭載しないので、前述の”その1”グループにも属する、練習機としても優秀な機体です。速度を変えて難易度を調整できるのもいいですね!
SQUARED CAM / G-Force

●価格:1万947円
全体がケージ状のガードに囲まれた機体は見るからに安全な印象があります。
スペックとしては気圧センサー内蔵、モード1/2切替え、3段階スピード調整と扱いやすい機能がバランスよく搭載されています。ですがこの機体をセレクトした理由はそこではありません。個人的なイチオシは、カメラの角度が90度の範囲で調整できること!手動でチルト角を調整する仕組みなので飛行中に自由に動かすことはできませんが、この価格帯の機体ではとても珍しい機能です。
ボックス型の形状は前後左右が認識しづらく操縦練習には決して向いているとは言い難いですが、このカメラを活かして本格的な空撮をイメージしたカメラ画角の確認や、動画撮影の練習などに使えそうな面白い機体です。
おすすめその4!
7月発売!GPSを搭載した自動操縦可能モデル
最後に紹介するのはトイドローンには珍しいGPS搭載モデル!GPSセンサーの搭載により高度・座標を自動で制御可能で操作が容易に行えます。本格的なドローンのファーストステップとして購入してみてはいいかがでしょうか。
INGRESS

●価格:2万1169円
1080pカメラやGPSを搭載!小型でありながらハイスペックなドローン。ホームポイントへ自動で帰還する機能や、自動操縦によるさまざまなインテリジェントフライトを可能としている個性あふれるドローンです。スマホとWi-Fi接続することで、専用アプリからFPV(一人称視点)でのリアルタイム映像をはじめ、フルHD画質での写真や動画の撮影もできます。広視野角ワイドレンズが採用されており、初心者でもモニターを見ながらの操縦と撮影が簡単に行えます。
■自分の用途に合ったトイドローンを探してみよう!
今回は、練習に使える観点から11種類のトイドローンをセレクトしました。気になる機体はありましたか?
いずれも入門用、練習用として自信を持ってオススメできるものですが、紹介したのはほんの一部です。まだまだ他にも沢山のドローンが発売されていますので、皆さんも是非お気に入りの1機を探してみてください。
※ご紹介した商品またはそれ以外のドローンを実際にご購入の際には、送信機のモード1、モード2切替可能か、できない場合はどちらのモデルかご確認ください。また、日本国内の電波法に適合する「技適マーク」や電気用品安全法に適合する「PSEマーク」の有無などは必ずご自身で確認をお願いします。