アメリカのスタートアップ企業であるLIFT AIRCRAFTは、18ローターのドローン型無人航空機を発表しました。1人乗り用の移動手段のひとつとして提案された「Hexa」は2019年度中に一般公開される可能性もあるとしています。
エアモビリティの概念に捉われない、人が乗れる大型ドローン!
日本ではCARTIVATERがエアモビリティと呼ばれる空飛ぶクルマの開発を手がけ、海外ではUberやAirbusが業界をリードしています。これらのエアモビリティは3〜5人の乗客を乗せ、全自動(無人)で運航することを目的とした次世代の乗り物です。
エアモビリティの業界であまり知られていないアメリカのスタートアップ企業であるLIFT AIRCRAFTは、エアモビリティ事業をリードする企業とはまったく異なるアプローチをしてきました。 同社は、他企業の考える都市型無人機の構造と規制の枠組みに捉われることなく、18ローターの「Hexa」航空機を公開。趣味性の高い短時間・短距離の移動を想定した1人乗りのHexaは、10〜15分の飛行を可能とし、その機体重量は432ポンド(約195kg)に及びます。約195kgを浮かすには18個のローターが必要となり、見た目は従来のエアモビリティというよりも”大型のドローン”という言葉が相応しい形状。約195kgの機体重量に1人乗車することを考えれば、10〜15分飛行できるだけでも革新的と言えます。LIFT AIRCRAFTの公式WEBサイトでは、早ければ2019年度中に一般公開される可能性があるとしています。
“免許不要”を徹底した安全対策のルールでカバー
Hexaは米国全土の25都市でのフライトを予定していて、運航の実現性も着々と進んでいる模様。また、飛行機に比べて重量が軽いことから航空機に分類されず、操縦免許を必要としません。その代わり、数百フィートの高度を越えた飛行や、人口が多い地域での飛行は禁止としているようです。
ただし、免許を必要としないため操縦に関する安全配慮も欠かせません。Hexaの操縦はジョイスティックとiPadを使用して制御し、機内のコンピュータが安定した状態に保ちながら、一度に最大15分間飛ぶことができます。完全自動で運航するものでは無いので、LIFT AIRCRAFTは実機を操縦する前にVRトレーニングシミュレータによるレクチャーを完了させることをサービスに義務付けるプランを予定しています。また、料金については1日の利用で約$150〜$200と発表し、 利用者の条件として18歳以上、身長6フィート5インチ(約185cm)・体重250ポンド(約120kg)未満でなければなりません。
Hexaの機体に備えられた技術的な安全対策
利用者に対する安全対策に加えて、機体にも安全対策が施されています。これまでに類を見ない18個の各ローター1つ1つには、バッテリが少なくなった場合に自動着陸を保証するオペレーティングシステムが組み込まれています。 緊急時には最大6枚のプロペラが動作していれば飛行することが可能。
独特で大柄な形状の地面設置部は水上着陸を可能にするためのフロートとなっており、機体には水上着陸用のパラシュートも搭載され、緊急時への対策は機体の設計時から考慮されています。
LIFT AIRCRAFTは12月12日からフライト予約の受付を開始しましたが、フライト場所に関しては明確な場所を決定付けていません。 新アトラスをフライト場所に挙げるマット・チャセン(Matt Chasen)CEOは、予定している25都市周辺の利用環境について「人々が大きな飛行機を持つことに慣れていなければならない」とコメントしました。
「大騒ぎではない。 それでも、彼は会社の軽量化と輸送上の楽しい経験に焦点を当てて、他の旅客機メーカーとの打ち合わせに成功していると確信しています。」
「マルチシートeVTOLエアータクシーは、特に翼飛行に移行するよう設計されたもので、おそらく10年後のことであり、新しい規制とバッテリー技術の大幅な進歩が実用的かつ安全であることを要求するでしょう。主要な技術や規制のブレークスルーが飛行の開始を促進するでしょう。」
とChasen氏は加えて言及しました。
利用目的やインフラ整備の観点で議論が進められているエアモビリティ事業だが、LIFT AIRCRAFTのように使い道や運用方法のターゲットを変えることで、今後も様々な種類のエアモビリティが登場するかもしれません。現在主に取り組んでいる事業はタクシーに類似した移動手段の運用を検討して開発が進められています。そこには搭乗できる人数、飛行時間、移動速度、飛行できる台数の効率性などが懸念材料に挙げられているのも実態です。今後、10年以内にエアモビリティが運用される時代が来るのか期待が高まりますね!