CFD販売株式会社は、PCパーツの総合サプライヤーとしてPCパーツの販売を行う一方で、ドローン及び水中ドローン(ROV)の取り扱いを開始し、以前から販売しているPowerVision社のPowerRayに加え、新たに5機種の水中ドローンの販売を開始することを発表した。
トップレベルの技術力を誇る中国企業が続々参入
年々ドローンの国内市場規模は拡大し、2018年の国内市場規模は860億円に到達すると予測されている。さらに、その後の将来を見れば2020年には1100億円に拡大し、瞬く間にドローン産業が広まっていくと期待されている。1100億円と言われてもあまりピンとこない人もいるかもしれないが、国内の市場規模のトップになると数十兆円。下は100億円を下回るものも数多く存在する。ドローン市場の規模は国内市場全体を見渡せばそれほど大きな規模ではないが、ここ5年くらいの活躍で1000億円まで拡大するスピード感には驚かされる。
2018年はドローン物流元年とも呼ばれ、物流配送の幕開けの年でもある。そんな中、空のドローンから一足遅れて期待を見せるのが水中ドローン(ROV)だ。昨年は各メーカーに先駆けて、産業用水中ドローンであるBlueROV2やPowerRayが登場し、注目を浴びることとなった。水中ドローンの国内市場は2020年に50億円に到達すると言われており、空のドローン同様に急速に市場規模が拡大する可能性がある。
今回、CFD販売は新たに5機種の水中ドローンの取り扱いを発表したが、登場した5機種の開発は全て中国企業が担っており、そのうちの2社は中国の国家認定制度である「国家ハイテク企業」として認定されている。そのほかにもCES2018においてイノベーションアワードを獲得した企業が参入しているなど、ハード面では水中ドローンも空のドローンと同様に、中国メーカーが牽引していく勢いが見受けられるのが現状だ。
トイドローンな見た目に高性能な機能を搭載
水中ドローンにおいて趣味向けのトイドローンと呼ばれる部類は未だかつて存在していないが、ROBO SEA社が開発したBIKIは魚を見立てた外観で、尾ひれを魚のように動かしながら移動する馴染みやすい容姿が特徴的なドローンだ。
ROBO SEA社は2016年9月に設立され、近年では国家ハイテク企業に認定されるのに加えて、CES2018のイノベーションアワードにも輝いている。BIKIはクラウドファンディングで26万ドルの資金を集めて開発に着手された。
BIKIは世界初のバイオニック水中ドローンとして登場し、最も注目するポイントとしてデュアルコントロールに対応していることが挙げられる。通常の水中ドローンはケーブルでコントローラーとドローンを繋ぐことが必要だが、BIKIはワイヤレスでの操作が可能になり、ケーブルに関係なく水深約60mまで潜ることができる。
本体の尾ひれの部分にアンテナを内蔵しており、スマートフォンで操縦する。寸法は272 x 181 x 110 mmと他のものに比べて断トツに小柄で、動きもキビキビと泳ぐ。
そして、デュアルコントロールは地上からスマートフォンで操作するのとは別に、独自の音波を発する専用のリモートコントローラーを介して、水中で操作することができるのだ。一緒に水のなかに入りながら操作できるのも産業用と一風変わったポイントとなっている。
搭載するワイドアングル(150度)のカメラは16MPの静止画と4Kの映像を撮影可能で、さらにはブレを補正するジンバルも備わっている。撮影したデータは内蔵された32GBのメモリーに記録される。
また、BIKIが高性能と評価される点はそれだけではない。GPSを内蔵することで自動帰還機能を搭載し、赤外線による障害物センサーは前方30cmの障害物を回避することを可能にした。これだけの画期的な機能を搭載しながらも、バッテリーは90〜120分持続する。
被写体を識別して自動で追従
2016年に創業したYoucan Robot社は本社を上海に置き、東京支店を展開するグローバル企業だ。そして、今回BW Spaceと名付けられた水中ドローンを発表した。水中ドローンでは、世界初の自動追尾機能を搭載したドローンとなる。
強力なコンピュータアルゴリズムと画像認識、情報処理技術を搭載することで0.2〜7mの距離で、対象人物を識別し、追尾しながらの撮影ができる。さらにカメラの左右に備えられたLEDは水中の明るさ環境によって、自動調光を行う。
搭載するカメラは高精度な4Kカメラで、1080Pの解像度でスムーズなライブ配信が可能。なお、保存容量は128GBの内蔵メモリーを備えており、4Kの映像を4時間録画することができる。
驚くべきことに、最大7時間使用できる大容量のバッテリーが装着されている。最大潜水深度は100mまで深水することができ、コントローラーと繋がる通信ケーブルは、50/100/150mの三種類の長さを用意している。移動はパワフルにスイスイと進む印象だ。
また、持ち運びを考慮した手持ちハンドル形状も親切な作り。
6個のスラスターでパワフルに横移動
2015年に設立されたVx Fly社は国家ハイテク企業に認定され、最新のテクノロジーを持って海の探索方法を変えていくことを目的に起業し、水中ドローンであるCCROVを開発するに至った。
CCROVはキューブ状のデザイン、高精度なカメラ、操縦性の良い動作、無線技術の4つに集約して開発された。これらの技術を集約することで、産業用に特化したROVながらも、産業用としては最小クラスのサイズ(208 x 204 x 158mm)に収まり、非常にコンパクトな仕上がりが実現した。本体の素材にはアルミが採用されており、重量は5524gととても軽量。
一番の特徴はパワフルな6つのスラスターを装備することで、水中ドローンが不得意とする垂直・横の移動が可能になり、自由自在に安定した動作が可能になったこと。これにより、点検業務でも活躍が期待される。
また、テザー展開システムと呼ばれる独自の機構により、ケーブルを介してバッテリーを地上で交換できる。通常の水中ドローンはドローンにバッテリーを搭載したものが多いが、ケーブルリール側にバッテリーを備え、ケーブルによって電力を供給している。そのため、用意された12V電源への変換アダプターを使用することで長時間の稼働が可能になった。なお、バッテリー稼働では約1時間持続する。
4Kのカメラを搭載し、12MPの静止画や720pのライブ映像配信機能も備える。CCROVは水深100mまで潜ることができ、機体の操縦は専用のプロポとスマホアプリから行える。
SONYの高精度カメラを搭載した中国の人気機種
QY SEA社は中国のトップレベルの技術者が集まり、深海7000mにも及ぶ調査を行っている企業とパートナーシップ結んでいる企業だ。CES2018では新作の水中ドローンFIFISH P3を公開したことで話題を呼んだ。そして、いよいよFIFISH P3が日本に上陸することとなった。
1インチのSONY製CMOSセンサーを搭載し、162度のワイドアングルレンズを採用した。このカメラは4Kの映像に加えて、20MPの静止画をキャプチャーできる精度の高いもので、オートフォーカスとマイクロフォーカスを手元でコントロールできる。カメラの両端に取り付けられた8段階調光式LEDライトは、4000ルーメンの極めて明るい光を照射し、最大深度100mに及ぶ地点での鮮明な映像をサポートする。
FIFISH P3も他社の水中ドローンと同様にライブストリーミングを可能とし、1080P 25fps/720P 30fpsの映像を共有することができる。
世界初披露!人気な水中ドローンがよりコンパクトに!
2016年に創業したChasing Innovationsは、2017年にクラウドファンディングによる資金集めに成功し、水中ドローンでは過去最高額となる約50万ドルを集めてGLADIUSを発表し、手軽に始められる水中ドローンとして世界で人気を集め、既に2000台以上を世に送り出している。そして今回、新たに世界で初公開となる2018年モデルを発表した。
発表されたGLADIUS miniは、5個のスラスターを搭載しながらも、従来モデルのGLADIUS ADVANCED PROに比べ、全長を10%短く設計。ノートPCのMac Book Proと同等のサイズまでコンパクト化した。
4K Ultra HDカメラを採用し、12MPの静止画を撮影可能。深水100m、移動距離100mで運用することができる。
従来モデルに搭載されていなかった機能として、±45度のチルトロックと水圧センサーによる水深ロックモードを備え、チルトロックでは前方もしくは後方のみに角度を付け、傾斜を保ったままの移動ができるようになり、水中の点検作業時に今までにない扱いやすさを提供する。
GLADIUS miniは扱いやすさの追求も図られた。ケーブルはWコネクタを採用し、標準セットでは50mのケーブルが同梱されているが、オプションケーブルを繋げると150メートルまで移動できるようになる。小型化の効果もあってか、5時間のバッテリー持続を実現した。
利用事例は旅行での撮影やダイビング時の撮影といった趣味向けの用途を考えているが、新たに搭載されたチルトロックや深水ロックを活用することで、業務用途にも運用できるドローンとなった。販売価格は従来モデルに比べてプライスダウンされ、9月末に発売を開始する。