外でも簡単な撮影が楽しめる?トイドローンTelloの”屋外”レビュー

Telloのファーストインプレッションを以前にお届けしたが、今回はもう一歩踏み込んだインプレッションレビューをお伝えしよう。これからTelloを購入しようと検討している人のために、Telloは屋外でも遊ぶことができるのか?撮影した映像のクオリティーは?どんな機能が搭載されているのか?そんな疑問を払拭しよう!

※Telloのファーストインプレッションはこちら
(80gのトイドローン「Tello」最新レビュー)

 


Amazonのカスタマーレビューでは4.3の高評価を獲得

発売以来、いまだ人気の衰えない高性能なTello(テロー)。
その人気の理由は、1万円台前半の低価格と小さなサイズからは想像できないほどに安定した飛行性能にあると思われる。開発企業は
Ryze Tech社という当時聞き慣れなかったスタートアップのメーカーでありながらも、「DJI&Intel入ってる」という話題性も手伝ってか、発売前から小さな機体に大きな期待を背負って登場した。
発売後の評価はその期待を裏切らないものであったことは現在の人気が物語っているが、
実際にTelloの実力が気になり、屋外で飛ばすことができるのか疑問に思ったので連れ出してフライトさせてみた。

フィールドは神奈川県の秦野中井にある「中井蓮池の里」。
筆者の知人の紹介でこちらの地主さん、管理者の方から許可を頂いて、蓮の花が見頃を迎えたのどかな田園風景の中でフライトを行った。
(普段はドローンを自由に飛ばしていいというわけではないためご注意を)

当日は記録的な猛暑が続く今夏のなかでも、各地で歴代最高気温を記録した文字通り大暑のその日。風がほとんど無いのは幸いだが、
人間にとってもTelloにとっても屋外で長時間活動することはあまり望ましくない。
というわけで、目的を明確に絞り込んでいざ飛行開始だ!

 

屋外でビジョンポジショニングシステムの精度を検証!

今回は汎用品のコントローラーを用意したが、まずはスマートフォンのTelloアプリを使用して操縦。ほぼ無風の屋外では、
屋内と何ら変わらない安定したホバリングを見せる。
時折モワッと頬を撫でるように吹く熱風に対して事もなげに踏ん張ってみせる。
同サイズのトイドローン(非GPS)であればこの程度の風でも軽々と流されてしまうだろう。

少し風が強く吹いたタイミングでホバリングしながらTelloのカメラで撮影した動画がこちら。

木々の揺れ具合に反して、Telloはそれほど揺れず流されず、頑張って水平も維持している。動画はEIS(電子ブレ補正)の効果も発揮されているが、ジンバルを用いらないドローンにしてはかなり安定している。

続けて、蓮池の上をあまりスピードを上げずに遊覧飛行。
Telloにはスピード制限のかかる低速モードと、全力の速さで飛べる高速モードが備わっており、スマートフォンで操縦する場合は繊細なコントロールが難しいため、低速モードに設定して飛ばすことに。

試しに移動中にカメラを回してみたが、やはり機体が移動するとジンバルが付いていないので、カメラの動きがとてもダイレクトに動いてしまう。また、伝送距離が離れると共に動画のカクつき(コマ落ち)も生じる。

ただし、機体の安定性はかなり優れている。

風が強く吹いて警告が表示される状況の中、Max7m/s超のスピードでもブレずに直進し、親指を離すとキューッとブレーキがかかる。GPS非搭載でこのように自律的にブレーキをかける動きは「ビジョンポジショニングシステム(以下VPS)」搭載のTelloならではと言えよう。また、低速モードと高速モードで比較するとスピードはかなり違うのが動画から見て取れる。

 

Telloの安定した飛行を実現しているのはVPSによるところが大きい。もちろんDJIが培ってきたフライトコントロール技術やIntelのプロセッサーも含めたパッケージなどの色々な要素の完成度が高い点も大きいが、その象徴的なテクノロジーのひとつがVPSだ。VPSは2つの超音波センサーで、地面との距離を測定し、水平を保ちながらホバリングや飛行を可能とする。ところで、Telloは工場出荷時の設定で最大高度は10mまでに制限されている。
これはVPSの機能する高さを考慮してのものと思われる。

 

では本当に高度は10mまでしか上がらないのか?

試しに高度を上げていくと、10mに達すると上昇操作をしてもそれ以上の高度には上がらなくなるのが分かる。

この高さ制限を解除して30m〜50mに変更できるアプリも存在するようだが、Telloの飛行安定性がVPSに依存していることを考えると、そのVPSが効かなくなる高さを超えてしまった時点で急激に風に流されたり、制御が難しくなることは目に見えている。制限を解除した機体でのアクシデントは保障の対象外になることも考えられるため注意が必要だ。
航空法に該当しないトイドローンとは言え、安全第一で楽しいフライトを心がけたい。

 

ボタン1つで様々な動きを実行するフライトモード機能

Tello Appはいくつかの自律飛行と自動撮影をボタン1つで指示できるモードがある。
実際に使用したシーンを撮影したので簡単に紹介しよう。

【8D Flips】

トイドローンではおなじみの宙返り。
アプリの画面上に表示される枠内を指でスワイプした方向に宙返りしてくれる。
前後左右に各45°斜めを含む8方向に対応。

【Throw&Go】

手持ち状態でプロペラが回り出し、機体をポイッとトスするとフワリとホバリングしてくれる。筆者はポイッと投げたTelloに襲われそうになったりでスマートにできず…かっこよく決めるには慣れが必要?何回か試してみればすぐに慣れる。また、手をかざせばソッと手のひらに着陸させることも可能だ。

【Bounce】

0.5〜1.2mの間をボヨンボヨンとバウンドするように高度を変えながらの自動飛行。画的には地味だが、手動操縦で正確にやるのはなかなか難しい動きである。小ネタとしては、気圧センサーではなくVPSによって地面からの距離を測っているため、例えば途中で機体の下に手の平をスッと入れると手のひらからの距離でボヨンボヨンしてくれる。

【Circle】

いわゆるノーズインサークルの動きで自動飛行と録画をやってくれる。
被写体をしっかりと定めてスタートすれば手軽に絵になるムービーが撮影できるだろう。
自撮りに不慣れな筆者のように、ぎこちない間抜けな姿を360°ぐるりと見させられることもあるので使い所に注意。

【360°】

その場で360°回転しながら動画撮影。
周囲の景色を一通りサクッと撮影したいときに。
景色のいい場所に行ったらとりあえずコレ撮っておけ的な。

【Up&Away】

後ろ向きに後退&上昇しながら動画撮影。
画になる自撮り空撮ムービーには定番の動きで使いやすく、背景に絶景が広がるシーンなどで活躍。
下の作例のようにスタートの高さが低いと迫力がなくなるので注意!

いずれも作例がアレだが、過酷な暑さとバッテリーの関係で何度も撮り直しができなかったため悪しからず…
とは言え、いずれも近距離での撮影のためかほとんどコマ落ちもなく上々の画質。
お手軽ムービーとして十分に使い途のあることがわかった。

もう少し設定や被写体にこだわって、クオリティ重視の空撮にもいつかチャレンジしたいものだ。

 

必須レベルか!?便利な別売りオプションはこれ!!

今回、Tello本体と併せて持っていると役立つ周辺機器を用意したのでそのインプレッションもお届けしよう。

まず1つ目は、気になっている人も多いであろうコントローラー。スマートフォンのTelloアプリだけでも慣れればそこそこ思い通りの飛行は可能だ。
ただ、やはり送信機として使えるゲームコントローラーのほうが微妙な加減がしやすい。物理的な感触のある送信機での操縦に慣れたパイロットであれば尚更であろう。
私も多くのトイドローンやDJI製ドローンを送信機を介して操縦してきたため、Telloに関してもゲームコントローラーを使ったほうがしっくりきた。

GameSir G3s Bluetooth コントローラー
●価格:5500円

同じGame sir製のコントローラーでTello向けに最適化されたモデルである「T1d」が1番人気だと思うが、こちらの「G3S」も基本性能と使い心地は遜色ないようだ。もちろん技適マークも取得しているので安心して使えるのも◎。
Tello発売直後は「使用不可」とされていたが、その後のアップデートを経て現在では問題なく使用できている。
また難点を挙げるとすれば、T1dがスマホホルダーと一体型でコンパクトに折り畳めるのに対し、G3Sはアタッチメント式になっているためやや嵩張ること。それからT1dであればTelloとセットで収納できるケースが発売されているが、G3Sを含めた他のモデルの場合はぴったり合うケースを探すのに苦労するかも知れない。

 

次はバッテリーの充電をスムーズに行うアイテムを紹介する。すでにご存知かと思うが、Telloは充電アダプターを介さない場合は本体にバッテリーを挿入した状態でマイクロUSB端子から充電を行う。あらかじめ複数のバッテリーを満充電にしておくことは可能だが、充電状態がわかりづらく一本一本抜き差しする手間がかかることと、何よりTelloの使用中は充電できないことが不便なのである。
そんな訳でこちらも必需品と言えるアイテムとしてバッテリー充電ハブがオススメだ。
Ryze社純正品をはじめ多くの製品が出回っているが、純正品のリリースおよび安定出荷が遅れたこともあり、サードパーティー製のものを購入された方も多いのではないだろうか?
今回、屋外ロケに備えて筆者が新たに購入したものをご紹介しよう。

Smatree DJI Telloバッテリー用急速充電器 7200mAh
●価格:5999円

この製品は、3本のTello専用バッテリーを同時に充電できるだけでなく、モバイルバッテリー機能を備えているため、外出先でもバッテリーの充電を行えるというスグレモノ!
7200mAh/26.6Whの容量はTelloのバッテリーを約6回も充電できるのである。


また、USB出力(5V/2A)も備えるため、一般的なモバイルバッテリーと同様にUSB機器の充電に使用可能。Telloと併せて使うスマートフォンやコントローラーの充電もこれ1台でまかなえるというわけだ。
通常の充電ハブと比べるとやや大ぶりで重くなるが、モバイルバッテリー機能の恩恵を考えればそれほど気にならないだろう。
外出先で目一杯飛ばしたいアウトドア派のTelloオーナーにオススメしたい。
過充電・過放電からバッテリーを守る保護回路も内蔵の安心設計。PSEマーク取得済。

 

Telloは屋外でも優等生!強風でなければ飛行は可能!

今回は屋外でフライトさせてみて改めてTelloの基本性能の優秀さを再確認することができた。
また機会があれば、Telloのカメラ性能テストや、撮影後の編集でどこまで空撮機としての魅力を引き出せるか?など色々とトライしてみたい。

最近ではScratch対応ということでプログラミング入門用ドローンとしても注目されてきている。子供の夏休みの自由研究なんかにもいいかも知れない。
この小さな優等生はまだまだ我々を楽しませてくれるポテンシャルを秘めているようだ。

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